第三話 あの時の約束と告白
※若干エッ要素あり
-この世界において、女性の家に男性が行くというのは、基本的に恋人であったりしないといけないとされている。学生でも高校生以降はそれが適用されるらしい。まぁ、それを守る人なんて一切いないし何も罰せられないけど。
「それでいいのか?」
「どしたん夜月。」
「…こっちの話だ、気にすんな西蔵。」
「そか。」
「んじゃ俺は部活行くから。」
「うい。」
視聴覚室
「あれ、人がおらん。しょうがねえ、一人で練習するか。」
ギターのアンプだけを用意してとっとと練習を始める。ベースのアンプとかドラムは用意しないのかって?別にみんな準備する時自分のやつしか準備しないから問題ない。これで俺が怒られたら逆ギレする。
「あら、本当に夜月しかいないじゃん。」
「ん…氷見子か。」
「今日はみんな帰っちゃったみたいね。」
「そうなのか?」
「グループLINEみてみなよ。みんな帰るって言ってる。」
「…本当だ。」
「夜月はずっと練習?」
「当たり前だろ。3回分文化祭の準備に取られるんだからな。今のうちに練習しておく。」
「へぇ…よくやるわねぇ。」
「お前はどうしたんだ?」
「帰ってもやることないし、部活行こうかなって。」
「理由がクソすぎる。」
「なんだっていいでしょ!」
「まぁな。」
そうして話しながら練習していたが、本当に俺と氷見子だけで部活が終わってしまった。
…本当に面倒だがやらないといけないのでやってやった。ちなみに
「はぁ…。」
「ねぇ、今日ってこの後予定ある?」
「あ?別に何もないが。」
「ならちょっと買い物に付き合ってくれる?」
「…嫌だと言ったら?」
「殴るわ」
「やめい」
「冗談よ」
「…まぁ、行ってやるよ。」
「ありがとう。」
…買い物?こんな暗い時間にか?…と思ったが、まぁいいだろ。俺がついてるっちゃついてるからヤベエ奴からは守れると思う。
しかし特に何も起きる事なく、氷見子の買い物は終わった。
「ありがとねー助かったわ。」
「…。」
「んじゃ、明日待ってるわね。」
「おう…。」
そう言って別れる。……あれ、明日?
『んじゃ、うちの家来る?』
『いいのか?なら今度の土曜日にでも行くわ。』
『はーい。』
あっ
そういえば、そんなこと言ってたな…。本当なら行く気なんて全くなかったのだが、女子の願いを断るとなんか怖い気がしたので渋々行く事にした。
-翌日
LINE
『今から行くわ』
『待ってるね〜』
「…」
俺はそれなりの服に着替えて出かける準備をする。何をするかはわからないが、とりあえずギターでも持っていっておこう。
「あれ、お兄ちゃんどっか行くの?」
「…友達の家でギターの練習するだけだ。」
「お兄ちゃんその性格で友達いたんだね」
「しばくぞ貴様」
「ヤメテネ」
「…。」
「イッテラッシャイ」
「おう…」
これだからクソみてぇな妹は
そんなことを思ってるうちに氷見子の家に着いたようだ。
「いらっしゃーい」
「お邪魔します…。」
「荷物はその辺置いといていいわよ。」
「おう…。」
異性の人の家に入るのなんて滅多にない。というか一人になりたいから誰かの家に行くつもりがない。ちなみに今回は特別とかじゃなくてシンプルに怒られるのが嫌だったから。まぁ折角来ていいよって言ってんのにそれを唐突に断ったらガチギレされそうだったからだな。
「ちなみに今日親いないから」
「そうか。」
だからどうしたって話だ。というか、親がいないから俺を呼んだんだろうに。
「ところで、何をするんだ?」
「あ…」
「まさか、何も考えてなかったのか?」
「そうだ、恋バナでもする?」
「それは修学旅行の時にやれば良い…っていうか異性同士でやるもんなのか?」
「良いじゃん、私とアンタの仲なんだし!」
「そこまで仲良くなった記憶はございませんが。ってか二人でできるもんなのか?」
「何でもいいから、早くやるよ!」
「…どうやって?」
「私の部屋来て。」
「あっハイ。」
コイツが良いって言ってるとはいえ、本当にいいのか?実は他の人がここにいて全部見られてて、後で実態が全て晒されて社会的に死ぬなんてことはないよな?
「どうしたの?」
「いや…ちょっと考え事してただけだ。」
「別に私の家には何もないから、安心して良いわよ。」
「…そうか。」
そうはいってもやはり安心できない。少しは警戒しておこう…。コイツのことを信頼してないわけではないのだが、不安なものは不安だ。
「ほら入って。」
「…おう。」
「あ、椅子座る?」
「座っていいんなら座るが。」
「いいわよ、私ベッドにいるから。」
「…。」
「んじゃ早速始めましょうか。」
「あぁ…。」
「アンタの好きな人は?」
「いない。」
「つまんないわね…」
「俺の性格を知ってて聞いたんじゃないのか?」
「…まぁ、そうだけど…」
「お前はどうなんだ?」
「私はいるわよ。」
「そうか。」
「誰だと思う?」
「…鈴凪とかか?」
「全然違うのよねそれが。」
「え?」
「ヒント言うと、部活が同じで2年生。」
「それなら…優太か?同じベースだしアイツ優しいから…。」
「うーん、惜しいわね。」
「ドラムの晴翔?」
「違う。」
「ボーカル兼ギターの夏奈斗?」
「ギターの括りなら同じね。」
「…誰だ?」
「ギターで言ったらあと1人いるじゃない。」
「…宮長は…ないよな?」
「ないわよ。」
「誰だ?」
「…。」
「…」
「………。」
「え、何の沈黙?怖い。」
「…。」
「あの…喋ってくれません?」
「…。」
「氷見子さーん…」
「っ…!本当に鈍感なのね!貴方は!」
「ええ急に何?」
「もうそこまで行ったら誰が好きかわかるでしょ!」
「え?」
…俺は一旦冷静になって考えてみた…しかし…誰だ…?
あぁ…あぁ?いや…でも他に候補はいないな…てことは…氷見子の好きな人ってのは…
「…俺?」
「そうよ…。」
「マジか…」
嘘だろ…俺を好きになるやつとかいたんだ…
「えっと…どういうとこが好きなんだ?」
「…あの時…私のことを助けてくれたから…それで…。」
「…いつの事だ?」
「部活のことで…悩んでた時。」
「あー…」
そういえば氷見子は一年の時に部活でなかなか活躍できなくて悩んでた時があったな…。
-回想
『こんなとこで何やってんだ?氷見子。』
『………貴方には……関係ないわよ……』
『そんなに暗い顔すんな。何かあったなら話せよ。そうじゃないとずっと暗いままだぞ?』
『……。』
『まぁ、話しづらいなら無理に話さなくてもいいが。』
『…。』
『どうするんだ?』
『…部活のこと………』
『え?』
『部活で…あんまり上手くできなくて…。それで……辞めようかなって…。』
『…。』
『………』
『辞めたいならさっさと辞めればいいんじゃないのか?』
『え…?』
『お前がそう思ってるなら、そうすればいいさ。』
『…』
『けどな、一つ言っておく。』
『何…?』
『少なくとも、お前のベースは優太より上手だと思うぞ。』
『え…?』
『お世辞とか抜きにしてもな。よく練習してる時に聞いてるけど、全然上手だと思う。普通に才能あると思うぞ?』
『…。』
『それに、活躍の機会なんてこの先まだまだあると思うぜ?高校生活はすぐ終わるっていうが、それでも3年間はあるんだ。必ずどこかで活躍できるさ。』
『っ……。』
『まぁ、それでも辞めるってんなら、別にそれでもいいさ。この先のことはお前自身が決めるんだ。そしてそこに、俺たちみたいな他人が介入することは許されん。』
『……。』
『まぁ、頑張れよ。』
『…うん。』
-現実
「それで…。」
今になって思い返してみたが、とんでもなく恥ずかしい。なんか…そういうの嫌なんだよな。
「その時に好きになったのよ。」
「ずっとそうだったのか?」
「そうよ。」
「マジか…。」
「…えっと…ちゃんと告白するわ。」
「え?」
-貴方のことが、ずっと前から好きでした。私と、付き合ってください。
「!」
「…どうかな…?」
「……こちらこそ、よろしくお願いします。」
「…!本当に!?」
「まぁ、西蔵と同じぐらいには信頼できるからな。」
「…私のことは好き?」
「そうだな。」
「ありがとう!」
(数秒の沈黙)
「えっと…///」
「あれ、恋バナするんじゃなかったっけか?」
「そ、そうよね…。」
「終わったな。」
「終わったというか成功というか…。」
「まぁいいだろ。」
「…本当は文化祭の時に告白しようと思ってたんだけどね…。」
「あーそれはやめとけ、俺ずっと1人でいるし誰とも話す気なかったから。」
「やっぱりそうなんだ…。」
「終わった時なら聞くかもな。」
「…。」
何をしよう…あ、そうだ(唐突)
押し倒してみよう(?)。バサっとね、バサっと。
「キャァッ!?」
「…。」
「な…何…?///」
「…。」
「あの…///あんまり近づかれると…恥ずかしいから…///」
「…」
意外と可愛いな…(クソ失礼)
「…///」
「あ待ってこの体制キツい」
「え?」
「ぐぁっ!」
「ひゃっ!?」
「いって…悪い……ん?」
なんか……当たってる…?
「んっ…///」
「え…」
あっこれやらかしたやつ?俺の人生が社会的に終わった感じ?
「夜月…?///」
「…。」
「ねぇ…止めないで…///」
「っ……。」
「もっと…やっていいわよ…///」
※ここで唐突に解説。この世界の女性(主要な人たち)は大体相手となる男性に惚れている。だからこの人も『もっとやって』的なことになっている。さて少し時間を飛ばしたところから再開。
「何だ今の」
「どうしたの?」
「…いや、何でもない。」
「そう。」
「そういえば、本当にさっきのやつは良かったのか?」
「…急だったけど、私は良かったよ。」
「…。」
「貴方と付き合ってるんだなっていう風に感じれたわ。」
「…そうか。」
なんか…それにしては過激なような気もするがな…
「何ならもっと先の事もやっていいわよ?」
「いや、いい。」
「あらそう…」
「やるなら3年生の夏休みぐらいとかだな」(?)
「…」
「それまではこういう純愛で。」
(キス)
「んっ!?」
「…」
…甘い…甘すぎる…よく見る漫画とかだと甘いとか言っていて、本当はどうなのかと思っていたが…本当に甘いとは…だがなんだろうな…この甘さは…言葉にできない甘さだ…。
「んっ…///」
「…」
(解除(?))
「ハァッ…///」
氷見子の息が荒い…そして顔も赤い…。
キスの力ってすげー(棒)
「…えっと…こっからどうする?」
「今日はずっと親がいないから…泊まってもいいわよ。」
「あ、そうなん?じゃあ一旦家帰って服とか持ってくるわ。」
「うん…。」
とういわけで家に帰る。
しかしまぁ…本当に唐突だったな…。でも信頼できる人だってことに変わりはないし、普通に好きだった気もするからいいか。
「…夜月って…結構積極的なのね…///」
※実際は『そういうのをやれば恋人は大体堕ちる』というよくわからん理論がこの世界にあるためである。深く考えないでほしい。
さて、とりあえず荷物を持ったわけだが…
「えーお兄ちゃん今日帰ってこないの〜?」
「帰らん。」
「…私一人だと寂しいよ…」
「テメェもうすぐ高校生になるだろ、いい加減にしろ。」
「うるさいわね!お兄ちゃんと一緒にいたいのよ!だから一人は嫌だって…!」
「俺も俺で1人にさせちゃいけない人がいるからな。じゃ、そういうことで」
そう言って俺はさっさと家を出て行った。
「…え、お兄ちゃん彼女いるの?あのお兄ちゃんに…?ま、まさか、そんなはずはないわよねぇ…?いつも一人でいることを望んでいるはずのお兄ちゃんに…?あんな性格と思想を持っているお兄ちゃんに彼女なんているわけが…」
「聞こえてんぞゴラ」
「スミマセン」
うちの妹は本当にうるさい。そして考えすぎだ。マジで一回殴ろうと思った。まぁ殴ったら殴ったで速攻警察に御用にされるんだが。
そんなこんなで氷見子のところに戻ってきた。
「…おかえり。」
「うっす。」
結局やることは何もなかったので色々と話して夜を迎えた。今日だけは時間の進みが長すぎた…。まぁでも、氷見子は良かったって言ってるんだからいいだろ。クソ理論だが。
「あ、私あれやってみたかったのよ。」
「どれだ?」
「お帰りなさい貴方♡」
「えっ…」
「ご飯にする?お風呂にする?それとも…わ・た・し?♡」
「…。」
「反応してよ!」
「あぁいや…それって新婚さんがやるやつじゃないのか?」
「いいじゃん、新恋人なんだし!」
「新しい言葉を作るな」
「それで、どれにするの?」
「氷見子を選んでキスして風呂入ってまたキスしてご飯食ってキスして寝る」
「キス好きすぎない?」
「HAHAHA」
「…まぁ…いいけど…///」
「いやいいのかよ」
「だって…私はもっとやりたいし…」
「風呂入る前にやって寝る前にやってでいいか?」
「うん…///」
そうして二人でいる日を終えた。
…意外と悪く無いな…。
月曜日-HR
※氷見子は夜月といた反動で午前中休んでいるらしい(この後の展開には全く関係ないが)
「というわけで、文化祭の出し物について少しだけ決まった事があるらしいので、構成担当の方は報告をお願いします。」
…何の報告だ?
「西蔵です。文化祭の出し物について、ある程度構成が決まったので報告します。」
また朝から西蔵がいる……?
なんか…とんでもなく嫌な予感がする…
「食べ物を提供するという事で、このクラスではメイドカフェをすることになりました!」
ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!!!!!
「あ、メイド長はこっち側で決めていて…」
は?
「夜月にやってもらう事にしました!」
ホァァァァァァァァァァァァ!?!?!?!?
「あとサブリーダー的なのにはミ…夢那と氷見子をつける事にしました。」
ファァァァァァァァァァァァァァ!?!!!?
俺の高校生活オワタ☆
※終わりません
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