第二話 文化祭の準備
-学園ものにおいてなんか恋愛が多発しそうなイベント、文化祭(圧倒的偏見)。このわけわからん学園でも例に漏れず恋愛が多発するのだが…
2B教室-朝の時間
「俺は知らん。」
「相変わらず冷てえな夜月。」
「女性と関わったところで、金を搾取されるだけだろう。」
「お前過去に何があったんだ?」
「現在進行形でこのクラスの奴に金を要求されてるが。」
「え?」
「
「マジかよ。」
「ちなみに一年の頃に貸した漫画が返ってきてない」
「そりゃ女性不信に…ってなるかぁ、そりゃ
「…どちらにしろ、今の俺は彼女を作るつもりはない。」
「もっと青春を楽しめば良いのに。」
「大学に行けば勝手にできるだろ。」
「えぇ…」
西蔵との談話もしつつ、適当にまた今日を過ごそうと思っていた。
「はいじゃあHR始めますよ。」
…しかし、今日のHRでは流石に聞き流せない情報が入ってきやがった。
「10月の21日と22日に、この学校の文化祭である『
文化祭は一番めんどくさい。基本一人でいたい俺にとって、クラスのやつらと団結しろなんて言われてもほぼ不可能だ。
「文化祭という事なので、しっかり全員が協力していけるようにしましょう。特にいつも一人で勉強とかギターをしている人とかね。」
うるせえ…そこまで比喩にするなら名指しにしろよ…。
心の中でそう言いながら聞き終えた。
「それじゃ、解散!」
その後、朝の授業をいつも通り適当に済ませて昼の休憩になる。そういえば、今日は西蔵が朝からいたな。とんでもない事件が起きるのではと思ったが、流石にないと信じたい…。
屋上
「あー…そっちか…」
どうやらとんでもない事件は俺に対して起きていたようだ。今日に限って屋上に人だかりができている。いつもは誰一人としてここに来ないというのに、何故今日に限ってこんなにいやがる……。ところで、見た感じ2〜30人はいる気がするんだが、ここの屋上に入れるのは10人までだったはず…。まぁ、どうでもいいか。
仕方ないので一人になれるところはないかと探していると、例の奴に出会ってしまった。
校舎-裏庭
「あ、夜月さん!」
「なんだ
「…まだその名前で呼ぶんですか?」
「あー……なんだミリカ。」
「はいっ!」
なんでこれで喜ぶんだ…というか、何をどうしたらミリカになるんだ。
「で、なんでここにいるんだ?」
「ここでお弁当食べようと思ってたんです。」
「そうか。」
「夜月さんもまだ食べてないんですか?」
「…悪いか?」
「いえ別に。」
「…。」
「なら、一緒に食べましょう?」
「はぁ…わかった。」
どうせ一人になれないからと、仕方なく思っていた。
弁当を食べてる時は何も話しかけられずに済んだのだが、食べ終わった時に色々聞かれ始めた。
「夜月さんは文化祭の事どう思ってるんです?」
「…普通。」
「私は楽しみです!」
「そうか。」
「…それで私、文化祭が終わったら絶対にやらなきゃいけないことがあって。」
「終わってからなのかよ」
「そこ突っ込まないでください…。」
「で、何やるんだ?」
「私、ずっと前から好きだった人がいて、その人に告白しようと思ってるんです。」
「ほう。」
「どうですか?」
「良いんじゃないのか。」
「!」
「フラグを立てていて。」
「えっ…」
「だってそれ『俺、この戦いが終わったら結婚するんだ!』と同じだからな。」
「そんなこと言わないでほしいです…」
「HAHAHA」
「…」(泣)
「あぁごめん言いすぎたわ流石に」
「酷いです…」
「悪かったって」
「……」
「許せって」
「一生恨みます」
「怖」
「嘘です」
「おい」
「…まぁ私頑張ります!」
「結果は聞かせろよ?」
「…。」
「んじゃ俺ギターやるから」
「あっ、はい。」
勝手に幸せになってろ。こういうのは嫌いだからな。…ミリカなら許せるかもしれんが。
「…私も…夜月さんの所に行かないと…」
※どうやら夜月は鈍感のようだ
それにしても、ようやくミリカが俺から離れてくれるのか。好きな人がいるって言ってたが、一体誰だ?一番面白いとか言われてる
そういえばギターの練習をすると言って離脱したものの、既に5限の時間が迫っている。急いで戻らねば。
…あれ、5限なんだっけ?
2B教室
「おい西蔵、5限の授業って何だ?」
「何言ってんだ夜月、5限と6限は文化祭の準備だろ?」
「あー…そういえば朝言ってたな。」
「役割分担お前と一緒になれたら良いな。」
「そうだな。」
出来れば1人がいいのだが、そんなことできるわけがない。だが、せめて西蔵と一緒になったのなら話す相手もいるしいつでも1人になれる。西蔵はその辺わかっているから、部活の奴らを除いて唯一俺が心を許している。
「はいみなさん席についてください。いない人は、っと…」
「せんせー、夢那ちゃんが戻ってきてないです。」
「あら珍しいわね、誰か知ってる人いない?」
ミリカが戻ってきていない……?
…とても面倒なことになった。さっきまでミリカと一緒にいたことがバレると俺に行動させようとしてくるだろう。かといって黙っていた時、ミリカの方から俺と一緒にいた事がバレれば、俺の方にヘイトが向いてしまう…どちらにしろとてもめんどくさいが、せめて俺が行動した方がまだマシだろう…行くか……。
しかし俺が言葉を発そうとした瞬間、ドアが開いてミリカが現れた。
「あら夢那さん、何かあったの?」
「…」
やっべぇ頼む何も言わないでくれ…下手したら俺の命が消える…。
「…っ…」
「どうしました?話しづらい事でしたら後で個人的に聞きますが…。」
先生がそう聞くと、ミリカはこくりと頷いた。
よかったぁぁぁぁぁ!!!
死なずに済んだぁぁ!!!(?)
と、心の中で思いながらミリカが席に戻るのを待つ。戻る時に俺の方を見ないようにしていたのだが、一体なんなんだ?よく見ると顔赤かったし、体調が悪いのではと思った。とにかくこの先の生活が潰れなかったことに感謝だ。
「さて、全員揃ったことですし本題に入りましょう。朝のHRでお伝えした通り、文化祭の役割分担を行います。それじゃクラス代表さんお願いします。」
「…はい。」
とりあえずなんとかなったが、一難去ってまた一難とはこのことなのか、まぁわからんが役割分担をすることになる。とりあえずくじ引きにならなければ何の問題もない。俺は西蔵が選んだやつを選ぶ、それだけだ。
「とりあえず最初は挙手制にして、人数多いとことかはくじ引きで決めます。」
そうして役割が埋まっていく。装飾、買い出し、黒板アート、構成を考えるやつ、チラシ作り…西蔵は
「じゃあチラシ作りに手を挙げた人達はくじ引きで決定しまーす。」
「クソが…。」
小声でそう呟き、怠さを感じながらくじを引く。外れるならせめて西蔵と一緒に外れた方がマシだが…
「じゃこれで決定しまーす」
西蔵…嘘だよな…?なぜ俺だけ当たった…?
落ち込んでても仕方ないが、最も気にするべきことはミリカと一緒になってしまったことだ。よりにもよって一番めんどくさい可能性しか無い奴と一緒になってしまった。異性で一緒になるなら部活が同じ
嘆いてても仕方ないが、どうにかして変えることはできないかを頼もうとした。だが俺の話なんか聞いてくれるはずもなく、結局ミリカとチラシ作りをする羽目になった。
「悪い夜月…」
「あとでシベリア送りな?」
「せめてモンゴルにしてくれよ」
「ウランバートルの方が寒かったってのは知ってるが、別に重労働はしないだろ。」
「あっ…」
そんな感じで冗談を言いつつも、内心では結構ガチで面倒だと思っていた。
「よ、よろしくお願いします…。」
「…あぁ。」
…あれ、そういえば俺って軽音に入ってるよな?ならこういうのをやるのはダメなのでは?
「先生、軽音の人とかはやっていいんですか?」
「あぁ、言い忘れてたわ。部活とかで舞台に出る人はそっち優先だからダメよ。でも、特に舞台に出ない人はいいわ。」
「はーい。」
ナイス氷見子!!!!
「あ俺部活の方優先らしいんでやっぱこれ辞退します。」
「あぁ夜月、あなたは部活で舞台に出るけどこっちの方をやりなさい。」
「え」
「いつも授業の時とか一人でしょう。」
「西蔵とかと話す事多いですけど」
「部活でも一人で練習してるじゃない。」
「普通に仲良い人いますけど」
「屁理屈はいいからやりなさい。」
「えぇ…」
なんでだよ…俺はマルチタスクとかできるようなハイスペックな人間じゃないぞ?普通の人間だからそんなことするのは嫌なんだが…。
「というか、チラシ作るのなんて三回分でできるわよね?夢那さん?」
「…多分…できると思います…。」
「ほら、三回だけでできるらしいわよ?それぐらい貴方の力があれば問題ないでしょうに。」
「…俺はそうかもしれないっすけど、ベースの人とかドラムの人とかに迷惑じゃないっすか。」
「そこは大丈夫、音源を流したりソロだったりで練習させるから。」
「えぇ…」
「ほら、そういうことだから。席に戻って。」
「………。」
なんでかなぁ!
心の中でそう呟きながら、俺は渋々自分の席に戻っていった。
ちなみに西蔵は構成担当になったらしい。変なこと入れそうで怖いな…例えば…メイドカフェとか。
「はいじゃあ来週から5限6限は全部文化祭の準備になるから、頑張ってくださいね。解散!」
…本当になんでなのかなぁ!
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