避難所にて想う

 津浪の第2波の到達時刻から30分が経過する。


 窓の外に見える光景は、特に変わらない。橋へと続く主要道の車の流れも変わらない。それが安全だと断言する理由にはならないが、最悪のことは起こらず、危険度は下がってきたのは間違いない。


 そして気になってくるのは、学校から見える範囲には明かりが灯っている家が多いこと。私の地区は約100軒。全ての家の顔は知らないが、それでも学校で見かけたのは数人だけ。それも、最近まで小学校に通っていた子供のいる家だけで、見かけたのは2家族のみ。だから、周りは見たことのない人ばかり。


 避難所が近いだけに、何時でも避難可能だという判断なのかもしれない。結果的には、ほとんどの家が避難をしていなかった。


 家を出るときは、外灯を消している。それが、今は不用心に思えてくる。


 何が正しいのだろう? 避難したことは過剰な判断・対応だったのだろうか?


 私の実家は、ここよりも震源地に15㎞近い場所にある。そこでは液状化現象が発生し道路は陥没、市内全域で水道は断水している。15㎞も離れていると取るか、15㎞しか離れていないと取るか?


 そして自分の出来なかったことだけを思いしらされた。


 ただただ、避難所にて想う。

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