第37詩「まんじゅしゃげ揺れて」こころの詩

 秋の夜長の満月に揺れる、揺れるまんじゅしゃげ。

 私の大切なあの人は、去年の夏の盛りに逝きました。


 お願い、花よ。この想い届けて想うは、あなたただ一人。

 秋の夜長の満月に揺れる、揺れるまんじゅしゃげ。

 赤い色、白い色。秋の風に寂し気に揺れて…



 秋の夜長の満月に揺れる、揺れるまんじゅしゃげ。

 あなたを想えば、あふれる涙。お願い、花よ。この想い

 あの人に届けて想うは、あなたただ一人。


 いつかは天寿を全うし、あなたに逢える日が来るのでしょうか?

 それまで私は、生きます。あなたの思い出を胸に秘めて…


 秋の夜長の満月に揺れる、揺れるまんじゅしゃげ。

 私を笑顔にしてくれた、あなたが彼岸ひがんでも笑っていられるように。どうかどうか。

 赤い色、白い色。秋の風に楽しそうに揺れて…


 夕日のその向こうで、あなたと一緒に大切な人たちが笑った気がした。

 私もつられて笑う。あなたが生きた世界で私は今日も生きる。



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 彼岸花の別名が、曼殊沙華まんじゅしゃげ

 此岸しがん=この世 彼岸ひがん=仏様の世界 という意味があるそうです。

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