武器・防具について‐古代ローマ、及び周辺国家

※前書き

作中に登場する武器の詳細です。実際に存在する武器ですが、知らない人が大半だと思いますので、簡単な詳細を概要しておきます。また、ネットで聞きかじった程度の知識なので、もし間違いがあれば感想欄での訂正を書いて下さると助かります。

ここでは主に、ウィータが使用している古代ローマとその周辺国家の武器・防具を中心に紹介していきます。

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~剣~

短闘剣プギオ

概要:全長およそ20~30㎝程の短剣。グラディウスなどと同じく両刃で、剣身の幅が広く、中央部分が膨らんだ『木葉型』と呼ばれる形をしている。その先端の鋭さから刺突に優れた武器とされ、プギオという名称もインド・ヨーロッパ語族の言語である『peug/刺す』と言う単語や、ラテン語で『拳』と言う意味の『pugnus』が語源と言われています。

補助武器としてローマの兵士たちが装備していたプギオですが、戦闘面よりも兵士たちの日常生活や軽作業で使われることの方が多かったようです。プギオが歴史に登場とした初期はシンプルなデザインのものが多かったようですが、時代の変遷に連れて士官たちの階級を示す象徴として扱われるようになり、段々と豪奢なデザインになったそうです。

また、暗器としても有名な武器であり、かの有名な古代ローマの英雄ガイウス・ユリウス・カエサルも、このプギオにより暗殺されたと言われています。


闘剣グラディウス

概要:古代ローマは建国時、人口わずか数千人ほどの小村だったと言われれていますが、多くの戦いを重ねる度に武器の改良を行い、イタリア半島を統一し、いつしか地中海領域を支配する大帝国へと成長を遂げたと言われています。その古代ローマが改良してきた武器の中で、最も有名なのがこのグラディウスでしょう。

全長は50~70㎝程の短いグラディスですが、刀身は厚く幅は広い両刃、先端は鋭く尖っており、銑鉄と軟鉄が交ざった合金が使用されていたので、頑丈で粘り気の強い刀身が形成され、グラディウスは鋭い切れ味を誇る剣となりました。

グラディウスの発祥は、地中海貿易で栄えていた巨大国家カルタゴと古代ローマがシチリア島を巡って争ったポエニ戦争であるとされています。このポエニ戦争の中で、古代ローマ人は中央アジアから西洋に進出していたガリア人と遭遇しますが、このガリア人が使っていた剣をヒントにグラディウスという剣を開発しました。それまではギリシャ発祥の細長い剣を主要武器としていた古代ローマでしたが、グラディウスの登場以降は、古代ローマ時代の象徴とも言える勝利の剣となっていきました。

また、グラディウスがこのような短い剣に変化したのは、古代ローマの戦術に起因しているそうです。密集陣形を組んで小型の丸い盾と槍で戦う戦術を取っていた古代ローマの歩兵は、その隊形が崩れ、敵と味方が入り組んで戦う乱戦の状態では、槍や長剣の取り回しが悪く、威力を発揮できませんでした。その為、グラディウスのように小さな剣を使う事で、密集した戦いでも味方を傷つけずに戦う事が出来るようになりました。


長闘剣スパタ

概要:古代ローマ帝国が地中海征服を成し遂げると、徐々に武器にも変化がみられるようになりました。その結果、誕生したのが全長およそ60~80cm、剣身は真っ直ぐで、グラディウスより長く作られ、刀身の幅が細く厚みも抑えられたこのスパタという武器でした。

時代が変わり兵士にスパタが導入されると、歩兵用に開発されたグラディウスとは異なり、スパタは主に騎兵用の剣として使われるようになったそうです。グラディウスと違って刀身の幅を細く、厚みを抑えて作られたのは、長くなった分、重量があったため片手でも扱いやすいように軽量化する目的があったと言われています。


大刀ロンパイア

概要:東ヨーロッパ一帯には、かつてトラキア人という民族が住んでいたとされています。このトラキア人が使っていた薙刀や長巻に似た武器が、このロンパイアという武器です。全長およそ2mほどもあったこのロンパイアは、刀身と柄がちょうど同じくらいの長さある武器だったらしいです。最大の特徴は鎌のように湾曲した刀身で、外側ではなく内側に刃がついている片刃の刀身だったようです。

振り書物には、このロンパイアを扱うトラキア人の勇猛な強さが描かれており馬の脚を切断したり、倒した敵の首を突き刺して掲げる為にロンパイアが使われていた記録が記されていたとか何とか……。


~長柄武器~

両刃斧ビペンニス

概要:ピンとこない方もいらっしゃると思いますが、おそらく最も有名な例で言いますと、ミノタウロスなどの怪物が持つ『ラビリュス』と呼ばれる左右対称の両刃斧がありますが、あの両刃斧の古代ローマでの呼び名が『ビペンニス』です。

古代ギリシアで栄えた最も古い文明にエーゲ文明というものがありますが、そのエーゲ文明を構成する幾つかの文明の内にミノア文明というものがあります。えー原文明の内、クレタ島で栄えた文明を指す言葉として使われるこのミノア文明ですが、伝上のミノス王を語源としており、ラビリュスはこのミノア文明と深い関係がある武器として知られているそうです。

元々は、ただの木を切り倒す道具として、または武器として使われていたそうですが、ミノア、トラキア、ギリシアの宗教や神話などの芸術が発達するに連れて、象徴的な意味合いを持っていったとされています。

古代のクレタ島では神官の持つ神聖な物であるとされ、生贄を捧げる際に使われていたとされます。ゼウスが嵐を起こす際、多くはケラヴノスと呼ばれる武器を使ったとされていますが、それ以外にもこのラビリュスを使ったとされるものもあります。


長槍スピクルム

概要:一般的な槍全般を指す言葉としてローマには『ハスタ』というものがあるが、スピクルムはその別の呼び名である。穂先はソケット式で、木の葉のような形をしているのが最大の特徴であり、王政期のファランクス戦術で用いられた物が有名です。

軍事改革が行われてからは、投げ槍専用の槍であるピルムが一般化されました。ピルムは遠距離専用の槍であった為、ピルムが導入されて以降は白兵戦用の長槍は立場を弱くしますが、古参隊などでは、投槍でない長槍としての『ハスタ』を使い続けたと言われています。


~防具~

大盾スクトゥム

概要:当時ではグラディウスと並んで有名であった長方形の大きな盾、それがこのスクトゥムです。サイズは縦100~120cm、横60~80cmほどが一般的であったとされ、角には丸みを持たせてありました。楕円形の物もあったそうですが、戦術上の問題もあり、やはり長方形の方が一般的だったようです。

スクトゥムを使っていた時代の古代ローマは、ちょうど古代ギリシャから受け継いだ重装歩兵の戦術を基本に戦っていた為、兵士たちが密集して陣形を構え、スクトゥムを構えて全体を守りながら前進する『テストゥド』と呼ばれる戦術が一般的であったと言われています。

後に、中世のローマで鎧が台頭してくると、スクトゥムのような巨大な盾は必要性が無くなり、段々と戦場から姿を消して行ったそうです。


小盾パルマ

概要:古代ローマで商工業が発達するに伴い、自前で武器を購入し重装歩兵として軍に加わるようになった平民が多くいました。しかし、スクトゥムのような高価な盾を持てない兵士もいた為、そういった下級兵士からなる軽装歩兵は『パルマ』と呼ばれる、薄い木の板を張り合わせて作られた安価な円形・楕円形の盾を使用していたそうです。

また、次第に平民からの不満の声が大きくなるに連れ、それが兵士たちにまで伝播するようになると、軍事改革が行われました。それにより、職業としての兵士制度が発足され、国から武器や防具などが支給されるようになりました。

この大改革により、全ての兵士が分け隔てなくスクトゥムを使う事が出来るようになり、パルマは使用されなくなったと言われています。


~弓~

小型弩弓スコルピウス

概要:モン〇ンなんかで見たことがあるとは思いますが、バリスタと呼ばれる攻城兵器が古代ローマには存在しました。てこの原理を用いて弓弦を引き絞り、石、金属の弾丸、極太の矢、矢羽のついた槍などを飛ばす兵器です。

スコルピウスは、そのバリスタを小型化し、携帯できるようにした兵器であると言われ、第二次ポエニ戦争などで主に使われた狙撃兵器とされています。

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※後書き

以下のURLが本編になります。

https://kakuyomu.jp/works/16817330665644936498

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