四女・こまめの話

 二番目の姉は苦手だ。

 家から歩いて10分ほどの場所にあるファミレスで、その姉と向かい合いながらそんなことを考えていた。


 事の発端は30分前、私が家の掃除をしていた時のことだった。


 「ただいまー! こまちゃん、ご飯まだよね? 食べに行きましょ」


 「ご飯?今帰ってきたばかりではないですか。それより私は掃除がありますので」


 「そんなカタいこと言わないのー。ほら、早く早く!」


 ……かくして私は昼食に連行され、今に至るわけである。


 「こまちゃん、何食べる? あたしはイチゴパフェー!」


 昼食時のファミレスでパフェだけを頼むのが変だとは思わないのだろうか。やはりこの人は理解に苦しむ。


 「兄さんは学校、姉さんは仕事でしょ、スーちゃんもボランティアに出かけてるし、こまちゃんが来てくれてよかったわー」


 「はあ……」


 来てくれたというか、無理やり連れていかれただけなのだが。やはりこの人は何を考えているかわからない。だから苦手なのだ。


 ……それでも、私の大切な家族には変わりないのだが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る