第30話「謎の感じ…からの脱出」

「ん''?」

賑やかな店先、いつも通りの雰囲気。

来いと言われたから来たものの…こっちは意識がなくなるまでは、覚えてるから何か微妙…。

「ぉ、おう。モア!!」

ーー……。

普通だ。

よかったぁぁあ‼︎

記憶がないんだから、態度が変わる訳ない。

でも、こっちは記憶があるから変な感じ…。

ソレイュは不思議そうな顔で、こっちを見てくるけど…出来るだけ眼を合わせたくない。

「モア?」

ーー顔を覗き込んでくるなッ‼︎

心の中を覗かれる様で、嫌。

後ろに飾ってあったおそらく、ニラァジュが描いた絵に目線をやる。

 何? 

「ぃや、別に。」

ーー少し睨んどいた。

さりげなく、背を向けておこう。

ショコラを待つ間、店内を眺める。

店先にはどこからかの帰りの客と手前の席には女が1人で座ってる。

ーー女の1人客とは、珍しいな…。

あの1人で来てる女がこっちを見てる…気がする。

けど、今は気にしない事にした。


ナニ?

ナニ⁇

なんだョ⁈

ソレイュちゃん、やたらモアの事を気にしてない⁈

ちょっとォ!オレが知らない所でナニがあった? 

「モア、ショコラ〜テ…。」

 ぁあ。

モアも何か変だ…。

ぃやだぁぁぁあ!

わっかんないョ!

ャダ、ャダァ‼︎

ここまで、苦労してきのにィ!

モアが現れるまでソレイュちゃんのお気に入りは、オレだったんだから‼︎

いろんな話して。

こっちの喋り方の方がいいって言われたり。

オレが描かれてるイマァジ、見に家に来たり。

オレ専用のプレィティナ用意してくれたり。

それなりの絆があるんだから!

あ''ぁ''‼︎モアもいつの間かプレィティナ変わってるしぃ‼︎

ャだ‼︎負けたくないィ!

でも、どうしよう…。

ケンカしてた方がオレにはいいのにィ。

…気になる。

何が、あったか気になる!

「ねぇ、ねぇ!ソレイュちゃん。モアとケンカでもした?」

「ぃや…してねぇけど?」

!!

ぁ、目が泳いでる!

…でも、確かにケンカって感じでもないし…?

なんだろぉ?

でも、絶ェェェッ対なんかあった!

おかしいもん‼︎

今後、2人の様子を見張らなきゃッ‼︎

ここまですごい時間…掛かってんのォ、大変だったんだからァ!

掠め取らさないョ!

この泥棒ベルルゥウ‼︎


ーーやっぱりあの女こっちの様子を伺ってる気がする…。

紙袋を持って誰かこっちに来る。

…確か…コリィヌ?

「おう。コリィヌ!」

「サリュ〜。ソレイュ…モア!!」

ーー何?すごい笑顔。

「モア!アタシ達でお出かけしましょ!!お願ぁいぃ!」

 えっぃ……。

「ッいいの!?やったぁ!ありがとう!!」

ーー嫌って言おうと思ったんだけど。

捕まってしまった。  

面倒な事に巻き込まれたかも…?

でも、今のなんとも言えない微妙な感じからは離られるか…。

「じゃあ、モアの部屋に行こう!支度しないといけないからっ!」

 えっ?

ーー何?何?支度⁇

コリィヌは、話を聞いてくれなさそうな勢いで手を引く。

もう行く気で手を引いてるし、行くしかなさそう。

はぁ。

「モアの部屋は4階よね?」

 あぁ。

「じゃあ、部屋の前で待ってるから着替えたら出て来て‼︎」

 わかった。

ーーコリィヌ何を企んでるんだろう…。

ん?

ワンピース⁇

…どう言うつもり?

女の格好か…あんまりしたくないけど。

でも、やるなら…徹底的に…!


 着替えたよ?

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