七代目以降の話
突然の七代目就任に驚き、グチグチといろいろ言われたそうだが、それ以上に揉めたのは案の定、作った会社の人間を銀堂家の土地に住まわせ自給自足ができる村を作ると宣言したことで、「どこの馬の骨かも分からん人間と付き合えるかよ」と特に年長者たちは怒り心頭だった。その反面、次世代の人間からすれば、「時代の転換期だ」と年長者たちを落ち着かせ、その宣言を受け入れた。
もっともな話、不遜な六代目によって建て直すどころか破壊して、中身を掃除されたから拒否しようにもそれで待っているのは破滅しかなかったので、渋々年長者たちも受け入れざる得なかっただけなのだが……。
まあ、晴彦の兄貴が優しいところはやはり、そういった年長者の思いも汲み、まずは知ってもらうことからはじめ、その人々と作る未来のことを考えさせた。その結果、現在ではお互いできない事、できる事を教え合う仲となり、銀堂家の土地と家名を護っていく使命を果たす住人となった。
周りにはここまでなるのに十年かかったと謙虚に言っているが、実際のところは二年ほどで事業を軌道に乗せ、五年が経つころには上記の関係になっていた。
一方、家を飛び出した銀之字遊学は、大学時代に手に入れた『特権』を使い、今までちょっかい掛けて来たツケを払わせるように飲み食いをし、現在の妻に出逢うまで放蕩の限りを尽くす日々を送っていた。
その出逢いのあともなぜか知らないが、自分が活躍するのと同時に銀堂家の株も上がっていく謎現象が起きて、交流が無いはずの知り合いとも仲良くやっているという始末。それを見て自分は、こうなる星の元に生まれてきたのだと改めてうな垂れた。
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