第26話 九角武丸、埠頭を解放する
領主の娘を助け、扶桑同盟の船が補給を得られたかと思うと、今度は埠頭のみを漂う雷雲とアンデッドが現れた。
「取りあえず埠頭に向かうか」
「だね」
クエストラインルートに従ってアコンの街の埠頭に向かうと、埠頭に入るためのげーとてまえに即席のバリケードが築かれ、兵士達が弓やクロスボウを構えて警戒している。
「あ、武丸ちゃん! あそこに明智さんがいるよ」
「あの人に話しかければいいみたいだな」
埠頭ゲート前には勢力クエストマークが頭上に表示されてる明智官兵衛が兵士達の指揮をとっていた。
「貴公も駆けつけてくれたか!」
「何があったのです?」
「詳しいことはわかっていない。突如雷雲が現れたかと思うと、まるで狙ったように船や港湾設備ばかりに雷が落ちる。そのうえ海からはマジムンの海賊達がアンデッドになって上陸してきた」
明智官兵衛に話しかけると、埠頭で起こった出来事を教えてくれる。
「何か手伝えることは?」
「まだ市民の避難が完了していなくて門を閉じられない。こちらにくるように誘導してくれないか?」
明智官兵衛から逃げ遅れた市民の避難誘導と言うクエストを貰い、クエストラインルートはゲートの向こうへと伸びていく。
「ラウラ、狛犬呼んでいて貰えるか?」
「はーい。サモンモンスター!」
ラウラが石の狛犬を呼び出したのを確認すると俺はゲートをくぐろうとするとするとウィンドが表示される。
「む? ここはインスタンスダンジョン扱いか」
表示されたウィンドのテキストを確認すると、ここから先はインスタンスダンジョン扱いで、チームメンバー以外はプレイヤーは誰も来れない設定だと教えてくれる。
「ラウラ、準備は?」
「バフかけたらオッケーだよ」
ラウラからバフをかけて貰うと、改めてゲートを通り抜ける。
ゲートの先は細長い道になっており、両サイドには、本来ならばつり上げたばかりの海の幸が並ぶ露天や商品棚が破壊されて火をつけられていた。
「武丸ちゃん、あそこに人が」
「ほんとだ」
ラウラが俺の背中を叩いて倒れている人がいる方向を指差す。
そこには破壊された露天の残骸に下半身が埋もれた男性が倒れていた。
「おい、大丈夫か?」
「いてて………なんとか生きている」
瓦礫をどかして声をかけると、男は意識を取り戻したように起き上がり頭をふる。
「何があったかわかるか?」
「いきなり落雷が落ちて、マジムンの海賊どもが海からきた! 水死体みたいな体だったよ!」
救助者に状況を聞くが明智とにた話しか聞けない。
「ただ、マジムンの糞やろうは皆密売人の洞窟に向かってた」
「密売人の洞窟?」
「この島では各国が定めた禁製品を取引する場所があるんだよ。埠頭で働くやつなら皆しってる公然の秘密ってやつだ。埠頭の最奥にある」
救助者が密売人の洞窟に関する話をすると、クエストが更新されて【密売人の洞窟に向かう】と【救助者を救う1/5】と表示される。
「ゲートに向かえ、兵士達が保護してくれるはずだ」
「ああ、すぐに行く!」
救助者はそう言うと、ゲートに向かって走り出す。
「先に進むか」
「うん!」
俺とラウラは新たに現れたクエストラインルートに従って進んでいく。
「バッシュ!」
「爆破!」
道中アンデッドになったマジムンの海賊達が立ち塞がるが、撃退して先に進んでいく。
「マジムンども! かかってこいや!!」
「お、救助者か?」
埠頭の道を進んでいくと、漁師と思われる男性が銛でアンデッドと戦っていた。
「旋風撃!」
「狛犬やっちゃえ!!」
俺は範囲攻撃スキルで、ラウラは呼び出した石の狛犬をけしかけて漁師に群がるアンデッド達を倒していく。
「助かった!」
「あんただけか?」
「ああ、ここはおらしかいねえ」
アンデッド達を倒して救助者に話しかけるとクエストのカウントが進む。
「他に逃げ遅れた人は知らないか?」
「マジムンに火をつけられた倉庫を消火させようとしていた奴らがあっちに!」
「わかった、お前はゲートに向かえ!」
次の要救助者の居場所を聞き、そちらに向かう。
「こっちは遅かったか………」
「でも救助者カウントされたね」
燃えている倉庫に向かうと、消火作業中にアンデッドに襲われて殺された死体を見つける。
死体を確認するとなぜか【救助者を救う3/5】となったので、そう言うイベント展開なのだろう。
更にアンデッドとなったマジムンの海賊達を倒して進んでいくと、崩落して入り口が塞がれた洞窟と、その手前で倒れてる鼠の獣人がいた。
「おい、大丈夫か?」
「うーん………頭の中がガンガンする。なあ、俺の頭ちゃんとついてるよな?」
鼠の獣人に声をかけると、鼠の獣人はゆっくりと起き上がって自分の頭を何度も確認している。
「何でここで倒れていた?」
「何でって………えーっと、洞窟でさぼっ………ごほん、働いてたらマジムンの海賊どもがきて、襲いかかってきたんだ。今まで散々仕事手伝って、あの辺なトーテムとか運んでやったのにさ、酷いと思わないかい?」
鼠の獣人に状況を聞くと、ペラペラと喋りだす。
「それは酷いな。で、そのトーテムは何のために?」
「さあな。ただ位置やら向きやら五月蝿くてよ。ちょっとずれてたぐらいで怒鳴ってくるんだぜ」
トーテムについて聞くと、鼠の獣人は愚痴を混ぜながら話してくれる。
「入り口が崩落しているが、なにか知らないか?」
「龍神神社のヌル達がやってきてアンカグワーの復活はさせないとか言ってトーテムを壊したら………思い出した! トーテムが壊れた瞬間ドカンと凄い音と風が吹いて吹き飛ばされたんだ!」
洞窟の入り口が崩落していることを聞くと、鼠の獣人は中で何があったか思い出して叫ぶ。
「入り口はここだけか?」
「他にもあるよ! 教えてほしい?」
他に洞窟の入り口がないかと鼠の獣人に質問すると、鼠の獣人はあると言って金銭をねだるように手を差し出す。
選択肢にはお金を払う以外にスキルを覚えていれば説得や脅迫でお金を払わずにいけたようだ。
「次のスキルポイントは説得か脅迫にわりふるべきだな」
「じゃあ武丸ちゃん、私が片方とるよ」
俺とラウラはそんな話をしながら鼠の獣人にお金を渡す。
「こっちだ、付いてきてくれ」
鼠の獣人はお金を受けとると、洞窟近くの掘っ立て小屋に案内する。
「秘密の抜け道の一つさ」
鼠の獣人は掘っ立て小屋にある釣具や網をどかして床板をはずすと密売人の洞窟に繋がる抜け道を見せる。
「お前はゲートまで避難しろ」
「わかった!」
鼠の獣人は自分の仕事が終わるとそそくさとゲートに向かって走り去ると同時に【救助者を救う4/5】とカウントされる。
「よし、行くか」
「あ、待って武丸ちゃん。バフそろそろきれるからかけ直すね」
ラウラにバフをかけ直してもらい、縄梯子を伝って密売人の洞窟に入る。
洞窟内は密売人達が利用していただけあって、足場や明かりが整えられており、壁には密売品と思われる樽や木箱が山積みされていた。
「うっ………これは酷いな」
「武丸ちゃん、みて! この死体全部あの時の副官さんみたいなシンボルが刻まれてるよ」
洞窟を進んでいくと、洞窟内で働いていたと思われる荷運び人と思われる人々が惨殺されていた。
ラウラが言うように死体全てには海岸の洞窟で殺されていた副官と同じシンボルが刻まれていた。
「ん? こいつらはマジムンの海賊か?」
惨殺された死体を確認していると、マジムンの証である刺青を入れた死体もあり、同じようにシンボルが刻まれていた。
「仲間まで犠牲にしてるのか?」
「何が起きてるんだろうね、武丸ちゃん」
洞窟内はあちらこちらに惨殺死体が散乱しており、かなり酷い惨劇が起きたと予測される。
「ん? ラウラ、念仏の声が聞こえてこないか?」
「あ! 武丸ちゃん、あそこに人が!」
「あれは………龍神神社のヌル達?」
更に洞窟を進んでいくと、念仏のような声が聞こえてくる。
声がする方に歩いていくと、ラウラが何かに気づいて俺の肩を叩きながら指差す。
ラウラが指差す方向には龍神神社のヌル達が黒い蛇のようなトーテムのような置物の前でマジムンの海賊達に囲まれていた。
──キャラクターデータ──
名前:九角武丸
種族:人間
キャラクターレベル:10レベル
クラス:ファイター13レベル
スタミナポイント:13レベル
パッシブスキル
刀マスタリー8レベル:武器種別刀を装備すると物理ダメージボーナス
豪腕:両手武器物理ダメージボーナス
獅子心:物理ダメージボーナス
剣禅一如:物理クリティカルボーナス
調薬:回復アイテムなどを作れる。
鍛冶:武器、重装防具製造可能
服飾:軽装防具製造可能
木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能
装飾:アクセサリー製造可能
アクティブスキル
バッシュ5レベル:単体物理ダメージ
旋風撃5レベル:範囲物理ダメージ
アサルトダッシュ2レベル:敵に突撃する単体物理ダメージ
ノックバックストライク2レベル:対象を吹き飛ばす単体物理ダメージ、吹き飛ばした先に障害物などがあると追加ダメージ
アルティメットスキル
フェイタルブロウ:クリティカル扱いで対象単体に防御無視で大ダメージを与える。
名前:ラウラ
種族:人間
キャラクターレベル:10レベル
クラス:魔法使い13レベル
マジックポイント:13レベル
パッシブスキル
調薬:回復アイテムなどを作れる
鍛冶:武器、重装防具製造可能。
服飾:軽装防具製造可能
木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能
装飾:アクセサリー製造可能
回復量修練:回復スキルの回復量ボーナス
詠唱時間短縮:魔法スキルの発動時間短縮
アクティブスキル
治癒の光10レベル:単体HP回復
爆破2レベル:範囲魔法ダメージ
ブレス2レベル:単体魔法防御力ボーナス
守護結界2レベル:単体物理防御力ボーナス
魔力の刃2レベル:単体物理ダメージボーナス
マスヒール2レベル:範囲HP回復
ライフシード3レベル:単体に一定時間HP自動回復
サモンモンスター2レベル:味方モンスターを召喚して戦わせる。
アルティメットスキル
大復活:範囲内の戦闘不能になったプレイヤー全員を復活させる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます