第84話 シードラゴン達に起きた出来事
それから少しの間、お尻振りダンスをした俺。ユースタスさんにまだ話の途中だし、敵のジェフィリオンが戻ってくる前に話しておきたいから、今はお尻振りダンスをやめろって言われて。ようやく俺はお尻振りダンスから解放された。
そうしてユースタスさんの膝の上に戻ると、さっきの話の続きを聞くことに。まず、この双子のシードラゴンだけど。ほら、俺達の国を襲ってきたシードラゴンが、この双子シードラゴンの親って話し。
まさかあの凶暴なシードラゴンに、子供がいたのもビックリしたよ。まぁ、いてもおかしくはないんだろうけど。それでもやっぱりさ。
しかもこんなに可愛い双子のシードラゴンの親だなんて。この子達が将来、あの親シードラゴンみたいになるなんて想像ができない。
そしてこのシードラゴンの親子について、嫌な事実も分かった。俺がまだ会ったことのないジェフィリオンだけど、こいつが本当に最悪な奴だったんだよ。
ここからかなり遠い場所。双子の言っている距離だから、正確にはどれくらい遠いかは分からないけれど。シードラゴン達はつい最近まで平和に暮らしていたと。だけど突然ジェフィリオンが現れて。双子はジェフィリオンに捕まってしまい。
ジェフィリオンは双子を人質に、親シードラゴンに自分の言うことを聞けと脅してきて。親シードラゴンは言うことを聞くしかなく。
ただ、シードラゴンはやっぱり強い生き物だからな。途中で言うことを聞かなくなるといけないからって。ジェフィリオンは親シードラゴンに奴隷の魔法をかけたらしい。
奴隷契約というもので、それは人でも魔獣でも関係なく契約でき。契約された者は、契約主の命令に絶対に従わなくてはいけない。もし契約を無理やり解こうとすれば、契約違反の魔法が働いて、かなりの苦痛を受けるのだと。
この奴隷契約と双子シードラゴンを人質に取られていることで。親シードラゴンはジェフィリオンに従うことしかできずに、俺達の国を襲ってきたと。
『きゅう~』
『くきゅ?』
今のは、パパに全然会えない、パパ大丈夫かな? と言ったって。そうか、そうだよな。俺達にとってはかなりの脅威だけど、双子にとっては大切なお父さんなんだよな。
「シードラゴンは達は今まで、こういった争い事とは全く関係ない場所で暮らしてたと。もちろん狩りや、敵対された時は別だが、父親があんな風に誰かを何かを襲うのを、双子は初めて見たようだ。争い事が嫌いだといつも言っていたらしい」
俺、今までのみんなから教えてもらったシードラゴンの情報や、地球での小説の内容から、シードラゴンは凶暴で、誰でも何でも構わず襲ってくる、最悪な生き物だと思っていたけど。でも実はそうじゃんかったんだな。
人も魔獣も、それぞれ個性を持っていて、みんな同じなわけじゃない。それはシードラゴンだって同じで。勝手に最悪な生き物だなんて思ってさ。早く父さん達に倒してもらおうなんて言ってごめんな。
あのシードラゴンが、どうして襲ってきたか、その理由を聞けば。シードラゴンだって被害者じゃないか。しかも大切な子供を守る親で、俺の父さん母さんと何ら変わらない、1人の親だった。
そしてジェフィリオンの目的だけど、流石の双子にはそれは分からないみたいだ。俺が目的だったのは分かった。俺がっていうか、俺の魔力が。
だけど他にも色々目的はあるはずだ、ってユースタスさんが。まさか俺だけのために、あれだけの大きな攻撃をしてくるとは思えないって。
俺だけを連れ去るのが目的なら、最初からもっと力が上がった状態でくれば良かったし、それでそのままああやって攻撃してきて。さっさと俺を連れ去れば良かっただろう?
なのにそうじゃなくて、変異種に変わったばかりで攻撃をしてきて、しかも最初のうちは俺がいない場所を攻撃。挙句使えない半端者まで連れてきて。
俺の居場所が、ちゃんと分かっていなくて、みんなで探していた可能性もあるけど。半端者達にそんな能力はない。あそこに集まっていた半端者達は雑魚ばかりだから。
それに襲ったのは、俺が住んでいる街だけじゃなくて他の街もだから。これも俺を探していた可能性はあるけど、ジェフィリオンはそこまで分からずに、攻撃をしてこないと。
ジェフィリオンは半端者だが、半端者の中ではかなり優秀な男のようだ。そんなジェフィリオンが俺を攫う計画を立てたなら、俺がいる街がどの街なのか、それだけは完璧に調べてからくるはずだと。
「私はどちらかと言うと、今回の襲撃。グレンヴィル、お前の方がついでだったのではと考えている。元々は別の目的て、あの国を襲うつもりでいたところ。国を調べているうちに、お前の存在に気づき、お前の強い力が手に入れば、奴の真の目的のために、その力が使えると思い、お前を攫うことを計画の中に入れた。だがどこにいるかまでは分からず、とりあえず攻撃を仕掛けた達いったところだろう」
なるほど。ユースタスさんの考えは、今回のことのあっている気がする。俺はついでかよ。だったら気にしないで、放っておいてくれれば良かったのに。
「まぁ、どこまで私の考えがあっているか分からんがな。それにお前が攫われた時の奴の行動。私にはどうにも、計画的にアレをやったとは思えんのだ。それまでの行動と違いすぎたからな。もしかしたら奴ら側で何かが起こり、まだお前を見つけていなかったが、無理やりにでも侵入して、お前を攫わなければいけなくなったのかもしれん」
そうなのか? 確かに急にこっちにきて攻撃してきたけど、それに急に現れたしな。だったら尚更、俺のことなんて放っておいてくれれば良かったのに。
「どちらにしろ、これから我々がすることは、無事にここから逃げ出すこと。それだけだ。私が何とかするから、お前達は大人しくしているんだぞ」
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