第17話 九角武丸、アンデッド発生の原因を知る


「それはどう言うことだ?」

「私達はこの遺跡を発掘していたら急にアンデッド達が湧いてきて逃げ出したんだが、新人のウルトルがいないことに気づいた教授が探しに奥へ………」


 俺が調査員に話を聞くと、調査員は遺跡の地下に続く通路を指差しながら事情を話す。


「そもそもこの遺跡は何の遺跡なんですか?」

「グラウス帝国時代より前の神殿だ。この島に伝わる龍神を奉った物だと思うが、少々姿形が違っていて、それを調べていた」


 ラウラが別の選択肢の台詞を読み上げると、調査員は遺跡の来歴を教えてくれる。


「グラウス帝国?」

「そんなことも知らないのかっ!? かつてこの世界全土を支配した帝国だよ」


 グラウス帝国という知らない用語が出てきて、選択肢にも似た質問ワードがあったので読み上げると、調査員はなんで知らないんだと言うリアクションでグラウス帝国について教えてくれる。


「武丸ちゃん、その帝国が崩壊して三つの勢力が覇権を争ってる設定だよ」

「エターナルクエストオンラインは自分から調べにいかないとクエスト以外の世界設定とかわかりませんからね」


 ラウラが耳打ちしてグラウス帝国について説明し、ブラックサレナがフォローするようなことを言う。


「ともかくその教授とウルトルを探しにいけばいいみたいだな」


 クエストを確認すれば教授とウルトルを見つけると言う内容になっており、クエストラインルートも遺跡の奥に続く道に伸びている。


「僕が先頭を行きます」

「悪いな」

「それがタンカーの役目ですから」


 ブラックサレナを先頭に遺跡の奥へと進んでいく。


「これは壁画か?」

「二匹の東洋龍が睨みあってるっぽいですね」


 遺跡の奥に入ると、ます目についたのは巨大な壁画。

 壁を掘って立体的にした壁画で、片方は風を、もう片方は雷を纏ってるように見えた。


「次は雷を纏う龍が海から屍人や骨人を呼び出している?」

「武丸ちゃん、こっちは風を纏った龍が兵士達と一緒にいるよ」

「これ、龍神神社のヌエが言ってた伝説を称した壁画ですかね?」

「そんな感じがするな」


 壁画を見ていく道中でも屍人や骨人が襲ってくるが、特に問題なく倒していく。


「ここは壁画が破壊されているな」

「中には人形───うわっ!? 人形からアンデッドがっ!」



 続きの壁画を見ようと先に進むと、肝心の壁画が破壊されており、大きな穴が空いている。

 穴の中を覗くと兵馬俑のような人型の人形が大量に並んでおり、そのほとんどが破壊されている。


 俺とブラックサレナが穴の中を覗いて様子を伺っていると、無事だった人形が割れて中から屍人が呻き声をあげながら現れる。


「こいつがアンデッドの発生源か」

「誰かがうっかり壁画を破壊してアンデッドを起こしたとかでしょうか?」

「王道お約束パターンだけど、発掘のプロっぽい調査団がするかなあ?」


 這い出してきたのは屍人一体だけだったので俺達三人で容易に撃退すると、なぜ壁画が破壊されたか考察しあう。


「とにかく、まだ見つかってない教授と新人を見つけたらなにかわかるかも?」

「そうですね」

「じゃあ、先に進もうよ」


 俺達はクエストラインルートに沿ってさらに遺跡の奥へ進んでいく。


「うわっ!?」

「これはホラーですね」

「あっ! 武丸ちゃん、あそこ見て!!」


 広間のような場所にたどり着いたが、そこは酷い場所だった。


 広間の四隅に大量の人骨がピラミッドのように積み上げられ、その中央には骨で作られた祭壇があり、老齢の白人男性が横たわっていた。


 祭壇の回りには血文字で画かれた魔方陣と魔術の儀式で使われるような太い蝋燭が点在し、その蝋燭には青白い炎が灯されていた。


 祭壇の前にはウルトルと言う名前の調査団の服を着た人物がいて、何か儀式を行っている。


「ロケットパンチライト!」

「おおう!?」

「ぐわっ!? おのれっ! 我が儀式を邪魔するのは何奴だ!」


 一緒にいたブラクラサレナがいきなり右腕を巨大化させて射出すると、儀式を行っていた調査員のウルトルがノックバックで吹き飛び、こちらに向いて怒鳴る。


「くそっ! アンカグアーのアンデッドの支配に失敗したかっ!」


 さらに何か文句を言おうとしたが、地震のように遺跡全体が揺れ始め、ウルトルは焦ったような顔になる。


「当初の目的であるアンカグアーの骨だけ回収できただけましだと思うか!」


 ウルトルはそう言うと、ポケットから取り出した転移石を地面に叩きつけて、転移の魔方陣を展開する。


「させるかっ! ロケットパンチレフト!!」


 ブラックサレナは残っている左腕も飛ばすが、残念ながら命中する前にウルトルは何処かに転移して消えてしまう。


「取りあえず、教授だけでも救助して脱出を………したいがボス戦かな?」


 教授を助けにいこうとすると、四方の骨の山から無数の骨が飛んで広間の中央で合体していき、俺達に立ち塞がるように二つの頭蓋骨を持つ巨人のスケルトンになる。


 巨大な二つ頭のスケルトンにはボスネームカラーで骨の王と言う名前が表示されていた。


「バフかけるから皆集まって!」


 ラウラが俺達にバフをかけて戦闘準備を始める。 


「タゲ引き受けます! プロブォック!!」


 バフを受け取ったブラックサレナが攻撃対象を自分にするスキルを骨の王に使う。


「ウオオオンン!!」

「いったっ!?」


 プロブォックの効果を受けた骨の王は一直線にブラックサレナを殴る。

 ブラックサレナは巨大化した両腕でパンチを受け止めるが、思わず声が漏れるほどのダメージを受ける。


「治癒の光!」

「助かります! バッシュ!」

「アサルトダッシュ!」


 ラウラがブラックサレナを回復し、俺とブラックサレナ、そしてラウラが召喚していた石像の狛犬が骨の王にダメージを与える。


「オオオオッ!!」

「うわっ!?」

「きゃっ!?」

「お二人とも大丈夫ですか!!」


 骨の王が片足を上げて地面に叩きつけると、一直線に骨の刺が次々と地面を突き破って現れ、俺達にダメージを与える。


「マスヒール!」

「ライフシードの持続回復のお陰でなんとか」


 ラウラの範囲回復魔法とバフをかけるときにつけてくれたライフシードのお陰でダメージは全快する。


「骨の王の正面には立たない方がいいかも! バッシュ! 旋風撃!!」

「わかった!」

「うん!」


 ブラックサレナは骨の王と殴り合いながら叫び、俺とラウラは骨の王の側面に移動する。


「アアアーッ!!」

「げっ!? こいつ取り巻き呼ぶタイプか! まだ旋風撃ディレイ中なのに!!」


 ブラックサレナと戦っていた骨の王が両手を広げて叫ぶと、地面から五体の骨人がブラックサレナの背後から這い出てくる。


「任せろ! 旋風撃!!」


 ボスの骨の王だけでなく、取り巻きの骨人にまで囲まれて殴られるのはタンクのブラックサレナでもきついと思った俺は範囲物理攻撃スキルで取り巻きの骨人を攻撃する。


「意外と脆いな!」

「でも経験値とかないみたい」

「まじかっ!?」


 範囲物理攻撃スキルで骨人達を攻撃すると、一撃で倒した。

 思ったよりも脆いことにほっと胸を撫で下ろしているとラウラの一言でショックを受ける。


「バッシュ!」

「バッシュ!」

「グウウウ………」

「治癒の光!!」


 俺とブラックサレナはチクチクとダメージを与え、ラウラが骨の王の攻撃を受けてるブラックサレナのヒットポイントを回復する。


「オオオッ!」

「直列攻撃きます!」


 骨の王が雄叫びを上げて片足をあげる。

 ブラックサレナは防御体勢をとり、俺とラウラは骨の王から離れる。


「オオオッ!」

「ぐううっ! バッシュ!!」


 ブラックサレナは骨の王の直列攻撃を耐えると反撃する。


「アサルトダッシュ!!」

「ギャアアアーッ!!」


 俺が突撃スキルで攻撃すると、それが止めとなったのか、骨の王は断末魔を上げてボロボロと骨が崩れていく。


「よっしゃ! レベルアップ!!」



 骨の王から得られた経験値で俺達はレベルアップして喜びあう。


「ドロップ品回収したら、教授を連れて脱出しましょう」

「そうだな!」


 俺達はドロップ品と気を失っている教授を回収して地上へと戻った。






──キャラクターデータ──


名前:九角武丸

種族:人間

キャラクターレベル:8レベル

クラス:ファイター11レベル

スタミナポイント:8レベル


パッシブスキル

刀マスタリー8レベル:武器種別刀を装備すると物理ダメージボーナス


豪腕:両手武器物理ダメージボーナス


獅子心:物理ダメージボーナス


剣禅一如:物理クリティカルボーナス


調薬:回復アイテムなどを作れる。


鍛冶:武器、重装防具製造可能


服飾:軽装防具製造可能


木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能


装飾:アクセサリー製造可能


アクティブスキル

バッシュ3レベル:単体物理ダメージ


旋風撃3レベル:範囲物理ダメージ


アサルトダッシュ:敵に突撃する単体物理ダメージ


ノックバックストライク:対象を吹き飛ばす単体物理ダメージ、吹き飛ばした先に障害物などがあると追加ダメージ



名前:ラウラ

種族:人間

キャラクターレベル:8レベル

クラス:魔法使い11レベル

マジックポイント:8レベル


パッシブスキル

調薬:回復アイテムなどを作れる


鍛冶:武器、重装防具製造可能。


服飾:軽装防具製造可能


木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能


装飾:アクセサリー製造可能


回復量修練:回復スキルの回復量ボーナス


詠唱時間短縮:魔法スキルの発動時間短縮


アクティブスキル

治癒の光8レベル:単体HP回復


爆破:範囲魔法ダメージ


ブレス:単体魔法防御力ボーナス


守護結界:単体物理防御力ボーナス


魔力の刃:単体物理ダメージボーナス


マスヒール2レベル:範囲HP回復


ライフシード2レベル:単体に一定時間HP自動回復


サモンモンスター:味方モンスターを召喚して戦わせる。


名前:ブラックサレナ

種族:オートマン

キャラクターレベル:8レベル

クラス:戦士:9レベル

ライフ:4

スタミナ:4


パッシブスキル

機械の体3レベル:物理防御力アップ種族スキル


鋼の肉体2レベル:物理防御力アップ、ただし軽装防具以外を着用すると無効


鉄拳2レベル:素手攻撃ダメージアップ


変形機構:腕を巨大化させて物理ダメージと防御力アップ 種族ススキル


鉄壁:物理:魔法防御力アップ


仁王立ち:キャラクターの周囲を移動困難エリアにする


不動の構え:一定時間動かず戦闘を行うと、物理ダメージと防御力アップ


追い討ち:相手にバッドステータスを与えると追加ダメージ

調薬:回復アイテムなどを作れる


鍛冶:武器、重装防具製造可能。


服飾:軽装防具製造可能


木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能


装飾:アクセサリー製造


アクティブスキル

バッシュ2レベル:単体物理ダメージ


旋風撃:範囲物理ダメージ


ロケットパンチ2レベル:単体物理射撃攻撃 種族スキル


プロブォック:範囲内の敵の攻撃を自分に集中させる。


チェーンウィップ:単体対象に巻き付いて自分の元へ引き寄せ、攻撃を自分に集中させる。



 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る