第3話 保恋一旦
「受けれない、かな」
「はは、やっぱり……やっぱりそうですよね。僕なんかが告白したのが間違い……」
「別に、間違いでは無いよ。今は無理ってだけ。私と付き合う為にはもう少し強くなってて欲しいなって思ってね。それに私達よく分かってないし」
「ま、まだチャンスはあるって事ですか!?」
「うん、そうだね」
私がそう言うと、レイくんは決意した様な目をした。こういう所、本当に可愛いんだよね。……少しくらいなら、手助けをしても良いよね?
「レイくん、この後、用事空いてる?」
「はい、空いてますけど……」
「だったら行きたい場所があるんだよ。良い?」
私はレイくんが頷いたのを確認した後、レイくんの手を引いて、先日に買ってあった私の家に案内する。とは言っても、中に入れるのでは無く、外の庭なのだけど。
「あの、此処って……?」
「私の家の庭だよ。ほら、木剣をあげるから。私に向かって攻撃してきなよ」
私がレイくんに向かって木剣を渡した後、そんな事を言うと、レイくんは迷う素振りを見せてから私に向かってきた。
先程までの動きと比べると遥かに速い……!自然に身体に魔力強化を施している……いや、違う。この魔力強化、レイくんが意図的に使っている。だけどきちんと理解して使っている訳じゃなさそうだね。全て感覚で使っている。良いね、私も感覚タイプだから合いそうだ。
「魔力量も魔力変換効率も一人前以上。ただし魔力循環技術や魔力練度はまだまだ、だね」
「おも……っ!」
私が加減した力を込めながら木剣で突きをする。レイくんはその攻撃を自身の木剣で防ぐ。しかし完全には殺さなかったみたいで、結構吹き飛んでいった。最初は戦闘の”せ“文字も知らなかったレイくんが一瞬で次のステージに登った。
「本当に最高だよ、レイくん」
私の口からそんな言葉が自然と浮き上がる。そしてそれと同時に闘争欲が、戦闘欲が心の底から湧き上がる。
「風……?」
「久方ぶりにこんなに心が踊った。だから見せよう、私の力を。私の技を」
「勇緋流」
『
魔力を使用していない純粋な剣技。しかし全力を出す訳にはいかないので、ある程度力を抑えながら木剣を叩き込む。
「げぼらっ!?」
レイくんはそんな声を挙げながら吹き飛んでいく。吹き飛んで、いく?
「レイくん!?ごめーん!!」
私はそう叫びながらレイくんに向かって走る。
「うぅ……ごめんね、レイくん」
「いえ、僕が弱いのが悪いんです。だからミネリアさんが気にする事では……」
「でもさぁ」
「そんなに気になるのでしたら、これからも続けていただけますか?僕、ミネリアさんと戦ったら不思議な感覚がしたんです。ぶわっ、ぴゅー、ぺん!っていう感じで!」
「分かりました。……何か食べますか?せっかく食事処に来たんですから、食べたらどうです?お金は私が払いますよ」
「えっ、いや、でも……」
「レイくんくらいの歳の子は沢山食べるべきですよ」
私がそう言うと、レイくんは分かりました、と頷いた。うぅ……この子本当に可愛いよぉ。私の物にしたいけど、まだダメなんだよね。はぁ、あんな事を言わずに恋人にしておけば良かったかも。
「おいひ〜!これ美味しいですよ!」
レイくんはそう言いながらご飯をパクパクと食べている。私はそんなレイくんが小動物みたいで可愛いなぁと思いながら、レイくんの頭を撫でる。そうすると、レイくんは怒るでも、振り払うでもなく、目を細め、私の撫でを素直に受け入れている。男の子ってカッコつけたがり屋が多いと思っていたんだけどね。
「どうしたんですか?僕の頭を急に撫でて来て」
「いや、可愛いなって思っただけだよ」
「それ、褒められているのでしょうか……僕的にはあまり褒められた気がしないんですけど」
「褒めてるよ。私が態々レイくんのことを貶すと思う?」
「いえ、思いません。えへへ、そうなんですか。ありがとうございます」
あー、この子本当に可愛い。私ってショタコンだったのかなぁ。多分レイくんだからなんだよね。
「本当に美味し……んぐっ!?んうんうんう!!」
「此処のご飯が美味しいのは分かるけどさぁ、もっとゆっくり食べなよ。じゃないと今みたいに喉詰まっちゃうよ?ほら水」
「んくんくんく……ふぅ、ありがとうございました。ミネリアさんがいなかったら喉に詰めて窒息死をしてたかも……食べ終わりました」
私はレイくんがそう言い、食べ終わったのを確認した後、お金を払って食事処をでた。
「ミネリアさん、今日はありがとうございました。また明日」
「お疲れ様、レイくん。また明日ね」
私はレイくんが見えなくなるまで手を振った後、私の家へと歩き出した。本当に今日は色々あったねぇ。レイくんに告白されたり、レイくんと戦ったり。あれ?今日のインパクトがある出来事、全部レイくん関連じゃない?まぁ、それだけ印象に残ったんだろうね。
「少し一緒にいただけでも分かったよ。レイくん、君は素敵な人だ。だからこそ、警戒をしなければならない。なにが目的なんだ、今回はなにをするつもりだ。何故レイくんの身体の中に潜んでいる。いや、関係ないか。レイくんの身体を乗っ取り、悪行を成すのであれば、今度こそ潰してあげるよ。
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