第6話 井川家 2

しばらく、外を眺めていた内田は、これからの事を考えていた。

自分の考えが正しかったのか、本当に死ぬのか、もしそうならやるべき事しておくべき事はどんな事か、、

考えれば考えるほど分からなくなっていった。


コンコンコン、、


外の景色が暗くなり始めた頃、内田の部屋がノックされ外から鈴木が「食事の準備ができました」と呼びに来た。

内田は、それに応え椅子から立ち上がりドアを開けた。

鈴木に連れられ内田は、1階のリビングに着いた。

とても大きなリビングだったが特に印象に残ったのは、大きな長机とそこに並ぶ多くの椅子、音楽家だからなのかピアノ部屋の隅に置かれていた。

椅子にはすでに、結衣とその両親が片側に並んで座っていて、反対側には知らない50〜60代くらいのほぼ白髪の男の人が座っていた。

結衣さんのお爺さんだろうか?と内田は考えながら全員に軽く会釈をして何処に座ろうかと、周りを見回していた。

それを見た鈴木が、結衣の横を進めようと左手で結衣の隣の席に案内する直前、父親がピクッと動きまるでそれに反応したかのように、50代くらいの男が立ち上がり喋り出した。

「内田様、今日からよろしくお願いします。私は滝澤 正志(たきざわ まさし)と言います、

せっかくですので私の隣に来ていただけませんか?」

「は、はい!」

内田は、反射的に返事をし滝澤の隣に座った。鈴木も内田に並んで座ると厨房から女の人が料理を持って出てきた。

全ての料理が並び終えると父親がお茶の入ったグラスを持ち内田の方を見た。

周りの人達もそれを見てグラスを持った。

「それでは、内田さん今日から短い間ですけどどうか私達のためによろしくお願いします。何かあったらいつでも、私達や鈴木に言ってくださいね。それでは、乾杯!」

「乾杯」

と全員が言って食事が始まった

内田は、左隣の滝澤と向かいの父親の視線を感じながら食事をしていた。

どちらも、内田と結衣が恋人関係になるのをよく思っていないような雰囲気を出しながら食事をしていた。

「内田さんは、何歳なのですか?」

と滝澤が聞いた

「23歳です」

「23歳ですか、若いですね。その若さ私が欲しいくらいです」

「はぁ、、」

2人の間には微妙な空気が流れていた。内田は、瀧澤の質問の意味や父親の視線の意味を考えていた。


23歳ですでに死のうとしているのか!

そんな奴が結衣と恋人になろうとしている?

図々しいやつだ

黙って死ねばいいのに

何が欲しい物が愛だ


内田は、そんな事を思われているのではないかと思いながら下を向いて食事に集中していた。

それしか、意識を向ける先がなかったからである。

たまに、鈴木が気を使い内田に話しかけ内田が少しでもみんなと話せるようしていたが、内田は、質問に答えるので精一杯でならなら会話は弾まなかった。


食事が終わると、父親が「内田さん今日はお疲れでしょう、部屋でゆっくりしてきてください。」と言うと、内田は「はい、ご馳走さまでした。おやすみなさい」と言いリビングを出た。

リビングを出てすぐ、父親と滝澤が何かを話し始めた。内容はわからないが、自分の悪口や陰口なのだろうと思いながら急いで自分の部屋に戻ったり

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