第16話 二校戦③

二回戦目の相手はアルカディア学園の生徒だ。


よく見たら入学式にいた敵モブB、Cがいるでは無いか。


僕を見るなりその二人は睨んでき、こちらに迫ってきた。


カン。


「君たち初日に剣折れて逃げた人達じゃん」


「あの時、シエナ王女に助けられたビビりじゃねぇか」


「今日はそんな邪魔も入らねぇから存分にいたぶれるぜ」


剣が折れたの僕の力とか疑いもしてなかったのか。悲しい事だ。


『シン一人やったから手伝うぜ』


一回戦目の後作戦を変え、僕とオルトが前線に出てルイは後ろからのサポートを確実にできるようなポジションにした。


『大丈夫だよ。もう終わるから』


「終わる?何言ってんだてめぇ」


[空間断裂]


僕は剣を折ってやった。


「はっ!?」


「どうなってんだ?」


B、Cは驚いた顔を見せた。


「気づかないの?あの時も今も僕の前で剣が折れた」


やっと気がついたのか二人の顔は引き攣っていた。


「まさか……………お前がやったのか?」


「正解だ」


僕は自然と笑みがこぼれた。


「ぐはっ───」

「うぐっ───」


二人の腹に空間を押し込み倒した。


『勝利、アルカディア学園』


紛らわしいなこの放送、相手も同じ学園なんだけど。


観客席に戻っている時、同じ学園の生徒から凄い視線を向けられていた。すごく気分がいい。


「なんだか、すごい見られてるね」


視線に当てられ縮こまっているルイがそう言った。


「そりゃ劣等生が普通生徒を難なく倒したからな」


席に戻ると既にシエナはいなくなっていた。もう少しで試合が行われるから当然だ。


「皆さんお強いですね。このまま行けば優勝できるかもですよ」


クロエが目を輝かせてそう言った。


「優勝するためにはシエナ王女かサナカ王女を倒さなきゃいけなきゃならなそうだからどうだろ」


ルイが微妙な顔をする。


「そんな弱気じゃだめだぜ。俺らなら王女だって倒せるってもんだ」


相変わらずのポジティブさ、さすがオルトだ。


「確かにそう思っていた方がよろしかと思います。精神状態というのは思った以上に関わってきますから」


「そ、そうだね。ごめん」


ルイがそう言った。


「まぁでもよ、あのバケモン倒すって考えたら、確かに想像できねぇわな」


「確かにそうだね」


シエナさん大暴れしてるし。


二回戦も余裕で突破しているし、本気みたいだ。


「おつかれシエナさん」


まるでクラスメイトかのような足取りでこの席に戻ってきたシエナ。


「おつかれ」


このクラス内でシエナは結構いい評価をされている。だって普通生徒と同じ扱いにしてくれた存在なんだから当然だ。


「シエナさん、やはりお強いですね」


クロエは誰にでも気さくに話しかけている。


「ありがとクロエさん」


シエナも同じような性格なのでここ二時間程でだいぶ仲良くなっていた。


「次はサナカさんの試合か」


「そうだな」


当然のようにサナカも二回戦を突破した。


「やっぱ勝ったかぁ……………」


シエナは残念そうな顔をした。なんてったって次の三回戦、準決勝での相手になるのだから。


「シエナさん自信ないの?」


「あるわよ。私が勝ってシンくんも倒して優勝するの!」


「そっか……………」



特別席ではマルクとエナが試合を見ていた。


「エナ王女、そんなに睨まないで頂けませんか?」


マルクを怪しんでいるエナは警戒し、睨みつけていた。


「すみませんが断らせていただきます。ガウスから招待された者を信じろ、なんてできるとお思いですか?」


「確かにそれは無理がありますね」


マルクは苦笑する。


「そういえばあの生徒は一体何者なんでしょうか?攻撃が全く見えない。すごく興味があります」


「あの生徒は私も一目置いています。あなたに教えるつもりはありませんが」


「……………意地悪ですね」


するとマルクが不敵な笑みを浮かべた。


「もしかしてガウス学園長を殺したのってあの生徒だったりしますか?」


するとエナはマルクに剣を向けた。


「何故死んだ事を知っているのですか?公表はしていないはずですが」


「噂ですよ。その反応だと本当のようですね」


エナは皺を寄せマルクを睨みつけた。


特別席にいた別の人たちが仲裁し、エナは剣をしまった。


(やはり彼で間違いないようですね。恐らく決勝に進出するでしょう。その時が楽しみです)


マルクは不気味に笑った。



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