新たな疑惑

「兄さん、他の部屋も調べてみましょ」


 麻雪に背中を押され、鈴音の部屋に足を踏み入れる。麻雪のそれとは違い、きれいに整理整頓された部屋だ。部屋を見回した僕は、ふと机の上に何かが置かれていることに気が付いた。


「『向精神薬Xエックス』……何なの、これは?」


「スマホで調べてみましょ、どれどれ……」


 僕も横から麻雪のスマホを覗き込む。ページの中に一つ、気になる記述を見つける。


「『禁忌。自殺念慮の既往のある患者には使用しないこと。自殺企図があらわれる可能性が非常に高い』……だって⁉」


「天才丸さんが言ってた薬って、もしかしてその『向精神薬X』のこと?」


「たぶん、そうだと思う。麻雪ちゃん、天才丸さんのお父さんは今どこに?」


「きっと病院よ! 話を聞きに行くのね?」


「もちろん。案内してくれるかい?」


 麻雪は大きく頷くと、スマホで地図を調べ始めた。

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