知らずの森

 夜が明けた。眩しいほどの強い朝日が顔を見せていた。

 エアコンも無く寝れるか心配だったが、夜は予想以上に涼しかった。


 あの場所はどうなっているんだろうか。

 相田あいだはふとあの森が気になって、朝食後、出発までの間、一度外に出ることにした。


 知らずの森の近くまで行ってみる。こうして明るい時間に見ると、やはりただの雑木林にしか思えない。


「入ってはいけない、か……」


 この森の中には何があるのだろう。もしや一部の村の住民が何が隠しているのではないか。中に入った他の住民は、実は秘密裏に殺されているのではないのか。


「少しだけ……」


 中に足を踏み入れたその時だった。

 

「危ない!!」

 まだ若い、少女のような声が聞こえたような気がした。と同時に誰かに後ろから腕を強く引っ張られ、尻餅をつく形で倒れた。


「いっ――」

 アスファルトに叩きつけられた痛みのあと、爆発音と熱風が相田を襲った。


 相田はそのまま気を失った。

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