第143話 ゴクドーの幼女 ~一度言ってみたかった~

 地鎮祭前日となりました。

 夜明け前、まだ真っ暗な時間から活動です。



 テントとタープテントを端っこの扉付近に移動、仲間達が再設置。

 その間、私は張ってある結界を一度解除。今までよりも上に高く四角い結界を張り直し、悪意ある者の進入禁止、音漏れ防止を付与する。

 更に塀の内側に結界を重ね張りし、私達と神以外の全てを進入禁止、音漏れ防止、結界内が見えないを付与。この結界にプロジェクターで上空を映し出すにした。


 結界内側に灯りをつけたランタンを浮遊させ、鳳蝶丸抱っこで塀の外に出てみる。外から見る塀の向こうの空は現在の空で、ランタンも灯りも見えなかった。うん成功!



「神気漏れの結界も必要じゃないか?」

「んう?」

「ここが神域になって神々が集えば、濃い神気で満たされる。教会関係者が大騒ぎするぞ」

「しょうだた!」


 私は内側にもう1つ結界を張り、神気、魔力漏れの結界を張る。

 もし沢山神様がいらしたら私の結界など簡単にパリンパリンとイっちゃいそうなので、同じ結界を10重くらいにしてみたよ。

 足りなかったらウル様に泣きつこうっと。



 次は大きな帆布シートを一旦無限収納に入れ複写して敷き直し、食事用のテーブルを設置する。

 テーブルの数は間に合うかな?間に合わなかったら帆布シートを更に敷いて、テーブルも増やすことになるかもしれないね。

 あとは長椅子に赤い布をかけ、赤い野点傘(結界で転倒防止付き)を立てて和風コーナーを作ってみたよ。


 食べ物その他は後で出すし、今はこんなものかな?




 祭壇周りに不備はないか確認していると、ウル様ラインがシュッと表示される。

 あれ?何かな?


『グッモーニン☆(ウィンクスタンプ)』

『明日はよろしくの』


『おはようございます』

『こちらこそ』

『よろしくお願いします』


『ところで御神子みかんこや』


『はい』


『不穏な動きをキャッチしたんだがの』


『不穏ですか?』


『ウムウム(スタンプ)』

『ワシはフェリアに干渉できんのでの?』


『はい』


『残念ながら、干渉できんのじゃよ』


『はい』


『干渉できんのう』


『わかりました』

『何とかします』


『流石神子ちゃん☆(スタンプ)』

『折角の祭を邪魔をされたく無いからの』

『フォッフォッフォッ(スタンプ)』

『よろしく頼むぞ』



 皆にウル様の言葉を報告しながら地図を開くと、ミールナイトから離れた場所に赤点の大軍が近づいて来ていた。

 タップすると、ナンタラ侯爵家近衛兵団とか、カンタラ伯爵家近衛兵団とか表示される。


「現国王関係かもね」


 レーヴァが地図を覗きながら言った。


「ウユしゃま、まちゅい、邪魔、嫌って」

「そりゃそうだろう」

「祭りを楽しみにしている神々が憤怒すれば、敵味方関係なくフェリアに大打撃を受けますから」


 え?神様は直接干渉しないんじゃないの?と聞くと、ウル様は基本的に不干渉だけれど、他の神々は神力を使い土地の実りを豊かにしたり、天候を管理したり、増え過ぎた種族を間引いたりしているらしい。

 フェリアが長きに渡り健やかに成長するよう神力を少しずつ注いでいるため、全くの不干渉というわけではないらしい。



 今の説明に何やら怖ーい言葉が混ざっていたような…………?



 ちなみに、ウル様とて完全なる不干渉ではなく、どうしても必要な事態が起こった場合何かしらの力を注いでくださっているんだって。

 鳳蝶丸達の推測によると、私が降臨したのもその一環なのではないか?ということだった。



 神々は神々の道理で動くからどうなるのかはわからないけれど、楽しみにしていた祭りを邪魔されて怒らない神はいない。参加するはずだった全員が何らかの天罰を下そうとすれば、打撃を受けるのはフェリアの土地や人々だ、とのこと。

 確かに、神様が下される天罰は私の比ではないだろう。そうならないよう何とか穏便に済まさねば。



 頑張れ、私!超頑張れ!



「まあ、周りが焼け野原になろうと姫の結界内は無事だろうし、祭り自体は開催可能だけれど」

「隙を突かれて、またスタンピードが起こっても困るしな」



 ちょっと、現国王〜。

 神々オコになっちゃうじゃ〜ん。


 ………本当、どうしてくれよう。



「ミユミユ、イェーバ、ぼうてんちゃ、ギユド、しやしぇて。おねだい、しましゅ」

「冒険者ギルドに知らせるんだね?」

「わかった」

「あと、ゴニョゴニョ……」

「了解」


 ニヤリと笑って、飛行ひぎょうで冒険者ギルドに向かう2人。

 あとは頼んだよ!



「そえたや、鳳蝶まゆ、ミシュチユ、ゴニョゴニョ………」

「了解」

「フフ、いいですね」


 現国王とその一派には、次代国王に二度と関わりたくないくらいには、痛い目にあってもらうよ!



 アンタら、覚悟しいや!



 一度言ってみたかった♪

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