第15話 アリアリ陣営の作戦会議配信
事務所での打ち合わせから一週間。
私、東雲マリアは同期のリリアちゃんと一緒にカグヤ先輩主催の作戦会議配信に参加している。
作戦が漏れないように今回はメンバー限定での配信。月額500円のメンバーシップ登録をしてくれている視聴者さんだけが見れる、ちょっと特別な配信。
「それじゃ、作戦会議はっじめよー‼」
「「おー!!」」
【おー】
【おー‼】
【おー】@Asari
【Asariママwww】
【流石は親バカ。いるとは思ったけどwww】
【参戦するからには作戦会議から参加しないと。なんせお兄様から直々にマリアちゃんを護るように仰せつかってますので。失敗は許されない】@Asari
【今回のコラボのことあの異世界ニキも知ってるのか】
【あのシスコンに言われたら仕方がない笑】
【リアルに毎晩戦ってる奴の言葉は重いなww】
【奴の代わりに俺達が姫を護らねーとな】
【ミディアックスなと捻り潰す‼】
カグヤ先輩の声掛けに応じるコメント欄にはよく見かけるアイコンが並んでいる。
その中には、当然のようにAsariママもいるし、お兄ちゃんの認知度も高い。コメントを見て自然と私の口角があがってしまう。
「おっ、マリアちゃんヤル気だねぇ~。そんな獰猛な笑みを浮かべるなんて」
「そんな顔してないですっ‼ コメントみてちょっと笑っちゃっただけですっ‼」
「そうですよ、カグヤさん‼ マリアの笑顔はいつだってかわいいです‼」
「あはは、リリアちゃんは今日もマリアちゃんへの愛が重いねえ」
「当然です」
「リリアちゃん、そこは謙遜してくれていいんだよ?」
「やっぱりリアリアコンビは面白いねえ」
私の反応を見逃さずカグヤさんが話題を展開してくれる。
大先輩であるカグヤさんはとにかく喋るのが上手で、1人の配信の時はマシンガントークから視聴者さんとの絡みまで全て完璧にこなしてしまう。
しかも、コラボになればスムーズに話題を進行し、しっかり他の人を引き立てもする。
同業者として、本当に尊敬できる先輩、それが私のカグヤさんの印象。
「それじゃ、宣言通りミディアックスの子達をブッ倒しちゃいましょうか」
「そんな物騒な宣言したのカグヤ先輩だけですよ?」
「いいじゃない、マリア。カグヤさんの言う通り、視聴者も参加できる企画なんだし、勝たなきゃ意味ないわよ?」
「そーだ、そーだ‼ 私の所のコメント欄なんて既に完成されたスパルタよ。血に飢えるっていうのはこういうことね。映画『300』の同時視聴配信をした甲斐があったわ」
「カグヤ先輩は知ってたけどリリアちゃんも乗り気なんだね…」
「すっごく後輩からの敬意が薄れている気がしたけど…大丈夫よ、
「一応は観ました。2人で」
「マリアの部屋のテレビ大きいから迫力が凄かった。」
「さらッとリアリアてえてえが挟まれた気がするけど…なら大丈夫ね。きっと2人にはスパルタへの愛国精神が刻まれていることでしょう。これで半分勝ったも同然。ギリシアの覇権を取る日も近いわね」
「そう言えば、あの映画だとスパルタの敵はアテナイじゃなかったですね。」
「細かいことは気にしないっ‼ ほら、作戦会議するよ~」
軽口を叩きながらカグヤ先輩が画面にマップを表示させる。
デフォルメされたギリシャの地図上にはスパルタとアテナイの領土がオレンジと緑に色分けされて描かれている。
地中海側に突き出す半島の南側と半島の付け根である北側にスパルタの領土があり、半島の中央部と半島の東側の対岸にアテナイの領土が広がる。
【挿絵:マップ】
https://kakuyomu.jp/users/noblesseoblige1231/news/16818093081551592865
【これは…有利なのか?】
【敵の領土を挟んではいるけど、アテナイの方が広いな】
【拠点が3個ずつあるから、それを取り合う感じ?】
【とりあえずミディアックスの鈴の音3姉妹を倒せばいいんでしょ?】
【スパルタの本土が半島の南側で北に飛び地、アテナイの本土が半島の中央部で東の対岸に飛び地。それぞれ本土に拠点が2つ、飛び地に拠点が1つ。割と本格的な戦略ゲーかも】
【とりあえず領土だと負けてるのは間違いないな】
地図を見た視聴者さん達のコメントが一気に早くなる。
コメントでも見かけるけど、今回のマップだと私達、アリアリ側になるポリス・スパルタの領土は対戦相手のポリス・アテナイよりも少ない。私がコメントを確認していると、カグヤさんが今回のコラボのルールを説明してくれる。
「はーい、じゃあルールを説明するよー‼ しっかり聞くようにっ‼ 2人とも、返事は?」
「「イエス、マムっ‼」」
「…よろしい。よく覚えていました。…ふふっ」
私達の反応にカグヤさんが笑いをこらえる。
配信前にカグヤさんに仕込まれたギャグだったけど、反応出来て良かった。
「カグヤ先輩? 説明は?」
「ごめん、ごめん。冗談で言ったのに2人とも真面目に返事したのが面白くって。」
…冗談だったんだ。
いつフリが飛んでくるのかと思って結構ドキドキしてたのに。
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