第182話 焼き物チャレンジ(本焼き)+麻婆丼

 次は下絵付け。

 陶芸の下絵付け用洋絵の具を再構築し、自由に色付けしてもらうよ。


 私の手では萌えフィギュアを綺麗に塗れないので、鳳蝶丸にお願いした。

 私は桃色に白い絵の具を混ぜてもらい、建築模型の屋根部分と玄関ポーチの屋根を大きめの筆で塗っていた。外壁は白なので塗らなくていいや。

 あとは白を足して、屋根入り淡いピンク色で窓枠を塗ったり飾模様を描いたりした……いなと思い、スタイリッシュ番長のハルパにお願いした。


 その間透明釉を再構築する。

 そして色を付け終わり、絵の具をエメルに乾かしてもらった作品を刷毛で施釉。ムラが無いか確認してからまたエメルに乾かしてもらい、結界に入れる。

 あ、結界の時間は一旦通常に戻してあるよ。


 次は本焼き。素焼きより高温で焼くよ。

 予定通りエメルが水分調節しながらスザクが温度を上げ始め、私は時間を早めた。その間、焼き具合をピヨコちゃん達が確認。エメルとスザクに定期的にお知らせをしながら割れないよう監視してくれた。


 ピヨコちゃん達の言葉はエメルにもスザクにも通じているみたい。眷属ちゃん同士だから?私もわかったらいいのになあ。



「主様、あとは我らに任せてどうぞ休憩なさってください」

「でも…」

「それがいいわっ。あたくし達は大丈夫よ」


 ピヨコちゃん達もウンウンと頷き、自分の腕をパンッと叩いた。


「あにあと!よよちくおねだい、しましゅ」


 お言葉に甘えて眷属の皆に少しの間休憩させてもらおうかな。



 お茶休憩をしていると、ピヨコちゃん達が焼き上がった焼物が冷めたとお知らせをしてくれた。


 あや…。

 色味が変わっちゃったな。

 でも表面が硝子のようなツルツルになっている。


「しゅどい」


 人差し指で突いてみる。しっかり焼かれているようだった。


「硝子みたいだな」

「じち、とうちよい、がやしゅ、なゆ」


 磁器は陶器よりガラス質になるよ。



 結局発色が気になって何度か焼き直しをしてもらい、皆が納得したところで本焼き終了となった。



 次は上絵付け。

 問題なければここで完成だけれど、塗り足したい場合はもう一度色を塗る。上絵付け用洋絵の具を再構築して、自由に色付してもらった。

 私はハルパにお願いして、建築模型に金色の模様を足してもらったよ。


 そして素焼きよりやや低めの温度でもう一度焼いて、やっと完成!



「やったったっ。皆、あにあと!」


 眷属ちゃん達のおかげで割れずに焼き上げることができました!



 陶磁器の焼き上がりは粘土の時より縮む。

 どれくらいかわからないので大き目に作ったけれど、焼き上げてみると想定より小さくなっちゃった。


 人形は小さくても可愛いので問題無し。



 皆の作った茶碗やお皿はとっても可愛い作品だった。

 粘土の時点で可愛いって思っていたけれど、色と絵柄がつくと更に可愛い。


「ハルパと鳳蝶丸監修です」


 アクセサリー作りが得意なハルパと、手先の器用な鳳蝶丸に聞きながら作ったんだって。

 皆の作品は模型の屋根と同じピンクで統一されていた。

 エンボス加工っぽいお花やリボン、透し彫りの部分もあって『Pretty』な2作品。

 そして白ウサちゃんの絵の作品は、フワフワで可愛い絵と鳥獣戯画っぽい絵の『Cute』な2作品。可愛いウサちゃんはミスティル、鳥獣戯画ウサちゃんはミルニルの絵なんだって。


 あとは追加で作った鳳蝶丸作『Art nouveau』っぽい花瓶。

 デザインはハルパらしいんだけれど、鳳蝶丸が完璧に再現したんだって。柔らかい曲線の花瓶はとてもエレガントでどんなお花にも合いそうだった。


「わあぁ、たわいい!ちえい!」


 どれも可愛くてとっても綺麗。

 感心してじっくり見ていたら全部プレゼントするよと言われ、嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねちゃった。


「いいにょ?」

「もちろん」

「あにあとっ、たたやもの!」


 嬉しい!

 私の宝物。大切にするね。


 早速無限収納に仕舞う。

 割れたら嫌なので、オリジナルは保管しておいて複写を使わせてもらおうっと。



 そして鳳蝶丸と私が作ったお人形。

 硝子のような手触りなのでアンティーク磁器人形の様な、でも萌えフィギュアの様な、不思議なお人形が出来上がった。


「お嬢、俺の人形を複写してもらえるか?」


 皆に6ポーズのどれが良いか聞いたら全部という答えだったので、オリジナルは私に預かってもらい6ポーズ6セット複写して欲しいと言う。


「うん、わたた。わたち、もやって、いい?」


 うん、わかった。

 私も貰っていい?と聞いていたら、突然神様ラインが開く。



わたくしにもお願いします』



『ワシにもくれんかのう』



『ムゥも欲しいナ☆』



『手数をかけるが我にも頼む』



わたくしにも3………』

『いえ、4ついただけますか』



 ウィステイリア様を皮切りに、ウル様、ムゥ様、桃様、ヒミツ様から連絡が入る。



『承知いたしました』



 と言うことで、鳳蝶丸作と私作のフィギュアを各セット複写、神様の共有フォルダに入れあとは皆に渡す。

 そしてオリジナルは私が保管して、複写した方は自分の部屋に飾ることにする。


 いつか出会うであろうもう1名の伝説の武器は、出会って仲間になった時に作るね。うんうん。



 それから、焼き時間が一番かかった建築模型。

 細部まで作れたけれど、焼くとやはり雰囲気が変わるね。結構縮んで建築模型と言うよりは置物っぽくなりました。

 外観はこんな感じって雰囲気だけでも表現出来て良かったかな。

 お家が完成したら飾ろうと思う。



 兎にも角にも大成功!焼き物楽しかった♪

 これからも眷属ちゃん達が協力してくれるらしいので、また焼き物やってみようかな?




「何、しゅち〜?」


 焼き物チャレンジが終わって、皆で遅めのお昼を食べることになった。

 眷属ちゃん達にも何か振る舞おうと何が食べたいか聞いてみる。


 エメルはお水、ピヨコちゃん達は金平糖がリクエストだったので沢山渡した。

 スザクは辛いものが好きなんだって。だから私が食べた中でこれは辛かった!と言う料理のひとつを出してみる。

 それは……あるお店で食べた麻婆豆腐。

 とても美味しいんだけれど私には辛すぎて……スプーン小さじ1杯くらいの量でご飯を沢山頬張った思い出よ。



「こえ、どう?」

「美味でございますぅ!」


 スザクはもう少し辛くても問題無いらしい。

 でもとても美味しいと喜んでくれた。



 せっかくなのでイバヤちゃん達とハルパの眷属ちゃんも呼んでもらう。


「僕まで貰っていいんでちゅか?」


 サワサワサワ……。


 ハルパの眷属ちゃんとイバヤちゃん達が申し訳無さそうにしている。

 イバヤちゃん達はいつも協力してくれているし、ハルパの眷属ちゃんはこれからよろしくね、と言う意味もこめて一緒に食べよう!


「我が眷属にもありがとうございます、主」


 ミスティルがニッコリ微笑んだ。

 するとパルパが何か思い出したような表情を浮かべる。


「そう言えば、眷属に名をつけていただけると聞きました。我が眷属にもお願いできますか?」

「よろしくお願いしますでちゅ!」

「うんっ」


 ハルパの眷属はフェネックに似ているからフェネ、とかじゃ安易だよね。

 ネックもアレだよね。


 眷属ちゃんは名付けを待って、フッサフサの触り心地良さそうな尻尾をブンブン振っている。



 ……。

 ………そうだ!テイルなんてどう?



 読み方だけだと物語って意味もあるよね?

 お話の中の魔人みたいに現れたし良いんじゃないかな?



「テイユ、しゅゆ」

「テイルですか?」

「うん。いい?」

「嬉しいでちゅ!僕の名前はテイルでちゅねっ」

「ありがとうございます。良かったですね、テイル」

「はいっありがとうでちゅ」

「よたった」


 名前喜んでもらえたみたい。良かった。

 これからよろしくね!



 では早速。

 イバヤちゃんにはいつもの肥料を渡す。

 サワサワサワ、と揺れてから嬉しそうに空間へ消えていった。


「テイユ、何、食べゆ?」

「ええと、鉄分がいいでちゅ」

「てちゅぶん……」


 ハルパは金属性で、テイルも同じなんだって。

 だからなのか何なのかわからないけれど、鉄分豊富な食べ物が良いとのこと。


 鉄分…鉄分、レバーとアサリしか思い浮かばない。

 とりあえずレバニラ炒めでいいかな?


「てちゅぶん」

「はあ、いい匂いでちゅうぅ。いただいても?」

「あい、どうじょ」


 テイルが早速レバニラ炒めにかぶりついた。


「んむっお、お、お、おいひいでちゅううぅ!」


 大丈夫そうで良かった。


「あ〜。お嬢。俺にもスザクとテイルにあげた食べ物をもらえないか?」

「俺にも。辛そうでいい香りな料理が気になるよ」

「いいよぉ」



 結局、皆のお昼ご飯はレバニラ炒めと麻婆豆腐とご飯になった。

 スープは中華スープです。


 ミスティルとミルニルとハルパは強すぎる辛さが得意ではないとのことなので、他のお店の程よい辛さな麻婆豆腐にしたよ。


 私は程よい辛さの麻婆豆腐をごはんにかけて麻婆丼にする。

 ピリ辛だけれどとっても美味しかったよ!

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