第12話 ルロァ篇04「ィラィウォスとの決闘」
「モア様、宜しいでしょうか?」
どうぞ。
・
行きましょう。
ーー「それ」がどこかわかない。
聞くしかないな。
何か知ってそうな奴は、こいつしか思い当たらない。
ァリシアティヌ嬢が気に入った「それ」はどれですか?
「えぇっと…確かココに…ぁあ!こちらです。
ァンジェリカ様へのお誕生日の贈り物でした。
その小箱を見た途端とても気に入られて。」
ーー…これって⁈
魔術の痕跡はここから…あぁ、恋のまじないのはずが、眠りの呪い…。
あぁ…魔術師が粗悪だったのか…。
深読みし過ぎた…残念。
そんな魔術師を遣うファロン家に同情する。
「あまりに気に入られていたので、ァンジェリカ様が差し上げたのです。」
原因は、おそらくこの小箱でしょう。
小箱を開けた事で、魔術がかかったようです。
「そう、ですか…。」
ーーたぶん魔術師が箱を開ける様に暗示でもかけたんだろう。
この事はァンには、黙っておいた方が良いでしょう。箱が原因なのではなく、配達人に扮した魔術師に間違われたと言う事に…。
でも、その相手がァンではなく、ァリシァティヌだとは簡単には気付けない。
「はぃ…そうですね。
箱を自分が開けていれば、とァン様が自分を責められるのかと思うと…ゥウッ!」
昨日と同じように風を起こす。
今日はちょっと強めに。
「ぁ、モァ…。」
ーー廊下でァンと会った。
これでも、ァンから声をかけて来ただけ成長してると思う。
「ァリスはどぅですか…?」
明日までかかりますね。
ーーもうしばらく眠り姫でいてもらわないと…。
ァンと静かに廊下を歩いていた。
中庭の近くの廊下を歩いてると、不機嫌そうな男がこっちに向かって来る。
「ア''ァッ''〜!ァンジェリカ!?
ソイツか!?
ソイツに会いたいが為に例の店に通っていたのか?!」
ーーそうなの⁈絶対違う。
ァンとは1度しか会ってはいない。
ァン、何か言われてますが…?
「いぇ、違ぃますぅ…。」
ーーえぇ''‼︎
いまいち否定に欠ける返事…。
「ァ・ン。
ウチのフラレンスを気安く呼びおって!
ッ気にいらん!!
胡散臭いし!どうせ何かが目当てで来たんだろッ?!!!
コノ何者でもない…卑しい者がッ!
ーーほぉ…。好き勝手言ってくれる…。
!!
隣りで勢いよく扇子を閉じる音がした。
「ィ、ィライウォス!!
モアは、大切なワタクシの大事な友人です!
今までァリスの為にここまでしてくれた人がいたでしょうかッ?
アナタは、見つけられなかったじゃないですかッッ!!
モアを悪く言わないでッッ!!」
ーーあぁ、喧嘩が始まってしまった…。
「ァンジェリカ!
やっぱりソイツに気があるのか!?
そんなに庇って!!」
「ち、違うって言ってるでしょッ!
モアに勘違いされたら、ァッアナタどぉしてくれるのッッ?!」
「…フンッ!!」
!!
ーー何か投げつけられた。
何これ⁇
「貴様に決闘を申し込む。
お前が勝ったら言った事を訂正してやる。
フラレンスを賭けるつもり気はな い。
まぁ、俺がきっと勝つがな‼︎
不戦敗でもいいぞ!
アッワハッハハッ!!」
ーー''ッ。
いちいち、腹立つ。
受けてぼろっぼろにしてやるよ。
慎んでお受けします。
ーーやれるも者ならやってみろっ。
「モ、モァ…ッ!
やめて頂戴!ィライウォスは帝圀からこの土地を護る様にェキュリァンを賜った存在よ…!
けがをするわ!」
…。
ーー自らの過ちを悔いるがいい。
「ィ、ィライウォスぅぅう!
ワタクシが悪かったわ。決闘なんてやめて頂戴!!」
「お前は黙ってろ。」
「ッモォウ!あなたの事嫌いになっても知らないんだからねッ!」
「…ゥッ!」
「コレを貸してやろう。私の使い古した剣だがな!」
…。随分と欠けてますね。遣い手の腕が伺かえます。
「ン…ノッッ!!」
「では、これよりイライウォス様とモア様の決闘を行います。相手を絶対、殺さない事!
では…!ォン・ハセルド…アレィ!!」
!!
ーーえ?
ぇ?
え⁇
待って!
待って!
待って!
弱過ぎないッ⁈
右。
左。
右。
簡単に避けれてしまう。
あぁ、退屈…気を付けないと剣を弾いてしまいそう。
上手く負けたフリをしないと…。
上。
中。
下。
上。
「どうした?やられぱっなしか?」
≪---+
+---≫
+--\_
剣を滑らし、ぎりぎりで避ける。
相手の剣が上手く地面に刺ささる。
つい、片膝を着いてしまった様に膝を折る。
ーー我ながら、凄技!
負けました。
ーーここまでやればみんな信じる。
負ける役も簡単じゃない。
下手な奴はできない。
何年も稽古が必要。
おそらく何をされたかもわかってないだろう。
「ィ…イライォス様の勝利です!」
「ィライォス様お強いぃッ!」
「息を飲む戦いでした!!」
「フンッ!やはり俺の勝ちか。
お前はァリシァティヌのことが済んだら、この城に近づく事を禁ずる。
破ったら、殺す!!」
わかりました。
ーー上手く負けてやったんだ、ありがたいと思え。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます