第64詩『透明な涙』こころ

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 はら はら はら

「透明な涙」落ちる

 彼女のこころから溢れ、流れた涙はどこに行くのだろう

「透明な涙」嬉しい涙は花になり



 悲しい涙は海に行き

 寂しい涙は夜空の星になる

 そうして、幾度いくどときを越えて来たのだろう

 涙はこころの薬と言うけど



 傷つけられた涙は、どこに行くのだろう

 きっと、深い深い闇の底に沈み込んで行くんだ

 その時は彼女も、涙と一緒に深い闇の底へ

 光の届かない奥底で、うずくまって、また浮き上がれるように



 時間ときを掛けてゆっくり、ゆっくり傷を癒している

 そのあいだにも、治ることを決して許さない

 

 黒の獣たちは、彼女を狙って

 また、傷つけようと鋭い目と牙を光らせている

 彼女はうったえる、懸命けんめいな言葉にも耳を貸さない獣たち



 すでに彼女は傷だらけなんだ

「もう、やめて、この人が何をしたって言うんだ」

 あざ笑う獣の群れ


 勇気を振り絞って、声を上げようとする、けれど

 言葉がのどに張り付いて、上手く出て来ない

 彼女は耐えてまた、浮上する


 はら はら はら

「透明な涙」落ちる

 治りきっていない傷はいまだ、生乾きで、柔らかく傷つきやすいんだ

 彼女は身を守るように涙をまた、流す



 ボクはそばに寄って愛撫あいぶするくらいしか、出来ない……

「透明な涙」を流す、彼女をボクは見上げた


「なにも出来ない僕を許して」



 僕と彼女のまなこが合って、笑顔でボクを見つめてくる

 君が笑ってくれるなら、ちっぽけなボクも必要なはずだ



明日あしたこそは、虹が掛かりますように……」



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 お読みくださってありがとうございます。

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