第99話 みんなの説得

 静かに続ける双子シードラゴン。それを静かに聞く、ユースタスさんと親シードラゴン。


 ここへ連れて来られて、最初はとっても怖くて。でも少しして遊んでくれる人が何人かいて。だからそれは嬉しくて。ただその人達はお友達にはなれなかったんだ。そうしたらグレンヴィル達がきてくれて、僕達の初めてのお友達になってくれたの。


 お父さんはダメって言ってた友達だけど。友達ってとっても嬉しくて、楽しくて、ワクワクしてドキドキして。僕達は全然ダメじゃなかった。だからお父さんに後で、お話ししようと思ってたんだ。


 そうすればお父さんもお友達が良いものだって分かってくれて、僕達グレンヴィル達とずっとお友達でいられるねって、お父さんが来るまでずっとお話ししてたんだよ。

 お父さん、僕達のお友達のお話し分かる? ダメなことないでしょう? きっと僕達の周りにいた小さい子達も同じだったはずだよ。お父さんが知らなかっただけ。


 だから僕達、お友達と一緒に、ここから逃げたいんだ。ここはダメダメな所だもん。大切なお友達をこんなダメダメな所に残して、僕達だけ逃げるのはダメ。それで一緒に逃げて、お父さんにかけられちゃった悪い魔法も消して、みんなで一緒に遊ぶんだよ。


 そこまで聞いて、俺のモコモコ達と小さいフルフルが、双子シードラゴンの方へ、檻ギリギリまで近づくと、一緒に何かを話し始めた。しっかりと何を話しているか聞きたいって、アルフォンスさんがリーリュの姿に変身した。


 そしてその聞いたことを、俺に後で伝えてくれたおかげで、俺もみんなの気持ちをしっかりと聞くことができた。


 僕達、お家にお友達いっぱい。お友達ダメってどういう事? ダメって何がダメなの? グレンヴィルのお父さんやお母さん、それから他の人達も、みんないっぱいお友達できると良いなって言ってた。


 グレンヴィルは家族だけど、他はお友達。だからお友達いっぱい。今までお友達がダメなこと何もなかったよ。シードラゴン達と一緒。嬉しくて楽しい事ばっかり。

 あっ、でもダメなこともある。おもちゃが足りない。もっとおもちゃがないと、おもちゃで遊べない友達がいるもん。遊べない子はダメダメ。


 帰ったらおもちゃ増やしてもらおう。何が良いかな? もしシードラゴン達が遊びにきてくれるなら。シードラゴン達が今持っている、輪っかとかボールとか、なんか噛むとブクブクが出る面白いおもちゃとか、そういうの用意してもらおう。


 うん、それが良い。みんな必ずおもちゃは1つずつ持っていた方が良いもんね。他には何が良いかな? 

 1度に全員で遊べるおもちゃはないかな? みんなで一斉に同じおもちゃで遊べたら、それはそれで楽しいはず。ねぇねぇ、どんなおもちゃが良いかなぁ?


 と、話しの内容が、途中で別に方角へ行っちゃったモコモコ達と小さいフルフル。それに双子シードラゴンも乗っかってきて。おもちゃの話しに。

 待ってくれみんな。せっかくユースタスさんと親シードラゴンを説得できるチャンスなんだから、おもちゃの話しは後にしよう!


 と、思ったのはもちろん俺だけじゃなく。アルフォンスさんが咳払いをして、みんなに話しかけた。


「お前達、今は友達の話しをしていたのではないのか? 友達にダメなことはないもないと。遊びの話しではなかったはずだが?」


 それを聞いて、お互いを見るみんな。それからしまったという顔をして、みんなでヘヘヘへへと笑い始めた。それから話しの続きをし始めて。ただ、この時の会話のせいで、俺はアレをやらされることに。しかしそれのおかげで事態が動くとは。


 話しを元に戻したみんな。それでまた友達がどれだけ良いものか、親シードラゴンに話したんだけど。親シードラゴンは最初から今までに黙ったまま。

 でも少し経つと、『いや』だとか、『そうは言っても』とか、やっぱり他の種族はとか。まぁ、色々と否定するようなことを言ってきてさ。


 流石に双子シードラゴン達もモコモコ達も小さいフル増えも、イライラしてきたよ。なんで分かってくれないの? ってね。それでみんなで親シードラゴンを睨んでいた。

 アルフォンスさんは途中からそうだなって、みんなの気持ちをちゃんと分かってくれたから、睨まれなかったけど。

 

 睨まれて、かなり? 怯んだ親シードラゴン。それでもなんとか友達っていうのを否定しようとして。後はやっぱり他の種族は怖いとか、何をされるか分からないとか。


『きゅっ!!、きゅきゅきゅ!!』


 今まで静かに話していたのに、急に大きな声をあげて、双子シードラゴン。


『きゅきゅきゅ!!』


『くきゅ!? くきゅきゅ!!』


『ぷぴぃ!!』


『ぷうぷうっ!!」』


『くう!! くうくう!!』


 そして盛り上がるみんな。何だ、今度はどうしたんだ? 何を言っているのか、今までみたいにユースタスさんの通訳を待つ。

 でもなかなかユースタスさんは何も言ってくれず。どうしたのかと思いユースタスさんを見れば、なんとも言えない表情で俺の事を見ていた。


「た?」


「皆はそれでも良いかもしれないが、グレンヴィルはどう思っているか分からんぞ?」


『ぷう!! ぷうぷう!!』


『ぷぴ! ぷぴぴ!!』


『くう! くうくう!!』


『きゅ!! きゅきゅ!!』


『くきゅうぅぅぅ!!』


「あ~、グレンヴィル。これから皆でダンスをしようと、皆が言っている」


 は? なんで急に、ダンスだなんて言い出したんだ? 今まで友達の話しをしていただろう? それで納得しない親シードラゴンを怒ってさ。

 

「皆、ダンスを見せて、グレンヴィルは怖くないと伝えたいらしい」


 俺は怖くない? 伝える? 別に伝えなくとも、今の赤ん坊の俺なら、親シードラゴンは俺のことを怖いと思っていないだろう?


 と、小さい方のモコモコが俺の前へ。それから俺に自分のお尻を見せてきた。……は? まさか?

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