第153話 しょよ、しょよ、旅、でましゅ

 王都に来たから見学しようかと思ったけれど、まだまだ混乱中のようだったので次回にしよう。

 飛行ひぎょうで外に出て、転移の門戸でテントに戻る。


 今日はこのままのんびりして明日からお出かけすることになったので、1人で薔薇の温室に行き噴水にレリーフを追加する。


 亀、薔薇、鳥、そしてノーム。


 だんだん埋まってきたね?



 テーブルにクッキーと珈琲を出して、ゆっくりと1人の時間を楽しむ。

 赤ちゃんになっちゃったからお料理が出来ないけれど、再構築で美味しいご飯を作れるのって便利だよね。

 でも、大人になったら皆に色々作って食べてもらいたいな。


 このサクサクしたクッキーは、以前私が作ったものの再構築。

 あの頃の私はお菓子を作る父に刺激され、一時期スイーツ作りにハマっていた。

 食べきれずに会社に持っていくと、お菓子好きの同僚達が小躍りして(本当に踊った)喜んでくれた中の1つなんだ。

 あ、もちろん素人の手作りはちょっと苦手と言う人には勧めていないよ。

 ただ、同僚達はリクエストしてくれるほど喜んでくれたので、わりと頻繁に作っていたんだ。



 そう言えばウアラ芋を鑑定したらサツマイモに近い感じだったんだよね。

 今度焼き芋とか、スイートポテトとか作りたいなぁ。


 前は糖分やカロリーが気になって食べるのを控えていたけれど、今は食べ放題だもんね。

 お菓子のことを考える時間はとっても楽しいなぁ。



 あ、そうだ!

 お菓子のことばかりボーッと考えていたけれど、この時間に宝石箱を作ろう。

 私の寝室、まだ宝石だらけなんだ。

 キラキラして綺麗だから飾っているけれど、そのままにしておくのもね。



 さて。今テーブルには販売するため複写したハンドボール大のブルーダイヤモンドと、かなり大きめの様々な宝石達が載っております。


「しゅどい」


 すごい迫力っ。見事なほど綺羅びやかで美しい原石達。

 そして、これからこの超贅沢素材を使って海賊映画に出てくるあの宝箱を作るのだ。

 木製部分はブルーダイヤモンド他を、金具部分はその他の宝石を使う。ちなみに金具はチタン合金にするよ。


 宝箱の中に、バッグインバッグならぬ取っ手付きのボックスインボックスを作る。ボックスインボックスの引き出しは数段あり、それぞれに長細いのやら真四角やらの間仕切りを作った。

 宝箱の縁より少し低いので、ボックスインボックスの上に大きめの宝石を載せたり、真珠のネックレスを垂らったしたりすれば、本物の宝箱みたいになるよね。



 ちゃーん!出来たあ!



 チタン合金のベルトに彫刻を施して、更に銀古美風にしてシブい高級感を出してみたよ。


 宝箱を無限収納に仕舞って自分の寝室まで歩いて向かう。

 リビングにはミルニルが控えていて、私をサッと抱っこしてくれた。


「どこに行きたい?」

「しんしちゅ」

「わかった」


 宝箱を作ったので、宝石を仕舞いたいと話しながら寝室に到着。

 相変わらずキラキラした寝室だけれど、何か日に日に増えている気がするのは気のせいだろうか?


 宝箱を複写して、ミルニルにボックスインボックスの引き出しを全部出してもらい、ネックレス、指輪、ペンダント、イヤリング、ブレスレット、原石それぞれを分けて引き出しに仕舞いたいと伝えた。


 絶対に1箱じゃ収まらないから、宝箱の複写を3個にしたよ。


「あちゅめゆ」

「主さん待って」


 私が自分の近くにあった指輪を拾おうとすると、ミルニルに止められる。


「ピヨコ達。手伝って」


 ミルニルが声をかけると、ピヨコちゃん達がワラワラワラ〜っと現れて散らばった宝石と宝飾品を集め、引き出しに綺麗に並べてくれた。


「わあ!ちえい!」


 結局宝箱5個になった。

 無造作でも綺麗だったけれど、種類ごとに並べてみると美しさに迫力が増すね。


 ミルニルに引き出しを戻してもらい、ボックスインボックスを宝石箱に入れ、上から大きめな原石を置いてみる。

 物足りないので真珠のネックレスを再構築して箱からはみ出すように飾れば、海賊の宝箱完成です!


ちなみに、ハンドボール大のブルーダイヤモンドを入れると、宝箱が体育館とかにあるボール入れみたいになるので無限収納に仕舞いました。



 それにしても………豪華絢爛だなぁ。

 どこに飾ろう。リビングと寝室?お家建てたらそこにも飾ろう。あとハンドボールブルーダイヤモンドもお家に飾るんだ。


 宝箱には結界を張って、私と伝説の武器達とその眷属にしか触れないようにしておく。



 うん。これでまとめられたかな?



「ピヨコたん。あにあと」


 金平糖と宝石を模した琥珀糖を渡すと、ビョンビョン跳ねて喜んでいた。


「いぱい、あにあと。もう、いなない」


 沢山の宝石や宝飾品をありがとう。

 もういらないよ?と言ったら、ビタッとフリーズして私に顔を向ける。

 宝石くれなくてもお菓子はあげるからと言ったけれど、首を横に振った。


「ピヨコ達は主さんにプレゼントしたいんだって」

「うえちい。でも、たくしゃん、いなない」


 嬉しいけれど、沢山はいらないよ。


「売ってお金にすれば?って言ってる」

「ええ、ピヨコたん、くえた、わたち、たたやもの」

「宝物って言ってもらえて嬉しいけど、重複しているものなんかは売って役立ててほしいって。俺もその方が良いと思う」

「うーん」


 良いのかな?

 そうさせてもらうとしても、宝石や宝飾品は沢山いらないよ。

 どんどん売って値崩れしてもいけないからとピヨコちゃん達に説明し、話し合いの末、1年に1回プレゼントをいただくと言うことになった。

 金平糖はミルニルに伝えれば、いつでも渡すからねと言ったら大喜びでダンスしながら消えて行った。


「ミユミユ、あにあと」

「うん。眷属達凄く楽しそうだし俺も嬉しいよ。ありがと」



 これ以上増えまくることはないと思うけれど、今ある分もまとめて売ることは出来ないね。

 売り出すことに関しては、フィガロギルマスに相談しようっと。






「しょよ、しょよ。旅、でましゅ」


 私のお出かけ宣言に皆が同意してくれたので、アスケビィに行って気まぐれ突っ張り棒します!



 転移の門戸をアスケビィの町の外に繋ぎ、早速突っ張り棒!

 今回はレーヴァが投げる番だよ。


「イェーバ、だんばえ」

「お任せを」



 シュンッ!



 レーヴァが突っ張り棒をスタイリッシュに投げ、弧を描いて落ちた。



「この方向だとあそこかな?」

「そうですね」

「あっち方向で良いんじゃないか?」

「賛成」


 じゃあ、そっち方向で決まりね?




「あてんちょん、ぷいーじゅ」


 わたくしは今、ミルニルとお手々繋いで大きな山と森の上空を飛んでおりまーす。

 今日は行けるところまで行ってこの森の何処かで休み、明日早朝出発してお昼前には目的地に到着予定でーす。




「今日はここまでにするか」


 鳳蝶丸の掛け声で、森の少し広い場所に皆で降り立つ。

 今日はここで野営です。


 旅のために簡易テントを作っておいたのでそれを出し、皆にペグ打ちしてもらった。

 このテントはお着替え用テントの中身無しバージョンで、この中から転移の門戸を繋いでミールナイトに設置中の2ルームテントに戻るというカモフラージュ用。

 その簡易テントに結界1を張り、私達以外侵入禁止にして完成です。



 まずは皆でお風呂に入り、夜ご飯にたぬき&きつねうどんと炊き込みおにぎりを食べておふとんに入る。

 皆はこれから酒盛りだって。



 鳳蝶丸にポンポンされているうちに瞼が重くなってきました。

 ふああぁぁ……。


 お休みなさい。

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