第4話
「父上」
「駄目だ!」
「え~と・・・」
あれぇ?俺まだ何も言って無いよね?何故行き成り駄目とか言うかな~
まぁ要望だけでも伝えよう。
「父上、聞いてください」
「どうせ碌な事ではないのだろ?」
「いえいえ、大変重要なおはなしです!」
親父は渋々と言った感じで頷いたので話だけは聞いてくれる体制が整ったようだ。
「実は兵法に目覚めました」
「行き成りだな・・・」
「はい、丸目と言う名字をお殿様より頂いた瞬間に天啓が下りました」
「お前って何か突飛な事をしようとする際には天啓を都合よく使ってないか?」
「・・・」
「使ってないよな?」
「はい、勿論です」
胡散臭そうに自分の息子を見る親父。
天啓連発しすぎたかな?まぁ今後気を付けよう。
「まぁ続きを聞いてやるから言ってみろ」
「あ、ありがとうございます」
「それで?」
「はい、兵法修行に出る様にと」
「天啓か?」
頷くと考え出す親父。
そのまま待っていると親父が結果を言う。
「分った、それを褒美として申し出てみろ」
「え?良いのですか?」
「勿論だ、お前の恩賞を奪うなどするはずなかろう。それが願いなら殿に願い出てみろ」
「わ、分りました」
どうやら親父は先見の明があるようだ。
俺は丸目蔵人佐を見つけられなかった・・・自分だったが・・・親父は何の事前情報も無く将来の剣豪を見出したのだからな~俺よりも人を見る目はあると思うぞ。
褒美として兵法修行を願い出るとお殿様のご紹介で天草郡にある
俺の予定では剣聖の上泉信綱の弟子入り予定だったのですが?
親父は断るなよ断るなよと言う様な念を送って来る。
これって「いや、だが断る!!」と言う流れかな?
コントの様な事したらお殿様のメンツを潰すことになるので多分物理的に首が飛ぶ流れだな。
「有難き幸せ!!」
「ははははは~そのように喜ばれると紹介する甲斐があると言う物よ、兵法修行に励めよ」
「は!努力いたします!!」
「うむうむ、
親父もお殿様に褒められて深々と頭を下げてお礼を言っている。
ああ、考えてみれば剣聖の今の所在は関東だったな・・・遠過ぎるから兵法修行と言っても候補にも挙がらないな・・・それに、関東に行くにも色々と先立つものが必要なのをはたと思いだした。
前世もそうだったが、こんな時代も金は必要だな・・・修行するにも金はかかる・・・何か金策を考えないと関東へ向かう旅費すら難しいな。
本当の丸目さんはどうやって関東に向かったのか・・・剣術道場の爺様は特にそこら辺は語っていなかったし語られても当時の俺は「ふ~ん」て言う程度で興味も持たなかっただろう。
剣豪が金策?・・・世知辛いな・・・
何にしても天草さんに兵法の基本を教えて貰いながら何か金策を考えよう・・・
「当方で教えられることは殆どありません・・・」
「そ、そうですが・・・しかし、殿からのご紹介ですし・・・」
「そうですね・・・ここで某が断れば殿の御顔を潰すことになりますね・・・」
天草さんの所に紹介状を持って行ったら早速「腕が見たい」と言われたので立ち合ったのだが・・・結果は御覧の通りである。
2人でうんうんと唸りながら如何すべきか考える。
仕方ないので1つ提案をする。
「実は世に名を轟かせております
「ほほ~それはそれは・・・でもかの御仁は関東に」
「そ、そうなんですよ、だから関東に行く為の旅費を稼ぐ為にも時が必要なのです」
「成る程の~」
「それに、出来ますれば金策を考えております」
「金策とな?」
「はい、それで商人をご紹介頂ければ・・・」
「相分かった、兵法ではお力になれそうにないのでそちらではお力になりましょう」
そう言って博多の商人でここまで買い付けに来ると言う
戦国期の博多は外国との交易で儲かっていたと聞くが神屋・・・どっかで聞いたような・・・
「どうも初めまして
「初めまして丸目蔵人佐長恵と申します」
「これはこれはお武家さんがそんな腰を引くーして・・・」
この神屋と言う商人の動作を真似て頭を下げたのであるが相手が慌てふためいている。
「お武家さんなのに腰が低いですな~」
「ああ、何かを成した訳でもありませんし抑々の話これからお願いする立場ですから・・・」
「天草様から少し聞いておりますが、何でも関東まで兵法修行に行きたいので
「誠に恥ずかしいのですが先立つ物も無いと行動出来ませんからね~」
「あはははは~確かに」
この博多商人との話は面白い。
色々な話題が飛び出してくる。
商人は情報通だと聞いていたが全国の情報を知って必要な者に必要な情報を届けて商売に活かしているのであろう。
「それで何か面白いお考えがお有とのことで」
球磨と言えば焼酎だろう!!
球磨焼酎は前世で大変世話になった。
米焼酎でスッキリとしていて呑み易い。
酒のことについては好きだからこそそれなりの知識がある。
この戦国時代で珍しいお酒と言えば、外国産のお酒だろうが前世で調べた限りだと焼酎の起源は
年代的にはそろそろ薩摩辺りで作られていそうであるが珍しいはずだ。
焼酎の事を伝えるとやはり情報通の商人、その存在を知っていた。
流石に製法だけではお金は出せないと言われその場で1年間でどれだけの利益が出るかをコンコンと説明した。
しかし、商人神屋の飛び付いたのは別の物であった。
「それにしても丸目様は算術に長けておられますね」
「算術・・・今説明したのは算術では無くて簿記ですよ」
「ぼき?聞きなれぬ言葉ですね」
そう言えばこの時代は台帳の概念としては家計簿レベルの物しか使われていなかったはずだ。
そのレベルでは複式簿記、特に先ほど説明したレベルの話は感覚的には凄い物だと理解できても使いこなせないはずである。
しかし、前世で簿記2級を持つていた俺ならば教えることは可能だ。
それに、この時代は九九すら未知数の代物だ。
「焼酎の製法よりそのぼき?をお教え願えるのならば私の方で援助いたしましょう」
「え?本当ですか!!」
「はい、これでも博多では中々の大店ですから1人の方の援助位訳もございません」
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