第2章 チホ(2-1)
彼は夕立のように現れた。
私にとってはただ迷惑な存在で、早く立ち去ってほしいと願うばかりだった。
なのに、いつしか、日照りの日々に雨乞いをするみたいに彼が現れるのを待ち望むようになり、それに比例して私の心は渇いていった。
今でも私は雨が降ると傘も差さずに空を見上げてしまう。
――待たせてゴメン。
そう言って、彼が傘を差し掛けてくれるのを願いながら。
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