次女・麻雪の話
人生、楽しければそれでいい。そう思わない?
そんな生き様を姉に責められたあたしは、衝動のままに家を飛び出し近所にあるゲームセンターに向かった。財布から100円玉をありったけ取り出し、片っ端から機械に突っ込んでゆく。やっぱりストレス溜まった時にはコレに限るわ。
「麻雪、貴様は金を使い過ぎなんだ!」
頭の中で姉の声が聞こえた。あー、やだやだ。リズムゲームの機械を思いっきり叩く。いけないいけない、こんなことしてたら追い出されちゃうわ。
100円玉がなくなったのでゲームセンターを出る。
ふと思い立って、隣にある書店に足を踏み入れる。気が付くと、参考書コーナーに立っていた。あたしにはもう必要ないのに。
不意に、姉のことを思い出した。あたしの誕生日プレゼントには、いつも参考書をくれたっけ。思わず苦笑する。もっとお菓子とかアクセサリーとか、女の子っぽいものをくれればいいのに。でも、そこが姉さんらしいのよね。そういえば姉さんの誕生日、明日じゃなかったかしら?
怒っているのもバカらしくなったあたしは、数学の参考書を手に取ると一目散にレジに向かった。うふふ、姉さんの驚く顔が目に浮かぶわ。
やっぱり人生、楽しければそれでいいのよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます