第25話 九角武丸、ガチャを試してみる。
「早速ログインするか」
翌日、学校が終わって帰宅すると俺はエターナルクエストオンラインにログインする。
「ん? 新しいガチャのお知らせ?」
エターナルクエストオンラインにログインすると、視界にいきなり新しいガチャの告知ページが視界に表示される。
どうやら今日は授業中にエターナルクエストオンラインの定期メンテナンスがあったようで、新しいガチャが導入され、商品の一覧が画像付きで紹介されている。
「武丸ちゃーん!」
「よう、ラウラ。なんか新しいガチャが来たみたいだな」
ガチャの告知ページをみていたらラウラもログインして合流してくる。
「武丸ちゃんもガチャやってみる?」
「課金は今のところ考えてないからなあ。乗り物も馬いるし」
ラウラはガチャをやるのか聞いてくるが、興味はあるが課金してまでと言うほどではない。
「武丸ちゃんはメンバーシップに加入してるから毎月1日に10連ガチャチケットが一枚プレゼントボックスに配布されてるよ」
「あ、本当だ」
ラウラに言われてステータス画面のプレゼントボックスを確認すると、プレゼントが一つきており、中身を確認すると譲渡不可の10連ガチャチケットだった。
「ま、タダなら使わせてもらうか。どうやるんだ?」
「各地の街にあるガチャ交換所で10連に挑戦できるよ。こっち!」
ラウラは俺の手を引っ張ってガチャ交換所と言う場所に向かう。
「そこそこ人がいるな」
「都市伝説的な話で、何処其処の交換所でガチャすると当たりが出やすい何て話があるの」
ガチャの交換所は思ったよりも人が多く混んでおり、お尻にパンを挟んで片手で鼻をほじりながらもう片手でシャドウボクシングしていたり、ビックリするほどユートピアと白目で叫びながらお尻を叩いてる人、ガチャの結果を絶望して崩れ落ちていたり、あと一回、あと一回だけだからと言って課金チャージ画面のボタンを押そうとしてるプレイヤーと、それを必死に羽交い締めして止めてるプレイヤーなど混沌とした空気を漂わせていた。
「そこまで躍起になるものなのか?」
「んー、人によるかな? ゲーム実況配信とかだと、ガチャ配信が人気だし、映える騎乗動物や戦闘ペット連れてるだけでも人気が違うみたい」
ラウラから話を聞くが、ガチャとはあまり縁のない世界にいたので、あそこまで躍起になる熱意が今一つわからない。
「取りあえず試しにやってみようよ」
「タダでもらえるならやらなきゃ損だしな」
交換所には福引きのガラガラが置いてあり、それを回すことでガチャ景品が当たるようだ。
「武丸ちゃん、は何が当たった?」
「色々当たったが………毒とか物騒だな」
ガチャを回すと、10レベル達成イベントで貰えた課金料理や各種の回復ポーション、キャラメイク用のボディタトューやイヤリングなどアクセサリーなど色々当たるが、この中で毒ポーションと言うアイテムが気になった。
「あ、それは武器に塗布して使うアイテムだよ。毒を塗布してダメージを与えると追加で毒の効果を与えるの。何の毒があたったの?」
「移動力低下と、スタミナやマジックポイントが減る毒だな」
「どれもPVP向けだね」
毒の効果を説明すると、ラウラはPVP向けだと答える。
「そうなんだ。あとフサリア馬と言う乗り物が当たったな」
「あ、それ今回のガチャの当たり枠の一つだよ」
当たったフサリア馬と言う騎乗ペットを召喚すると、派手な羽根飾りや金色の装飾がされた鞍や鎧をまとった白馬が召喚される。
召喚されたフサリア馬を見た周囲のプレイヤー達からおめでとうと言われたり、自慢かと怨嗟の声が投げ掛けられたりした。
「移動速度は葦毛の馬と一緒だが、スキル持ってるな」
「このスキルが目当てでガチャする人がいるんだよ」
フサリア馬は一定時間移動速度が速くなるダッシュと突撃突破と言う体当たりで対象をノックバックと転倒させるスキルを持っていた。
「ラウラは?」
「私はポーションがほとんどで、当たりはこれかな」
「お、可愛いな!」
ラウラはそう言ってバステトと言う名前の金細工装飾が施された首輪をした黒猫を呼び出す。
「連れ歩き用のペットで、プレイヤーの特定の行動に反応していろんなエモートしてくれるの。こんな風に」
ラウラがそう言って指先をバステトの口許に近づけるとその指をくわえてチュパチュパとおしゃぶりし始める。
バステトの仕草に周囲のプレイヤー達が可愛いと連呼しながらカメラを取り出して写真を撮り始める。
中にはあれを当てるまで課金を止められないと火が着いたプレイヤーもいた。
「取りあえず、領主の娘を助けるクエストの報告に行こうか」
「うん、せっかくだから新しい馬で行こうよ」
ガチャを終えた俺達はフサリア馬に乗って領主の館へと向かう。
「茉莉花!」
「お父様!!」
領主の館にたどり着くと、領主のシタツが玄関の前になぜかいて、領主の娘を出迎えて抱き締める。
「お父様、私を拐ったのはマジムンの海賊と手を組んだダントーイン帝国の者です!」
「なんだとっ!?」
茉莉花と呼ばれた領主の娘は自分を誘拐した犯人を告発する。
事の発端は何時ものよう館を抜け出して、街を散策していると、ダントーイン帝国の使節の一人がマジムンの海賊と会話しているのを目撃し、盗み見してるのがばれてそのまま拐われたとのこと。
「拐われた私は、あちらの方に救っていただきました」
「娘を助けていただいて礼を言う。本来なら恩義に報いるために盛大に歓迎したいが、ダントーイン帝国の者に問わねばならぬ詮議があるゆえ、これで許して貰いたい」
領主のシタツがそう言うとクエスト完了になり、経験値とお金とスキルポイント、そしてティンベーと言う亀の甲羅で出来た盾を貰う。
「盾か………今は使わないな」
「最悪解体して素材に回せばいいと思うよ」
刀を両手持ちしてる俺や、両手武器扱いの魔法の杖を持つラウラには今回の報酬は微妙だった。
クエストが終了すると領主のシタツと娘の茉莉花は館の中へと消えていき、銀次の元へ報告に行くと言うクエストが発生する。
「あっちこっち行かされるなあ」
「MMORPGなら仕方ないよ」
ラウラを後ろに乗せてフサリア馬で銀次の元へと向かう。
「よお、お前達のお陰でやっとこさ補給の目処がたったよ。それよりも、会議は見物だったぞ」
銀次は街の入り口に佇んでおり、話しかけると会議があった前提で話を進めていく。
「どう言うことだ?」
「午後からの会議で領主は扶桑同盟に補給することを宣言。領主の娘が救われたと知らないダントーイン帝国側は娘さんがどう思うかと遠回しに脅迫してたが、娘が会議に出席してダントーイン帝国を告発。拐われた時にちゃっかりダントーイン帝国とマジムンのやり取りを記した書簡を拝借していたみたいで、そいつを提示して追い詰めた。あんときのダントーイン帝国側の使節の顔色は見物だったぞ。人間ってここまで顔色青くできるんだってしったぞ」
銀次は心底愉快と言った感じで腹を抱えて笑っている。
「会議は最終的にどうなったんだ?」
「ダントーイン帝国はこの島での活動縮小。本当なら追い出したいが、本格的に報復で攻めてきたら島も扶桑同盟も追い返せるほどの力はない。今は一刻も早くニラカイナ島に向かわなければならないから補給を終えたらすぐに出発。これが今でき───」
銀次とそんな話をしていると、埠頭の方で爆発が起こる。
「何事だ?」
爆発が起きた埠頭に視線を向けると、埠頭エリアだけ雷雲が漂い、狙ったように船に向かって落雷が落ちている。
「助けてくれ! アンデッドだ!!」
埠頭の方から人々が逃げ惑い、アンデッドに襲われたと口々に叫ぶ。
「すまないが様子を見に行ってくれないか? こっちは兵を連れてくる!」
銀次はそう言うとどこかに向かって走り去り、クエストは埠頭へ向かうと言う内容に変わった。
──キャラクターデータ──
名前:九角武丸
種族:人間
キャラクターレベル:10レベル
クラス:ファイター13レベル
スタミナポイント:13レベル
パッシブスキル
刀マスタリー8レベル:武器種別刀を装備すると物理ダメージボーナス
豪腕:両手武器物理ダメージボーナス
獅子心:物理ダメージボーナス
剣禅一如:物理クリティカルボーナス
調薬:回復アイテムなどを作れる。
鍛冶:武器、重装防具製造可能
服飾:軽装防具製造可能
木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能
装飾:アクセサリー製造可能
アクティブスキル
バッシュ5レベル:単体物理ダメージ
旋風撃5レベル:範囲物理ダメージ
アサルトダッシュ2レベル:敵に突撃する単体物理ダメージ
ノックバックストライク2レベル:対象を吹き飛ばす単体物理ダメージ、吹き飛ばした先に障害物などがあると追加ダメージ
アルティメットスキル
フェイタルブロウ:クリティカル扱いで対象単体に防御無視で大ダメージを与える。
名前:ラウラ
種族:人間
キャラクターレベル:10レベル
クラス:魔法使い13レベル
マジックポイント:13レベル
パッシブスキル
調薬:回復アイテムなどを作れる
鍛冶:武器、重装防具製造可能。
服飾:軽装防具製造可能
木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能
装飾:アクセサリー製造可能
回復量修練:回復スキルの回復量ボーナス
詠唱時間短縮:魔法スキルの発動時間短縮
アクティブスキル
治癒の光10レベル:単体HP回復
爆破2レベル:範囲魔法ダメージ
ブレス2レベル:単体魔法防御力ボーナス
守護結界2レベル:単体物理防御力ボーナス
魔力の刃2レベル:単体物理ダメージボーナス
マスヒール2レベル:範囲HP回復
ライフシード3レベル:単体に一定時間HP自動回復
サモンモンスター2レベル:味方モンスターを召喚して戦わせる。
アルティメットスキル
大復活:範囲内の戦闘不能になったプレイヤー全員を復活させる。
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