第010話 カラオケが1番個性でる

「すげー楽しかった!なぁ歩、銀丸!」

「そうでござるな蛍殿!またみんなで来たいでござるな。」


いつの間にか熱い友情が芽生えているこいつらは放っておいて次の計画を確認しよう。

時間は昼頃になってきたのでお腹も空いてきた。


「この後のことなんだけど、どうするんだ大柏。そろそろお腹も空いてきたけど。」

「えー?ここからはノープランだよぉー。」


ん?ノープラン?

大柏は本当にボーリングがしたかっただけらしい。

任せてばかりでは、悪いしみんなで考えるか。


そう思った時、月野が提案してくる。


「それなら、カラオケがいいんじゃないでしょうか。ご飯とかも食べられるしお腹空いてない人は歌も歌えるから。」

「カラオケか。すごく良い案だと思うぞ月野。」

「当たり前じゃない。なんたって小鳥の案なのだもの!」


親友が褒められて嬉しいらしく、増本が自慢げに答えた。


「小鳥ちゃんのナイスな提案の方向でいこうか!私近くのカラオケまでナビできるよ!」


と、灯が言うので案内してもらうことにした。


さっきのボーリングで体力を使ったらしく、みんな自由に休みだした。

俺はお腹が空いてきたのでメニューを開いて、何を食べようかと考えていた。


「意外と気が効くのね霧道。私は、アイスコーヒーとサンドイッチをお願い。」

「了解。注文しとく。」


と返事をすると、みんなが頼みたいのを言い始める。

お前らなぁと思っていたが、仕方がないので俺がまとめて注文することにした。


「霧道君大丈夫?私も手伝おうか?」

「小鳥ちゃん霧道君なら大丈夫だよー。何歌うか一緒に決めようよぉー。」


なんで大柏が答えるんだよと思ったが、気を遣っている月野に対しての配慮なんだろう。


「気を遣うことはないぞ。こいつらみたいに食べたいものとかあれば言ってくれれば注文するぞ。」


そういうと月野は大柏に連れて行かれて歌の選曲を始めた。


「最初は拙者が歌うでござる。何点取れるでござるかな。」


王馬が先陣を切るようだ。

選んだ曲は、演歌ようだ。


〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪


曲が終わり採点を始めた。

聞いている分には普通に上手い。

しかも、本人のイメージにあっているのが余計に。

 

89点


結果はなかなか良いのではないだろうか。

この王馬を皮切りにみんなどんどん歌を予約する。


それを見ながら俺は届いた料理を食べていた。

フライドポテトってなんで1度食べたら止められ無いのだろう。

誰かの注文したピザをつまんで甘いものが欲しくなりフードメニューをまた見る。


バサッ


俺が見ていたメニュー表を奪われてしまう。

あー、俺のパフェがぁーー!


「霧道君ご飯ばっかりだよー。何か歌わないのぉー?」


バレてしまった。

今までなるべくマイクを渡されないように食事に集中していたのが、ついに捕まってしまった。


「もしかして、霧道殿音痴でござるなー。安心してほしいでござる拙者は点数なんて気にしないでござるよ。」

「やめてあげな王馬、歌いたくないやつに無理やりやらせようとするんじゃないよ。」


意外にも増本が助けてくれる。

心の中だけ姉御と思うことにしよう。


しかし、これだけ馬鹿にされてしまうと黙っているわけにはいかないので、1番得意な曲を入れる。

こちらをニヤニヤみている日朝兄妹は後で説教だな。


曲が始まり、重い腰を上げマイクを握る。

ショート動画でバスっていた曲が流れる。

この曲なら知っている人も多いだろう。


〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪


採点の結果が画面に表示される。


96点


自分の中でも自己ベストを更新することができた満足した。

よし、これで静かにパフェが食べられるぞ。


「う、うますぎるでござるよ霧道殿!」

「上手すぎてビックリだよー!次は何を歌おうかぁー。」


こうなると分かっていたから歌いたくなかったんだよと思いながら、みんなが選んだ曲を永遠に歌わされることになり当分パフェはお預けになった。


時間延長するかの確認の電話が来たので、店を出ることにした。

やっと解放された。

俺の喉は取れていないだろうか。

だいぶ盛り上げを見せたので、これはこれで良かったのだろう。そういうことにしなければ疲れたメンタルが癒えないだろう。


本当なら次の遊ぶところを探すところだが、明日も授業があることや今日が月野達の初対面ということもあり学園に戻ることにした。


◇◆◇


みんなで今日の感想とかを話合いながら歩いて学園に戻る。

学園で他の生徒と交流する機会がどれほどあるのかわからないので、今日の経験は貴重なものになるだろう。


学園に着くと京極と秋鹿が訓練を終えて寮に戻るところが見える。


「おーい!京極殿と秋鹿殿じゃないでござるか。訓練でもしていたでござるか。」

「王馬君、これは邪魔しちゃいけないやつだよぉー。」


秋鹿が誤解を解くために顔を赤くして必死に否定する。


「な、何を言ってるんですか大柏さーん!訓練です!」

「霧道達か、もう遊んで帰ってきたのか?」

「あぁ、カラオケ行ってきて喉が潰れたからな。」


それにしても昨日は聞くのを躊躇ったが、偶然遭遇してしまったので秋鹿に京極と訓練していた理由について聞く。


「それはですね。クラス内で行われた試合で手も足も出なかったので、私からもう1度試合形式の訓練をお願いしたんですよ。」

「途中で秋鹿のリバイブが起動したから今日の所は終わりということになったんだけどな。」


せっかくの休みだというのに訓練とは意識の高さがうかがえるな。

本当であれば学園で1番弱い俺が訓練をしなければいけないのだけど。


寮に着いたので、今日はここで解散ということになった。


まだ学園生活が始まって4日目であるが非常に濃い経験ばかりである、面倒なことも多かったが素直に楽しかったと思うことの方が多かった。

俺は今年1年間でどれほどの思い出を作ることができるだろうか。


そして、どれほど強くなれるのだろうか。


5つの希望になるには超えなければが数えきれないほどある。

クラス最強の京極だけじゃない、まだ見ぬ他のクラスの実力者や上級生も。


そう考えながら今日も眠りにつく。

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