男と女の金の使い方
「資本主義がどんなことかはわかったけど、いくらお金を発生させる方法を知ったところでそれをどうやって回収するかが問題よ。学校の運営を手伝っている立場としてそこは訊きたい」と志保が質問する。
「出し方は分っても手に取らなけらばATMでお札取ってくださいと言われるばかりだしな」とネタを加えながら次の本題へ。
「では、そもそも男女でお金の使い方が違うという事は知っているだろうか?」と問題を投げかけた。
「男女でお金の使い方が違うの?みんなやっているでしょ。遊ぶためだとか生活のためだとか似たような感じだけど」
「志保さんそのまま見るのも大切だけどもう少し細かく見る癖付けた方が良いよ」と小鞠が指摘した上で「男は女と遊ぶため、女は女と遊ぶためにお金を使っていると思うわ」と本質的なところをいった。
「正解だ。正確には男は生活の維持と女性を手に入れるために金を払い、女は人間関係のためにお金を払うだ。とある映画の名言でも言ってたものの流用だがな」
「それって、ラニスターのネタか?」とキドに指摘され、自分は「そうだ」と答えた。
「……言われてみれば、そうだね。推し活をしている友達はアイドルに興味があるんじゃなくて、それを好きに成る事で生じる人間関係を大切にしているイメージがあるし、男性が女性にお金を使うのは――間違いなさそうだ」と、志保はいちどキドを見たあと、確信し肯定した。
「簡易的な納得を得るには充分だが、それをより確信を持たせるためにも、とある実験例を挙げておく。これはサルで行われた実験なのだが、コインを渡すことでエサが出てくる装置、およびコインのグレードによって出るエサが変わるということを覚えさせ、お金を概念を植え付けた行った実験がある。そこで最初に取引されたのは何だと思う?」と問題を出した。
その質問にキドは即答で「セクソーーーー!!」と立ちながら答えた。
「さすがにサルでも舐め過ぎでしょ。女って奴はそんなに軽くないの」と志保は呆れながら落ち着くように手を下げる。
「正解だ。キド。何のオブラートにも包まずに言うなら売春、現代でいうパパ活が最初の取引とされている」
「ええ!!なんで!!」と志保は驚いて今にも何でか?知りたげだ。
その疑問に答えたのは小鞠で「結構有名な実験よ。そのお金を覚えさせる実験の他にも面白い実験をしていたようだけど、高い可能性でその取引が行われたと言われているわ。メス猿がそのコインを見て、身体を条件にそのコインと交換するという事象がね」と淡々と答えた。
「マジで……」と驚きが隠せない様子。
「この実験で分かることは、そのコインは物質的にはただの鉄くずだが、エサと交換ができるという権利が付いていると理解した途端に、身体だって差し出すし、お金を偽装して相手に働いてもらうという事がサルにでもできるという事実と、シフォの思う通りその堅い貞操(本能)すら、お金という権威の前では平伏をしてしまうような効力を持つ。恐ろしいものだと理解できる」と自分は伝え。
小鞠はオチとして「ちなみに、そのお金の概念を植え付けられたおサルさんたちは、お金に狂い全滅したちゃいました~というのがオチね」と不敵な笑みを浮かべた。
「つまり、私たちはお金によって滅ぼされるってこと?」と志保が訊いたら。
「実際そうじゃない。お金の切れ目は縁の切れ目とか言うし」とキドは言って、志保が「怖っわ」と締めて、その日のお金の授業は終わった。
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