第9話

目の前に書状があり読むと大友おおとも義鎮よししげよりの書状で内容から言うと出頭命令?


「え?何故、大友様より某が呼び出されたのでしょうか?」

「実は・・・大友家に恵比須様のお社を建立したい旨を願い出たのですが・・・」

「あ~大友様はキリシタン?」


申し訳なさそうに紹さんがこくりと頷く。

確かに博多の街でもキリスト教の宣教師を見掛ける。

昭和から令和にかけて前世では生きていたので外国人など見ても何の違和感も感じていなかったが確かに今はまだ珍しいし大友義鎮、後の宗麟はバリバリのキリシタン大名で、教会建てると言う理由で寺とか神社を壊して跡地に教会建てたとか聞くな・・・

そんなバリバリのキリスト教信者に恵比須様の社を建てたいと願い出て裏を取ったら俺がいた辺りか?

ヤバすぎる・・・これって普通に首チョンパ事案じゃね?

行きたくないが行かないとそれはそれで問題だ。

取り合えずもっと情報を得ないとな。


「紹さん、聞きたいのですが何故に某がお呼び出しを?」

「言い難い話ではあるんですけど・・・」

「今は情報が少しでも欲しいのでお願いします」

「はい、では・・・」


何でも貞坊が友達に俺の天啓話をしてその矢先に恵比須様の像が見つかったから本物だー!!てことになっていた所に大友家にお社の建立申請して少し調べたら神屋に居候している俺がどうやら黒幕らしいと言う事でお呼び出し・・・

マジかー!!予想通り過ぎてヤバ過ぎる・・・

多分、簡単に言えば詐欺師が神屋を騙してて考えられた・・・ただし、この時代の人間って信心深いから「天啓」受けた人間に何も落ち度無いのに危害加えると何かあるんじゃないかと恐れて・・・キリシタンの大友宗麟が日本の神を恐れるはずないので家臣が間に入って詮議せんぎに落ち着かせた?

考え込んでいると不安そうに紹さんが見ている。

流石に世話になっている神屋家には迷惑を掛ける訳にはいかないな。

大人しく大友宗麟、今は義鎮よししげに会って何とかするしかないな~


2週間後、豊後国は府内ふない、大友家の本拠地に来ております。

昨日到着して吉弘よしひろ艦理あきまさと言う武将の所で接待を受けている。

どうやらこの人物の取成しで首チョンパは保留されたようである。

また縁があればこの人の息子や孫には良くしようと心の中で誓った。

現在は大友家は二階崩れ(1550年)と呼ばれるお家騒動が少し落ち着いてきたころだったかな?

確かまた今年(現在1556年)も大友さん家の家臣が謀反起こしたような・・・特に興味が無いので前世では「ふ~ん、大友さんも大変だね~」位に思っていたよ。

あ~そう考えるとそろそろ来年(1567年)は仲良しの親戚の大内さん家が元就に滅亡させられた年じゃなかったか?

前世の大河ドラマのDVDで見たな~元就を歌舞伎俳優が演じていたけど何だか懐かしいな~確か見せ場の1つだったのでよく覚えているよ!!

多分、来年にはリアルでそれが行われるけどね~

主演は本物の毛利元就!!

パチモンちゃうでホンモンヤデ~


くつろいでいる処申し訳ない」

「いえ、どうぞ用件をお話しください」

「では、明日、殿とお会い頂くこととなった」

「左様ですか・・・」

「それで、恵比須様の話が詮議されると思うが・・・」

「ああ、ある程度は事情を心得ております」


そう、自業自得、身から出た錆だ・・・

調子に乗って「天啓」連発し過ぎたな・・・反省反省・・・天罰じゃないよね?

恵比須様のお社作る一助になったんだから助けて欲しいが・・・神に会ったことも無いので会う方法も知らないよ~


「では、お若いが辞世の句をお預かりして」

「ちょっと待ってください!まだ死んでませんし、死ぬ気もありませんよ!!」

「ですが・・・」

「大丈夫・・・多分・・・」

「多分?」

「いえ、大丈夫、問題無しです!!」


もうこうなれば出たとこ勝負です!!

会って話してみないと・・・キチガイのキリシタン狂いのドン・フランシスコ大友宗麟の洗礼名に通用するか?

寝てから考えよう・・・


「面を上げい!!」

「は!!」


あ~何か時代劇で見た状況になってるよ・・・確かこれってお白洲しらすだったっけ?

俺は庭に座って縁側に大友義鎮と重鎮数名が座ってこちらを詮議される形です。

ああ~懐かしいな~遠〇の金さんとか大〇越前とかDVDでこの光景見たよ!!

縄を打たれていないだけましか~


「申し開きはあるか?」

「何のですか?」

「その方は神屋をそそのかして社の建立をさせようとしているな?」

「いえ、恐れながら某は何も示唆しておりません!!」


これは嘘じゃないよ!!

お社建てろとか一言も言ってないぞ。


「だが、神と会ったと言うたと聞いたが?」


あ~やはりそこがネックか?

ソウダヨネ~ソウダヨネ~普通は「神に会いました」=「頭が触れた(狂った)」て思われるよね~

さてどうするか?

考えていると何かを勘違いしたのかお奉行様・・・違った、詮議している側から「切腹」とか色々な処刑方法の話し合いの声が・・・


「「天啓」を受けたことが何か問題ですか?」

「そうだ、そのような世迷いごとを言い民衆を惑わす者など」

「もし仮にですが、本当のことだった場合は何の罪もない者を、然も「天啓」を聞く者を間違えで殺めておいてただで済むとでも?」


お白州の場に静寂が訪れる。

先ほどまで話していた者も固唾を飲んで自分たちの主と俺を凝視している。


「儂が信じるのはデウスの神のみぞ!他の神など何を恐れる?」

「ほ~ゼウスですか・・・」

「何だ?」

「ははははは~」

「何が可笑しい、等々気でも触れたか?」

「いえいえ、そのデウス様より「天啓」が降りました」

「な、何と!!」

「そうですね~大友様の悪行」

「何?儂が悪行だと!!」

「はい、デウスの神も日ノ本の神も同じ神ですから他の神・仏の物を奪うのはその神や仏からデウスの神も抗議を受けます」

「はぁ?」

「デウスの神の名の元に寺社仏閣をお壊しになったとか?」

「そ、それは・・・」

「他の神がデウスの神に抗議されたところ」

「されたところ何じゃ?」

「大友様に神罰を与えることとなり申した」

「儂に罰?」

「はい、しかし、神罰は本人に降るのではなく」

「本人で無ければ誰にじゃ!!」

「仲良くしておられます大内様へ降されるものとなったそうです」

「ははははは~戯けたことを!!」

「信じる信じないは当方あずかり知らぬ事、神は来年と申しております」

「来年・・・」

「もし仮に」

「仮に何じゃ!!」

「某を殺めた場合は」

「殺めたらどうなる!!」

「覚悟しておけとお伝えするようにと言われております」


大友さん家の一同絶句。

まぁここまでくれば毒まで喰らえ・・・あれ?違ったか?

まぁ毒でも盛られた様に皆さんパクパクと青い顔。

さて、これより先は運を天に任せるより無いな~死んだら丸目蔵人佐の剣豪伝説は此れにて終焉です。

あれ?考えたら剣豪らしいことしてないぞ・・・そろばん塾の先生として永遠と語り継がれるのか~前世の道場の爺様・・・スマン!

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