第16話 九角武丸、コレリアの調査団を助ける


「おお、無事にお戻りになられましたか!」


 盗まれた宝物を海賊から取り戻して神社に戻ると、ヌルのアニコが出迎えてくれる。


「宝物は取り戻したのだが、中身を奪われた」

「なんですと!?」


 アニコに翡翠の龍神を返して、中身だけ奪われてしまったと報告する。

 アニコはショックを受けたようにふらついて、見習い達に支えられる。


「海賊の船長がもっていた航海日誌に骨を奪ってこいと書かれていたが、なんの骨だ?」

「………宝物を取り戻してくれた貴方にはお話しましょう。こちらへ」


 アニコは神妙な面持ちで俺達を本殿の一室へと案内する。

 その部屋は天井に絵が描かれており、二匹の龍が争いあう様子が描かれていた。


「かつてこの島を含む海域を荒らす悪龍がいました………」


 アニコは昔話を語り始める。

 内容は良くある悪い龍が暴れて困っていたら善の龍が現れて悪い龍を退治した。


「ただ、その悪龍は死体になっても周囲に悪影響を与えており、我々の祖先を助けた龍神様が死体を封印して社を建立し、我々ヌルの一族が封印の管理と龍神様を奉り続けました」

「つまり、置物の中にあったのは悪龍の死体の一部か?」

「そのように言い伝えられております」


 昔話を語り終えたアニコは一息つくようにその場に座りお茶を飲む。


「なぜマジムンの海賊達が宝物の中に骨を封じているのを知ったかはわかりませぬが、良からぬことを企んでいるでしょう。ともかく、宝物を取り戻してくださったのです。我々にどこまで影響力があるかわかりませんが、お力添えいたしましょう」


 アニコが支援を約束するとクエストが完了して経験値と報酬、そしてスキルポイントがもらえる。


「おっし、7レベル!」


 クエスト経験値で7レベルになった俺は手数を増やすためにアサルトダッシュという突進攻撃と海賊船長オルハが使っていたノックバックストライクの二つのアクティブ攻撃スキルを覚える。


「それじゃあ次はコレリア王国の遺跡調査団だっけ?」

「うん、神社とは反対の西端にいる団体だね」

「遠いし、まずは町まで石で戻るか」


 俺はクエストで貰った転移石のひとつを割って魔方陣を作り出すと、アコンの街まで転移して、そこから馬で調査団がいるキャンプに向かう。


「そこの人助けて!」


 クエストラインルートに従って道を走っていると、金髪碧眼の白人女性が道の真ん中で大きく手を振って助けを求めてくる。


「どうした?」

「私はコレリア大学調査団の学者でユリウス家の娘、ユリアと申します。現在、発掘現場ではアンデッドが大量に発生して混乱しています」


 ユリアと名乗った女性はその場で両手を胸で交差させて両膝をついて頭を下げてくる。


「なんでまたそんなことが?」

「わかりません、とにかくまだ逃げ遅れて遺跡に取り残された面々がいます! どうかご助力を!!」

「こちらも調査団に頼みたいことがあったから、それと引き換えなら」

「どこまでできるかわかりませんが、ユリウス家の名にかけて可能な限り助力します!」


 ユリアがそう言うとクエストが更新されて、アンデッドを倒しながら逃げ遅れた人を探すクエストが発生する。


 馬を走らせて発掘現場に向かうと、あちらこちらに屍人という名前のゾンビや、骨人という名前のスケルトンなど無数のアンデッドが徘徊していた。


「そこのお二人さん、もしかしてクエストですか?」

「ん?」

「はい?」


 クエスト目標であるアンデッドとさあ、戦おうかと抜刀すると、スピーカ越しのような音声で急に声をかけられる。


 声がした方向に視線を向けるとブラックサレナという名前のメタルブラックの外装にゲーミングパソコンみたいなネオンパープルに光るラインが描かれたオートマンのプレイヤーがいた。


「コレリア王国の遺跡調査団を助けるクエストでアンデッドと戦うとこだよ」

「それはよかった! 僕も同じクエストを受けてるので一緒にやりませんか?」


 ブラックサレナは同じクエストを一緒にやらないかと誘ってくる。


「どうする、ラウラ?」

「武丸ちゃんに任せる」

「んじゃ、俺のパーティーでいいか?」

「よろしくお願いいたします」


 ブラックサレナをパーティーに誘って三人チームになると早速クエストを始めようと馬を降りる。


「因に僕はタンク構成の戦士ですけど、お二人は?」

「俺は近接アタッカーになるのかな?」

「私はヒーラーメインのバッファー」


 戦闘を開始する前にブラックサレナは戦闘ロールを聞いてくるので俺とラウラは自分の役割を話す。


「じゃあ僕が敵を引き寄せるので、武丸さんはそれを叩いてください。ラウラさんは回復メインで余裕があれは攻撃でどうでしょう?」

「俺はそれでいいぞ」

「私も。あ、先に皆にバフかけるね」

「ありがとうございます。では、引き付けますね! チェーンウィップ!!」


 大まかな作戦を決めるとブラックサレナは腕から鎖の鞭を放ち、近くにいた屍人に絡み付かせて手元に引き寄せる。


「まずは新しいスキルの性能をみさせて貰うか アサルトダッシュ!」


 まずは突進攻撃スキルのアサルトダッシュを発動させると、ブラックサレナが引き寄せた屍人に向かってダッシュして刀を突き刺し、ダメージを与える。


「バッシュ!!」


 ブラックサレナはいきなり両腕が巨大化して、引き寄せた屍人を殴り倒す。


「何それ! すげー!!」

「オートマン種族スキルの変形機構です。僕は腕が巨大化する機構にしました。それでは次複数行きます! プロブォック!」


 いきなり巨大化した腕に俺は驚きと興奮を覚えてブラックサレナに話しかける。

 ブラックサレナは種族スキルだと答え、また新しいスキルを叫ぶと、周囲にいた屍人や骨人達がブラックサレナに殺到する。


「旋風撃!」

「旋風撃!」


 俺は流石に数が多いと思って範囲物理攻撃スキルを発動させると、ブラックサレナも同じスキルを発動させる。


 俺の旋風撃は刀を上段に構えて円を描くように振るうのに対し、ブラックサレナの旋風撃は巨大化した両腕を広げて上半身が駒のように回転してダブルラリアットで攻撃する。


「同じスキルなのにモーション違うな!」

「武器や種族、あと課金アイテムで特別な攻撃モーションなど設定できますよ」


 そんな話を俺とブラックサレナはしながらクエストノルマであるアンデッド退治のカウントを稼いでいく。


「武丸ちゃん! 私も新しいスキル覚えたんだから見ててっ! サモンモンスター!」


 ラウラも俺とブラックサレナの会話に入り込むように新たに覚えた召喚魔法すきるで、石像でできた狛犬を召喚してアンデッド達と戦わせる。


「すごいな、ラウラ!」

「エヘヘ、でしょ! あ、ライフシードどうぞ」

「回復ありがとうございます。お二人は仲がいいですね!」


 俺が誉めるとラウラは上機嫌になりながらブラックサレナに持続ヒットポイント回復スキルを付与する。


「あ! 武丸ちゃん、あそこ!!」


 アンデッドを倒して発掘現場を進んでいくと、ラウラが指差す報告にアンデッド達に囲まれてる調査団の面々がいた。


「たっ、助けてくれ!!」

 

 調査団のメンバーもこちらに気づいたのか助けを求めてくる。


「これでも食らえっ! ロケットパンチ! ライト&レフト!!」


 ブラックサレナは拳を巨大化させたかと思うと、両手を飛ばして調査団のメンバーに迫っていた屍人をノックバックで吹っ飛ばす。


「アサルトダッシュ! ノックバックストライク!!」


 俺も負けじとアサルトダッシュで距離を詰めて攻撃した骨人にさらに追い討ちかけるようにノックバック攻撃スキルでぶっ飛ばし、別の骨人にぶつける。


「爆破っ!」


 ラウラも範囲魔法攻撃スキルでアンデッドを倒して、調査団を助けていく。


「たっ、助かった! 俺達生き延びたぞ!!」

「これでクエスト完了かな?」


 俺達は指定数のアンデッドを討伐し、逃げ遅れた調査団のメンバーを救出する。


「すまない! まだ教授と新人が中にいるはずなんだ!」


 どうやらクエストはまだ終わらないようだ。






──キャラクターデータ──


名前:九角武丸

種族:人間

キャラクターレベル:7レベル

クラス:ファイター9レベル

スタミナポイント:7レベル


パッシブスキル

刀マスタリー7レベル:武器種別刀を装備すると物理ダメージボーナス


豪腕:両手武器物理ダメージボーナス


獅子心:物理ダメージボーナス


剣禅一如:物理クリティカルボーナス


調薬:回復アイテムなどを作れる。


鍛冶:武器、重装防具製造可能


服飾:軽装防具製造可能


木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能


装飾:アクセサリー製造可能


アクティブスキル

バッシュ3レベル:単体物理ダメージ


旋風撃3レベル:範囲物理ダメージ


アサルトダッシュ:敵に突撃する単体物理ダメージ


ノックバックストライク:対象を吹き飛ばす単体物理ダメージ、吹き飛ばした先に障害物などがあると追加ダメージ



名前:ラウラ

種族:人間

キャラクターレベル:7レベル

クラス:魔法使い9レベル

マジックポイント:7レベル


パッシブスキル

調薬:回復アイテムなどを作れる


鍛冶:武器、重装防具製造可能。


服飾:軽装防具製造可能


木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能


装飾:アクセサリー製造可能


回復量修練:回復スキルの回復量ボーナス


詠唱時間短縮:魔法スキルの発動時間短縮


アクティブスキル

治癒の光8レベル:単体HP回復


爆破:範囲魔法ダメージ


ブレス:単体魔法防御力ボーナス


守護結界:単体物理防御力ボーナス


魔力の刃:単体物理ダメージボーナス


マスヒール:範囲HP回復


ライフシード2レベル:単体に一定時間HP自動回復


サモンモンスター:味方モンスターを召喚して戦わせる。


名前:ブラックサレナ

種族:オートマン

キャラクターレベル:7レベル

クラス:戦士:8レベル

ライフ:4

スタミナ:3


パッシブスキル

機械の体2レベル:物理防御力アップ種族スキル


鋼の肉体2レベル:物理防御力アップ、ただし軽装防具以外を着用すると無効


鉄拳2レベル:素手攻撃ダメージアップ


変形機構:腕を巨大化させて物理ダメージと防御力アップ 種族ススキル


鉄壁:物理、魔法防御力アップ


仁王立ち:キャラクターの周囲を移動困難エリアにする


不動の構え:一定時間動かず戦闘を行うと、物理ダメージと防御力アップ


追い討ち:相手にバッドステータスを与えると追加ダメージ

調薬:回復アイテムなどを作れる


鍛冶:武器、重装防具製造可能。


服飾:軽装防具製造可能


木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能


装飾:アクセサリー製造


アクティブスキル

バッシュ2レベル:単体物理ダメージ


旋風撃:範囲物理ダメージ


ロケットパンチ2レベル:単体物理射撃攻撃 種族スキル


プロブォック:範囲内の敵の攻撃を自分に集中させる。


チェーンウィップ:単体対象に巻き付いて自分の元へ引き寄せ、攻撃を自分に集中させる。





 

 

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