シューティングゲーム アラートバレット
次にやったゲームは、時代遅れの天才、ゲーセンの世界であれば帝王とも称される小嶋監督の作品『アラートバレット』をすることになった。
小嶋監督の作品はシナリオがとてもよく、据え置き機での作品を期待されていた。けれど、ゲーム性に落としきれず鳴かず飛ばずの結果に。10年代に入って時代遅れながら仕方なくゲーセン系の単体機でゲームを出してみたら好評を得て、レトロブームとの兼ね合いもあり、ゲーセン会では先述された通りの呼び名で言われている。
彼女もそのゲーム監督シリーズのゲームをやったことがあるらしく、ゲーム傾向はある程度は把握をしているからやろうという事になった。
「しつこいかもしれないが、このゲームは完璧にこなしてもクリアするのに最低でも七〇〇円、クリア相場は二〇〇〇~二四〇〇円だぞ。しかも、序盤が最もお金を踏んだ食られるところだ。四〇〇円でいけるのは精々、ワンステージくらいだ」と相坂に忠告した。
それを聞いた彼女は「じゃあ、完璧にこなして三〇〇円でどこまで行けるの?」とサラッと全ゲーマー監督ゲーマーを馬鹿にするような発言をしてきて、舐めすぎだと少し好感度が下がった。
「あのなぁ、このゲームを舐めすぎだ。ステージ全一二種類、一応ソロでも攻略できがそれでもにステージ中盤が関の山だ。それに二人プレイでやったらそれはもう事故こりまくりですぐにパーだよ。まあ、ただでやる機能を使えば話は変わるけど」と確実に女性に嫌われるような説明をして、明らかに気分を悪くした様子だ。
けど、彼女は肩の力を抜き「つまり、三〇〇円あれば3ステージまで行けるってことね」と、さらなる舐めプ。
「人の話聞いてたか?」とぶっきらぼうに言って威圧したが、相坂は「はいはいやった後にそれは言いましょうね。あと、殺しちゃいけない敵がいたら指示出して」とシューティングの機械にコインを入れて先に仕事を開始。
「仕方ないな」と、自分もコインを入れて2Pにつく。
『アラートバレット』は二人推奨のシューティングゲーム。小嶋シューティングシリーズ三作目。さっきもいったが全十二ステージとキャラクターイベントの豊富な作品となっている。そのためフラグ管理が難しく、間違ってそのキャラを始末しようものなら、詳しい相方がブチギレて友情をぶち壊しやすく、ただシューティングを遊びに来た奴ほどクソゲーと呼ぶ。財力とプレースキルがあれば、そのキャラクターたち全員を生存クリアも可能だが、そうなると一番大きな札が全部硬貨になってしまう。
まさに間違えようもないクソ神ゲーだ。
「ん?ひとつ確認だけど、君の銃弾一個少なくない?」とムービー中に質問。
「ああ、威力が違うんだよ。細かい倍率は忘れたが、お前の銃弾で六発かかる敵を五発で仕留められる。計算してやればできなくないが、生憎のそれは皮算用だ。高校の時の彼女とそれをやろうとしたが……無理だった」
「そう……てことは、君が撃つ相手は解っているんだね」と真顔で答える。
チュートリアルが始まる。最初に二体出てきて、次に一体出てくるを三回繰り返して撃退するというシンプルなものだが、この時点で相性が分かってしまう。
最初の二体は五発全弾命中で1キル。ここで全弾の威力と射撃速度が把握できる。全弾使用してしまうから必然としてリロードをして次の一体に備える。そこでお互いのリロードスピードを確認する。その一体は相方の全弾を当ててもやられず、最後に一発をパートナーにやってもらい討伐になる。この段階で乱射魔か正確に撃つ抜く人間かがわかる。
でも、この三体目。五発撃つ側が三発撃ち、相方に一発ぶち込んでもらえると実は簡単に仕留めることができる。界隈でゴクロウサンと呼ばれる確定クリティカルショットだ。プレイ合図としてはサン呼びだが。前後しても問題ない。
自分はその仕様を分かっていたから、最初のは全弾使い撃退。相方も全弾撃ち同時に足を踏んでリロード。三体目が出てきて彼女は構えていたから内心「ああ、多分乱射するな」と思いながら、一発撃ち全弾を任せようとしたが一発も撃たず、そのリズムの癖が自分の中のサンのトリガーを引き続けて二弾。最後に一発彼女が一弾当てて敵を倒した。
「へえ~この時点でゴクロウサン採用されていたんだ」と、マニア発言が出てきて思わず、「サンサン、ニとか分かるのか」と訊いたら「あれでしょ、聞き間違いをしないように繰り返して、三発一発のクリティカルに一発いれる撃ち方でしょ」とわかり切ったことをと言うように一蹴。
その瞬間何の説明もなしに「指示はサンサン、ロンロン、ゼハゼハで行う」といって「サンクリ、六弾、全弾ね、了解」とチュートリアル最後の特殊敵に三弾ずつぶち込んで撃退。
「もしかしたら、初見タッグで3ステージ行けるかもしれない」
「ふっ最高に舐めてるね」と、お互いゲーマーの血をたぎらせ「もし4ステージに行ける未来も考えてチャートを組んだ。殺しちゃならないヤツは三人。硝子越しの構え部隊のと1ダメカエルと先が部破壊イベントに登場する武装女性だ」と指示を出したが、「それ全部イースターエッグじゃん。そう思ったやつは撃たないからね」と絶望的で彼女、相坂要とならその不可能を可能にできる感覚がして、わくわくが止まらなかった。
結果、全発見イベントキャラ生存、5ステージを達成するという快挙を成せた。
「――――」
「やっぱここまでしか行かないか~」と名残惜しそうに銃を戻し、これ以上はやらない意思を示した。
自分も名残惜しいが銃をしまい。彼女の愚痴を聞く。
「あれ絶対に一人見逃していると思うよ。六人イベントキャラ生存させたけど、あれで六ステージ行けないなんておかしいよ!」と頬を膨らませ怒る。
「そんなはずはない。言っちゃ悪いが、何発か外したところ、無駄リロードがあったから6ステージに行けなかったんだ。もしそれが見つかったなら、大事件だぞ」
「……それもそうね。監督の作品の規則上、余計なキャラがいないとか言うし」
「だろ」
この考えが後に愚かだったと知らされる。その発見者はもう既に登場しているし、このゲーセンで発見されるのだが、それはまだ別の話。
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