第117話 迫力!ズッキュン♪
昨日から交代でお祭りを見に行ってもらっていたけれど、私達はまだどこにも行っていない。
だから、1回目レーヴァと私、2回目ミスティルと私、3回目鳳蝶丸と私の組み合わせでお祭り廻りをすることになった。
私だけ3回も休めないと言ったけれど、皆が昨日行けてないんだし楽しんできて!と言ってくれたので、遠慮なくお出かけすることにしたよ!
午後から曇になってきたので雨具はいらなさそう。
まずは制服を脱いでお着替えをした。
本日はミスティルコーデのフワフワ甘ロリ系です。白くまさんフードのコートが可愛くて気に入っています!
温かい格好をしなくちゃね。
まずはレーヴァとお出かけ。
町はとても賑やかだった。雨が上がったからか人がたくさん出てお花を飾っているし、屋台も沢山出店していい匂いが漂っている。
抽選会をやった広場にはステージがあり、曲芸師が片手逆立ちで玉に乗っていた。
「わあ!」
「ここは出し物をしているんだね」
曲芸師が軽々と宙返りするたび楽しくて、私もバビョーンと伸びて飛んでる気分を味わう。
私がどんなに動いてもレーヴァ抱っこは崩れることなく支えてくれるので、安心してバビョーンバビョーンと伸びたり縮んだりしていたら、周りから笑いが起きた。
曲芸師のお姉さんが細いロープに乗って綱渡りを始める。すると、体制を崩したのかロープが激しく揺れだした。
それでも落ちずにバランスを保つお姉さん。
「ばんばえー!ばんばえー!」
小さな子供に混ざって応援すると、お姉さんがニコリと笑い、ぴょんと空中一回転!再びロープの上に着地した。
あんなに揺れていたのにピタッと止まり、バレリーナみたいに片足をゆっくり上げていく。
綺麗なポーズを取ると、道化師のおじさんがお姉さんの足元で「ハイッ」ジャーン!とポーズをつくる。
笑いと拍手が起き、お姉さんが華麗に一回転して地上に降りる。
また大きな拍手が起きた。
私も一生懸命拍手した。
お姉さんやお兄さん、道化師さんが帽子を持って回る。
私はお姉さんの帽子に3千エンを入れた。
「沢山ありがとう!」
「たのちかた」
「そう言ってもらえて光栄よ」
元気いっぱいなとても可愛らしいお姉さんは私に笑顔を向けた後、レーヴァを見つめてポーッと頬を赤らめる。
「貴方、鶏肉料理のお店にいた人よね?」
「鶏肉?ああ、唐揚げね。うん、店の関係者だよ」
「やっぱり!とても美味しかったわ」
「それは良かった。今日はたこ焼きと言う食べ物で、唐揚げとは違う美味さだよ」
「昨日と違うんだ?今日も行くわ。楽しみ!」
「ぜひ来てね。さて、俺達そろそろ行かなくちゃ。じゃあね」
お姉さんは顔を真っ赤にしつつ、手を振っていた。
1日の大半を王子様達に費やしちゃったから時間がなく、鳳蝶丸とミスティルとのお出かけは明日に持ち越した。
明日はまた違う出し物らしいので楽しみにしておこう!
屋台に戻ると未だ長蛇の列。
共有の箱にたこ焼きをどんどん入れて売りまくる。最後のお客さんには余った分をオマケで渡し、本日の屋台は終了した。
「お疲れ様でしたー!」
「カンパーイ!」
今日も軽く打ち上げをするよ。
今夜は野菜サーモン巻、軟骨と鶏肉の炒めもの、鯛めし、お吸い物。
ビールと日本酒とレモン酎ハイを用意したよ。お子様にはレモンソーダか冷たいお茶かな。
昨日と今日で油の匂いばかりだったから、さっぱり系を用意してみました。
「今日も大盛況だったねぇ」
「本当に」
リンダママとリンダパパがまったりしている。
「そして、屋台裏が綺羅びやかだったわね?」
「領主様でも驚きなのに、あんなに王子様が集まってビックリしたよ」
ミムミムママとミムミムパパが引きつり笑いをしている。
「だから言ったじゃない。あれがゆきちゃんの日常だって」
「驚きが止まらない」
リンダお姉さん、ミムミムお姉さん、違うったら。
日常じゃないもん!
「明日は誰が来るかな?」
「きっとまた、王子様が来るよ」
それは否定しない。
「誰が来ても問題ない。俺たちに任せてのびのびと楽しく最終日を過ごしてくれ」
「はい!」×スタッフの皆さん
「皆しゃん、おちゅかえ、しゃまでちた。あちた、最終。よよちく、おねだい、しましゅ!」
「はい!」×スタッフの皆さん
結束を固めて、最終日を乗り切るぞ!オー!
最終日は快晴!
風は冷たく寒いけれど、雨じゃないからいいのだ!
さて、支度をしよう。
広場一面の空中に張った雨避け用結界を解除。
調理器具、看板(横断幕)などはクレープ用に変更。
一連の作業が終わってから屋台の中で朝寝をした。
目を覚ますとすでにいる王族の皆さん。
勝手知ったる何とやら、屋台裏で寛いでいたよ。
「おはよ、ごじゃいましゅ」
「おはようございます」×一同
今日も早いねと言ったら、一般客の混乱を避けるため早めに来たんだって。
「今日は甘いものと仰っていましたね」
「あい」
「どのような食べ物でしょう。楽しみです」
エルフの王子様達がウキウキしていた。
「甘いものか。あまり口にしないから想像がつかないな」
「
サバンタリア王国の王子様達とロストロニアン王国の王子様達が和やかに会話をしている。
最初はちょっと余所余所しかったけれど、打ち解けてきて何だか良い感じだね?
「ホッホッホッ、
青点キラキラおじいちゃん達は通常運転。うん。
スタッフの皆さんが揃い、支度をしているうちに長蛇の列が出来ておりました。
日に日に長くなるよ!
今日は冷たく溶けやすいものなので共有箱が使えない。
仕方がないので、鳳蝶丸とミスティルとレーヴァのマジックバッグに各種クレープを大量に入れておいた。
これで何とか対処できるかな?
アスナロリットさんとレーヴァがクレープ生地を焼き始めると、あたり一面甘い匂いが漂い始める。
「よう、嬢ちゃん」
1番目のお客様はまたしてもガグルルさんと仲間達だった。
「いやったい、ましぇ!」
「全種類を10個ずつ欲しい」
「レギュラーとデラックスがありますよ」
「アイスとやらも含めて全種類だ」
「わかりました」
鳳蝶丸がガグルルさんの眼の前で作り始める。
「面白い………いや、美しいな!」
「デラックスはちと時間がかかる。待っていてくれ」
「おう!もの作りを眺めるのは好きだから問題ないぞ」
各1種類をひと通り作り、あとはマジックバッグから出して渡す。
「すげえな。これ、食べ物か?」
「宝石とか花束みたいだ」
「ありがとな!」
ガグルルと仲間達がクレープを大事そうに持って、テーブル方面に歩いて行った。
そのクレープを見て並んでいる人達がザワつき、高いけれどやっぱりデラックスにしようかと悩み始める。
あんなに豪華なものがこの値段は安い!と言う人もいた。
次は王子様、教皇様御一行。
やはり全種類を多数注文だったので、こちらは私が対応することにして、窓口では会計だけをしてもらう。
そして、私とミスティルで屋台裏に行った。
「何から食べます?」
メニュー表を見せて、どれから食べるか聞くと、デラックスのオレンジからと言うことだったので、テーブル毎にどんどん渡していく。
「なんと美しいことか!」
「これを食べてしまうなど勿体ない」
皆さんが大興奮してクレープを眺める。
「食べないと溶けますよ」
「そ、そうですな。では……」
ミスティルの一言に、覚悟を決めたらしく、口に入れた。
「んん!」
「んんん!」
目を見開いたあと美味しそうに味わい、うっとりする皆さん。
「おいちい?」
「美味しい…いえ、美味しすぎます!」
「何たる至福。神よ、
うんうん。
美味しく食べくれて良かっ………。
シュッ
突然ウル様ラインが開き、『デラックスのイチゴとオレンジを各5個ずつ欲しいのう。フォッフォッフォッ(スタンプ)』と御所望だったので、共有に入れましたです。ハイ。
「責任者はどこにいる!我が君に食事を疾く用意せよ!」
突然騒がしくなった。
地図には赤点が無数確認される。
「どちたの?」
「抽選会の時の変な奴が来た」
鳳蝶丸が顔を顰める。
ああ、あの宝物よこせの人か。
ええと、物欲君?が列を無視してこちらにズンズンやってくる。
相変わらず派手な衣装だけれど、後ろからもっと派手なのが歩いてきた。
あ、そこは、
ゴン!
物欲君が屋台の結界に激しく顔をぶつけた。
割込み禁止にしているから屋台には近付けないよ?
しかも【天罰!ラヴラヴズッキュン】が発動して動けなくなっている。
「何をする!今すぐ呪いを解くのだ!ここの責任者を捕らえよ!」
「はっ!」
後ろにいたもっと派手な…キンキラ君?が大声で命令すると、近衛兵達がこちらに雪崩込もうとする。
でも悪意ある行為とみなされ結界に入れなかった。
近衛兵達が手に武器を持ちこちらに向かってきたからか、やっぱり【天罰!ラヴラヴズッキュン】が発動する。
集団揃って一斉に【天罰!ラヴラヴズッキュン】は迫力があるね。
フラッシュモブみたい!
「何を笑っている!愚民どもめが!」
キンキラ君が並んでいる人達を剣で斬ろうとして【天罰!ラヴラヴズッキュン】。
訓練場を見渡すと、トイレテントを持ち去ろうとしていたのか複数の兵士が【天罰!ラヴラヴズッキュン】で固まっていた。
「いかがしたかな?」
「シュエおじーたん」
「…………………はぁ。何と嘆かわしいことよ」
領主さんと教皇様が様子を見に来て広場の様子を眺め、深いため息をついた。
その後、ロストロニアン、ザバンタリア両国の関係者も来て顔を顰める。
「領主殿。
「承知いたしました。君。我が領の近衛兵を呼びたまえ」
「はっ!」
領主さんが護衛の1人に声を掛ける。
しばらくして沢山の近衛兵がやって来て、【天罰!ラヴラヴズッキュン】のまま固まっている人達を何処かへ連れて行った。
物欲君とキンキラ君は一体何がしたかったんだろう?
振り回される周りの人達も大変だね?
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