品行方正、才色兼備の後輩が実はヤンデレだった!?
ヤスミ
先輩は私のものになったんです
俺は後輩の
顔も好みで、性格もよく、頭もいい運動もできる
そんな女の子に遊びに誘われて他の男子に後で自慢してやろうそう思っていたんだ。
なのに、まさかこんなヤツだったなんて……
「先輩♡」
「むぐっ」
「あぁ、口を塞がれてちゃ喋れないですよね?でもぉ抵抗できない先輩もすっごく可愛いですよ?」
目の前にいる紫陽ちゃんは俺が知っていた後輩では無い、目に光がなく少し語彙も怪しい。
「もう少しだけ、この状況を楽しもうかな〜」
両手を椅子の後ろで縛られていて、足も固定されて動かないそんな俺に近づくと、紫陽ちゃんは体のあちこちを触りながら俺の膝の上に座ると思い出話を始めた。
「まず、今日はデートに付き合ってくれてありがとうございます、すっごく楽しかったです」
「先輩は私の事好きですか?私は先輩をすっごく好きですよ?」
「先輩には最初学校で迷っている時に助けてもらいましたっけ?時間もなかったのに場所を教えてくれて自分は授業に遅れてましたね」
確かあの時は可愛い女の子を見つけてお近づきになれたらとしか思っていなかったはずだ。
「普段の私って優しいので、いっぱい友達がいるんですけどその時はたまたま1人だったんです、これが運命ってやつなのかもしれませんね」
「そこから先輩は色々と私に親切にしてくれたり、私と仲良くなるために色んな努力をしてくれました、結構冷たくあしらったのに凄いと思ってましたよ」
「それからも色んなところで仲良くなってついに先輩を好きになっちゃったんです」
「ふふ、今取ってあげますからね」
思い出話を話し終えた紫陽ちゃんは膝の上から降りて口を塞いでいたものを取ってくれる。
静かな暗い部屋にカチャカチャと金具を取り外す音が響く。
「はぁ、はぁ、んぐっ」
口を塞いでいたものが外れたと思ったら、紫陽ちゃんがキスをしてくる。
抵抗することも出来ずに俺は無理やりキスを続けられる、顔は可愛く第三者から見ればきっと幸せな光景なのかもしれない。
しかし、俺には紫陽ちゃんとのキスを楽しむ余裕などは全くなかった。
「ふぅ、えへへ、先輩とキスしちゃった♪」
「紫陽ちゃんだよな?」
「紫陽ですよ?先輩の後輩でみんなから愛される紫陽ちゃんです♡」
「紫陽ちゃんはこんなことするような子じゃなはずだ」
紫陽ちゃんは可愛くていつも優しくて気遣いができて、そんな子だったんだ。
俺はずっとそんな紫陽ちゃんを見て好きになったんだ。
「先輩もいい子の私にしか興味が無いんですか?」
体の奥底から凍えてしまうような、冷たい声と共にさっきよりも目が虚ろになっているような錯覚が俺を襲う。
「みんな、みんなそうなんです、私の成績、私の体、私の顔、私の外ズラにしか興味が無い」
「でも、先輩は違いましたよね?私の趣味を聞いてくれて知らないことがあったら勉強してからまた私に話しかけてくれて、共感してくれて、寄り添ってくれて、一緒に居てくれた、そうですよね?」
「私はこの1年ですっごく先輩を好きになれたんです、他の人とは違ったんです、自分の何かを削って私に寄り添ってくれる人なんていなかった」
そうまくし立てるように、言った紫陽ちゃんは先程までの狂気の中に少し寂しそうな顔をしてるように見えた。
その顔をすごく守りたいと、そう思ってしまった。
「なぁ、紫陽ちゃん、手を結んでる縄を解いてくれないか?」
「い、嫌です!そんなことしたら、先輩が居なくなっちゃう!そうしたら私また一人ぼっちで!そんなの、そんなの嫌なんです」
紫陽ちゃんは涙を流しながら嫌がった、俺は紫陽ちゃんがそんなことを思っているなんて知らなかった。
でも、好きな女の子が泣いているなんて嫌だった。
だから
「大丈夫、紫陽ちゃん、どこかに行ったりなんてしない、俺は紫陽ちゃんが好きだったんだ、だから今日も一緒に出かけたし遊びに誘ってくれたのも嬉しかった」
「受け入れるための時間が欲しいんだ、俺は紫陽ちゃんにそんなことを思ってるなんて知らなかった、だからもう少し紫陽ちゃんを知って理解する時間を俺にくれない?」
俺は紫陽ちゃんの支えになってあげたいんだ。
「分かり、、ました」
「ありがとう」
俺は無事縄を解いて貰った。
そして、そのまま紫陽ちゃんを抱きしめた。
紫陽ちゃんの心の隙間を少しでも埋めるために、死んでしまった母がよく泣いていた俺にしてくれた抱擁を紫陽ちゃんにもした。
「先輩ってほんとにお人好しですよね、だから私みたいな女に捕まるんですよ?」
「紫陽ちゃんだから、優しくしてるんだよ、俺は誰にでも優しくできるほどいい人じゃない」
「……ありがとうございます」
それから少しの間、紫陽ちゃんと抱き合っていた。
「先輩ありがとうございます、落ち着きました」
「そう、良かったよ」
紫陽ちゃんは落ち着いたようで泣き止んでいた。
「先輩、結婚してくれるってことでいいんですよね?」
「け、結婚!?」
「しないならまた縛りますけど」
「ま、まず付き合うところからじゃないかな?」
「なら、付き合いましょう」
「えっと、」
「先輩?縛られたいんですか?そう言う趣味があるなら遠慮なく縛りますけど?」
また目が虚ろになっていく紫陽ちゃんをみて俺は慌てて
「よろしくお願いします」
と返事をしてしまった。
「はい、じゃあ結婚しましょうか」
「ま、まだ俺たち高校生だし、紫陽ちゃんをもう少し理解する時間が欲しい、これだけは譲れない」
「……先輩らしい返答です、20歳までです、それまでは待ってあげます」
「ありがとう」
「ご飯でも食べましょうか、お詫びです、私が腕を奮ってご馳走を用意してあげます」
「やった!紫陽ちゃんの手料理!」
昔、1度食べさせて貰ったことがあるがすごく美味しくて今日もあわよくばと思っていたのが実現するとは……
「そんなに喜ばれると作りがいがありますね、もう睡眠薬は入れたりしないので安心してくださいね」
「た、頼むよ」
「浮気や逃げるようなことがあるなら、私は容赦しないのでそこのところよろしくお願いします」
「わ、わかったよ」
「先輩出来ましたよ〜」
「お待たせしました、先輩が好きだと言っていたのでオムライスを作ったんです」
「やったぁ!大好物なんだ」
少し前に話したことを覚えてくれていたことに嬉しいと思っていると
「ふふ、良かったです、じゃあ〜」
「はい、あーん」
「え?」
「あーん」
絶対に引かないという強い意志を感じ、諦めて食べる。
味はとても美味しくて、あーんの恥ずかしさより食欲が勝り全て食べてしまった。
目の前にはすっごく嬉しそうな、紫陽ちゃん。
「口の周りにケチャップがついてますよ」
ガッ
顔を掴まれ、口周りを舐められる、キスとはまた違った感覚にくすぐったさを感じながらもされるがままに舐め取られる。
「これで綺麗になりました〜」
「……ありがとう?」
「で、ご飯も食べ終わったところで先輩夜も遅いので今日は泊まっていきませんか?」
「いや、流石にそれは」
「先輩でもお父様は昨日から出張でいませんよね?」
父が出張なことを知っているのもおかしいが今はお泊まりという緊急事態を避けないと
「そうだけど……」
「私もここで一人暮らしです、寂しくてまた監禁しちゃうかも……」
「そんな悲しそうな顔されたら断れないじゃないか、でも服もないし今日は諦めてくれるかな」
「先輩のサイズに合う服は用意があります、下着も大丈夫です」
逃げ場なしか……
「先輩、お風呂にとりあえず入ってきてください」
「いや、でも、俺は泊まらないよ?」
「いいから!早く!私に脱がせてもらいたいなら脱がしてあげますよ?」
「行ってきます!」
「普通にお風呂に入ってしまった……」
「色々急展開過ぎて、頭がパンクしそうだな」
後輩と遊びに出かけたら監禁されて付き合うことになったか……誰にも信じて貰えないだろうな
紫陽ちゃんは学校でも品行方正で有名だからな絶対に信じて貰えない。
「そろそろ上がるか」
お風呂から上がると脱衣所には新しい服が用意されていて、着てきていた服はなくなっていた。
「仕方ないか……」
俺は置いてあった服を着て脱衣所を出る。
「紫陽ちゃん、お風呂上がったよ〜」
「せんぱーい、こっちの部屋です〜」
それにしてもこの家でかいな、紫陽はマンション住みだったよな……いくらかかってるんだ?ここ
「なぁ、紫陽ちゃんやっぱり俺帰るから服を……」
バタン!
俺は急いで部屋のドアを閉じた。
俺が扉を開けて見たものは紫陽ちゃんの下着姿だった。
「なっ、先輩それは無いです!私勇気振り絞ったんですよ!?」
「まだ俺たち高校生だぞ!?そんなのダメだって」
「じゃあ、一緒に寝るだけ!寝るだけでいいですから!泊まりましょう?」
「服を着るなら泊まることにするよ、だから着てくれ!」
俺は必死の説得で服を着てもらうことに成功した。
「先輩そんなに警戒しなくても今日はもう何もしないですよ?」
「これからもそうして欲しいけどね」
「それは無理ですよ、先輩は私のものですから、私にも我慢の限界があるので早く諦めてください♡」
「それじゃおやすみなさい」
布団に入れられ、同じ布団に紫陽ちゃんも入ってくる。
先程までとは違い思考に余裕があるせいで、匂いが、感触が俺の脳みそを支配していく。
「ふふ、先輩ありがとうございます、、私今幸せです」
「良かったよ」
「おやすみなさい」
「おやすみ、紫陽ちゃん」
なし崩しで付き合い、ほぼ結婚まで約束させられてしまった。
しかし、積み上げてきたものがあったし、泣いてる紫陽ちゃんを支えたいと思ったのも事実。
きっと、こんな始まり方でも幸せな終わりを迎えられるはずだ。
俺が紫陽ちゃんを幸せにしてみせる。
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作者のあとがきです、興味がなければ飛ばしてください
初めての短編でしたがどうでしたでしょうか?
人気であれば連載という形で続きを書こうとは思いますが、作者自信未熟なので短編や今書いている物語で技量を上げていこうかなと考えています。
品行方正、才色兼備の後輩が実はヤンデレだった!? ヤスミ @minonononon
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