第174話 毎週〇曜日は□□□の日。それを励みに頑張るのだ!

 女性戦士達に何をプレゼントするのかと言うと、日本にいた時愛用していた下着一式。着ると暖かくなるインナー上下と、汗を吸って乾きが早くひんやり涼しいインナーを再構築するよ。


 あ、もちろん新品っ、新品だからね!


 それから暖かい物と涼しい物が一目でわかるように暖かい方は黒、ひんやり涼しいのは水色に再構成。それぞれを10枚複写して可愛い布の袋に入れた。


「おねしゃん。こえ、あでゆ」

「これは?」

「こち、服なた、ちゆ、あたたい。こち、しゅじゅちい」

「こちらの袋に入っている物は服の下に着ると暖かく、こちらの袋は涼しくなるそうです。貴女にプレゼントするそうですよ」

「まあ!」


 ミスティル通訳でお姉さんに渡す。


「ゆき様。ありがとうございます。戦場で活用するわ」

「うん!へいちしゃん、じょしぇい、いゆ?」


 兵士の中に女性はいるのか聞いたら数人いるとのことなので、女性用のインナー各サイズも作って複写、共有でラエドさんに渡したマジックバッグに入れた。


「…………」


 3兄弟がインナーを入れた袋をじーーーっと見つめるので、メンズ用も各サイズ再構築してマジックバックに入れる。


「ミシュチユ、こえ、たしたして、くだしゃい」

「わかりました」


 目録を戻してもらい、下着の項目を書き足してもらう。


「あい」

「えっあ、お気遣いありがとうございます。申し訳ない」

「ゆき殿の真心に感謝する」


 3兄弟には直接下着を入れた袋を渡したよ。

 ラエドさんとリーフさんが顔を赤らめながら、サラーブさんは小躍りしながら受け取った。


 何だかサラーブさんが段々可愛く思えてきた。



「マジッチュ、バッチュ、いえた。へいちしゃん、あでて」

「主がマジックバッグに兵士用の下着も入れたので、兵士達にも配給するようにと言っています」

「兵士にまで……心より御礼を申し上げる」


 ミスティル通訳で皆に配るよう伝えた。

 どこまでかわからないけれど、多少は役に立つんじゃないかな?



 段々暗くなってきたのでタープテントの灯りを点ける。


「本当に素晴らしい!」


 サラーブさんがキョロキョロしていた。


「この結界内は一定の温度を保っている?」

「うん」

「大分暗くなったから本当は外がかなり寒くなるはずなのに、この格好でも平気なのが驚きだよ。市場を開いた場所も同じく昼間でも涼しかったし。そのように付与できる魔術が凄すぎる!ゆき殿が御使い様だからなんだろうけれど、そういう魔道具を何とか作ってみたいよ。便利になったらこの国を出た民達が戻ってくるかもしれない」


 サラーブさんは魔法や魔道具になると歯止めが効かなくなるけれど、でも、国民のことを思ってのことなんだね。


「それにこのテントとランタン!昼間のように明るく出来るなんて!」

「これからもっと凄いの見ることになるよ」


 ミルニルの言葉にワクワクするサラーブさん。


「凄い、と言うのは?どんな物ですか?」


 リーフさんも喰い付いた。


「トイレ」

「トイレ?野営用のスライムトイレですか?」


 リーフさんが首を傾げる。


「鳳蝶まゆ、しぇちゅめい、おねだい、しましゅ」

「わかった」


 トイレテントに関してハルパはまだ実物を見ていないので、鳳蝶丸に説明をお願いした。

 私は広い場所に複数人(男・女)用と、1人用のトイレテントを出す。


「まず、これは貸し出しだ。何度でも使用しても良いが、マジックバッグ返却の時はトイレテントを入れたまま返してくれ」

「承知しました」

「それからこれと同じものが旦那らのマジックバッグに入っている。グリーンが男性用、オレンジが女性用のトイレで、これは1人用だ」

「トイレ?こんな立派なテントが?」

「そうだ。まずはこっちから」


 鳳蝶丸が1人用の入口を開く。


「使い方はここに書いてある。大きい方と同じなのであとで詳しく説明する」

「スライムはいないのかしら?」

「シュヤイム、いない。くちゃい、無い。しぇいけちゅ」


 スライムはいないタイプのトイレです。臭くないし清潔だよ!


「複数人用に行こう」


 大きいトイレテントで水洗トイレの使い方。それから衛生の大切さも説明する。


「これで魔力充填すれば、全部に行き渡るんだね」

「ああ」


 サラーブさんが充填用の魔石を指差した。

 トイレ他の魔力は既に満タンなので、あとは使った分だけ充填してね。


「仕組みはあの水瓶と同じ?」

「そうだ」


 サラーブさんが、充填用の魔石をグリグリ回して眺めている。


「うわあ、わからない!複雑すぎてわからない」

「壊すなよ」

「わかってる、わかってる」


 軽いノリのサラーブさん。多分全然分かってないよね?


「ヤエド、しゃん」

「はっ」

「とわえたや、おてまみ、ちて、くだしやい」

「姫が、充填用魔石が壊れたら、手紙に書いてマジックバッグに入れてくれって」

「感謝申し上げる」


 サラーブさんが充填用魔石を壊しそうな勢いでガン見している。

 トイレ自体は壊さないようにね!



 体験してみたいと言うことで、サラーブさん達が男性用に入る。


「おねしゃん、わたち、しぇちゅめい、しゅゆ。抱こちて?」

「説明してくれるの?ありがとう」


 アースィファお姉さんが私をヒョイと抱き上げる。


「おねしゃん、抱っこ、じょうじゅねえ」

「フフッ。私には弟と妹が沢山いて、抱っこは慣れているのよ」

「しょうなんだ」


 そして、お姉さんに女子トイレの使い方などを説明する。


「とても綺麗で匂いもないし助かるわ」

「あいっ」

「………私の妹達はゆき様より少しお姉さんだけれど、城に軟禁されたまま」

「ちんぱいね」

「ええ。早く助けたいわ」


 憂いを帯びたお姉さん。

 何故か突然胸騒ぎのようなものを感じた。……気の所為だといいけれど。




 トイレの説明が終わるころ周辺はすっかり真っ暗になっていた。

 再びタープテントのテーブルについて話を続ける。


「今マジックバッグに入っている品の説明は以上だ」

「素晴らしい品々を提供いただき心より感謝する」



 ぜひ活用してね!

 そして公爵家三家をどうにかしてね!



 頭を下げるラエドさんにもう少し時間はあるか確認すると、問題ないとのことだったので付き合ってもらう。


「ご飯、食べゆ」

「ああ。わかった。旦那達にはこれから試食をしてもらう」

「試食?」


 皆が食事の準備を始める。


「皆しゃん、食べゆ。ダメ、おちえて?」

「旦那達とお嬢さんの口に合うもの、合わないもの。食べてはいけない食材などを教えて欲しい」


 宗教的にダメとかあったら困るからね?


 念の為に聞くと、食べてはいけないものなど無いとのこと。

 じゃあ、私が持っているものでいいかな?



 肉巻き弁当、焼肉サンド弁当、卵サンド弁当、おにぎり弁当。

 ビーフシチュー、クリームシチュー、ロールパン、生野菜サラダ。

 アカハマダイの煮付け、南の島の貝のバター焼き、エビチリ。

 肉料理盛り合わせ、唐揚げ2種セット。

 卵スープと野菜たっぷりスープ、コーンスープ、ワンタンスープ、ナスのお味噌汁。


 これを1つずつ出して、皆さんに取り皿を配った。


「食べゆ、味、だいじょぶ、おちえて?」

「食べてみて、この地方に合わないものを教えてほしいそうだ」

「は、はい。それでは」

「どれも美味そうだ」

「ああ、良い匂いだわ」

「美味そう!」

「これはエビチリですな。ラエド様。これは非常に美味でありましたよ」


 まずはマブルクさんがスープをスープボウルに入れて配っていた。


「うん!んまい!」

「どれも美味しいですね」

「このミソシルというものは初めて口にしたが、とても美味いな」

「全て優しい味でございますな」



 次に唐揚げを口にした皆さんがカッチリと固まった。


 だ、大丈夫?

 口に合わない?


 そして5人で取り合うように食べ尽くした。


「こ、これは美味すぎる」

「カリカリのころも、肉汁溢れるジューシーな肉。ずっと口に入れていたいわ」

「毎日食べたい!」

「同感です」


 気に入ってくれたのね。

 嬉しいけれど、毎日は体に良くないからダメだよ。

 私が首をフルフル横に振ったら、めちゃくちゃ残念そうな顔をした。


「ええ〜ダメ?」

「しょえだて、たやだ、わゆい」

「姫が、唐揚げだけ食べ続けるのは体に悪いと言っているよ」


 皆さんショーンとした表情をしている。

 うーん。じゃあ、曜日を決めて、毎週◯曜日の夜ご飯は唐揚げの日ってしたら?と提案してみる。


「しょちたや、みな、はでみ、だんばゆ」

「そうしたら皆が励みになって頑張るのでは?だそうですよ」


 ハルパ通訳に皆さんがパアアァッと明るい笑顔を浮かべる。


「それはいいな」

「辛い戦いの中、少しでも楽しみが出来る」


 うんうん、そうしてください。



 その他も試食してもらう。

 美味い!これ大好き!と、一つ一つ大きなリアクションをして食べている皆さん。気に入ってもらえたようで何よりです。


 食べ物は全部美味いし兵士達が喜ぶとのことなので、全て百食ずつ、唐揚げだけ2百食入れた。飲み物はお水と、珈琲、紅茶。そして、今朝飲んだミントティーを再構築して百ずつ入れておく。

 時折マジックバッグを見て、食べ物が減っていたら補充するからね。


 マジックバッグ関連はこれでいいかな?

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