第109話 だって、売ってしまいたいんだよ

「それからフィガロ殿から聞いたが、面白い催しをするんだって?」

「うん、おもちよいよ」

「商業ギルドから護衛と列整理などの依頼が来てな。ただ、何をするのかわからんが面白そうだから参加がしたい、と仕事の人員がなかなか集まらん」

「しょっかあ。フィガロギユマシュ、相談、しゅゆ」

「ああ、よろしくな」


 そうだよね。護衛の人も参加したいよね。護衛の人数分玉を増やして、交代で抽選してもらおうかな。

 フィガロギルマスに相談してみよう。



「しょれと、こえ。あにあと、ごじゃいまちた」


 長いこと借りていた(忘れていたとも言う)冒険者ギルドのプレートを返却する。

 今は商業ギルドカードがあるので町の出入りは出来るからね。



 あ!そうだ!これも伝えなきゃ!


「あと、冒険者、登録でちゆ?」

「ん?」

「冒険者に登録したい」

「でも、指名は困るかな」

「一番下のクラスで良いです」

「い、いや。冒険者登録は嬉しいが、それじゃバランスがとれんだろう。ミスティル殿達はクラスSSSでも通るほど強いんだぞ?」

「だが、強制参加も指名も困る」

「登録したいとは、どうしてだ?」


 ダンジョンに潜りたいし、ダンジョンのドロップ品を売りたいと告げる。


「ならば、俺のとこ持ってくれば、ある程度は買い取るが?」

「マカマカの斧や鋸もか?」

「ああぁ〜、うん、そうだな」



 マカマカと名のつくドロップ品はデリモアナでしか売ってはいけないという規約がある。

 本来、冒険者でも騎士でも衛兵でもない私達はダンジョンに入れないはずなので、デリモアナで売りに出すのが難しいのだ。


「祭りが終わったころ、俺のところに来てくれるか?確認しておく」

「あい。わかた。あにあと」



 冒険者の登録が出来るといいな。

 マカマカシリーズはマカマカクレイ以外はいらないので、ドロップ品を売ってしまいたいよ。




 フィガロギルマスに相談して、護衛&列整理に参加した冒険者と手伝ってくれる商業ギルド職員、そしてそのご家族は抽選会に参加できる、と言うことにした。


 玉を千個、つまり抽選器1台を増やす。

 玉の色は…金と銀以外の良い玉を適当に増やしたよ。



 あとは、紅白のピンポン玉とそれを入れる箱と、何色の玉で何の景品が当たるのか一目でわかる一覧表(看板)を再構築、再構成。



 残りは抽選会の引換券作り。

 偽物を作れないように、そして記念になるように、ハンドタオルをチケットにしました!


 群青色地ハンドタオルに大きな白文字で「祝!抽選大会!」、小さめの白文字で「当日の日付」を入れた。

 その下に小さめの水色文字で「商業ギルド・ミールナイト支部&桜吹雪」、その下に「協力:商業ギルド・エンタル支部、冒険者ギルド・ミールナイト支部」と入れる。

 そして1〜6000と番号をふって完成!


 ハンドタオルだから後々使えるし、我ながら良い案!と思いフィガロギルマスに見せると、マネ出来ないし良い物だけれど、高級・高品質で勿体ない!と、言うかタオルとは何ですか?え?水分を吸う生地?ああぁ柔らかくて気持ちがいい!なんて素晴らしいんでしょう…(うっとり)と、止まらなくなりました。


 仕方がないので、我がテントで使っている白いフェイスタオル、バスタオル、バスローブを売ったよ!

 使わずコレクションにしそうだよね。






 待ちに待った、お祭り1日め!

 またしても夜明け前に目覚めた私は、皆とお風呂に入って、お肌と髪のケアをしました。



「髪伸びたな、お嬢」

「うん!」


 鳳蝶丸が編み込みとツインテールに結ってくれた。髪には白いリボンもつけて出来上がり♪


 今日のお洋服は、スモーキーピンクのセーラーワンピース。

 セーラーカラーは白で、スモーキーピンクの3本ライン。長袖の袖口には白の3本ライン。

 白タイツに薄いピンク色のエナメル靴。

 白のダッフルコート。片側が輪になっていて、そこにもう片方を入れるタイプの白いマフラー。


 本日はレーヴァ監修です。



 そのレーヴァ達はいつもの服装。

 お出かけ服を作ろうよと言ったけれど、動きやすいからこのままが良いんだって。




 朝食を軽く食べたりのんびりしてから【虹の翼】邸にお邪魔する。

 皆さんすでに起きていて、ミムミムお姉さんとミクミクお姉さんが朝食の片付けをしている最中だった。


「おはよ」

「おはよう!」

「おはよ、ごじゃいましゅ」

「クレープとたこ焼き機などの回収に来ました」

「貸出ありがと。上手く作れるようになったよ」


 エッヘンと胸を張るミムミムお姉さんが可愛い。

 私は「しゅごい!たのちみ、ちてゆ」と拍手を送った。



「おまちゅい、たのちみねぇ」

「うん、凄く楽しみ!今日、あの抽選会?出来るんでしょう?」

「うん」


 ミクミクお姉さんがウキウキしている。

 リンダお姉さんとミムミムお姉さんから、家族分をありがとうとお礼を言われたよ。

 喜んでもらえて嬉しいな。




 お祭り開始のセレモニーは何故か一番前の席だった。


 お祭り実行委員会会長、市長さんの挨拶が済み(長かった!)、その後にアルシャイン辺境伯からのスタンピード終息の祝辞とお祭りの挨拶、そしてお祭り開始の言葉があった。


 途端に割れんばかりの声と拍手!

 さあ、盛り上がって参りました!




 セレモニーが終わりサササッと移動しようとしたら、市長さんに呼び止められてしまう。


「みつっ…、ゆき様」


 市長さん、御使いと言おうとしたね?(再び)


「お久しぶりにございます。この度はセレモニーの出席及び、祭りの参加をありがとう存じます。そして、テューテンカイなる催し物………」

「ンッンー」


 市長さんが話を続けようとすると、後ろにいた男性が咳払いをする。


「ハッ!失礼しました。こちらにいらっしゃるのはアルシャイン領主、エトワール・デュ・アルシャイン様でございます」

「ゆき様。そして従者の皆々様。初めてお目にかかります、わたくしはこの地の領主、エトワール・デュ・アルシャインと申します」


 右手を胸に恭しく頭を垂れる。


「初めまちて、ゆちでしゅ。鳳蝶まゆ、ミシュチユ、イェーバでしゅ」

「鳳蝶丸だ」

「ミスティルです」

「レーヴァだよ」


 レーヴァ抱っこのままスカートを摘んで挨拶をする。

 領主さんは優しそうな顔でニコッと笑みを浮かべた。



 この人が領主さんかぁ。

 スラッと背が高くて程よいマッチョ、渋くて素敵なイケメンオジサマだな。


「この度は多くの民をお救いくださり感謝しかございません。重ね重ね、御礼申し上げます」

「わたち達、役目よ。気にちないで」


 この国だけではなく、近隣の民もお救いになった皆様に、どのように礼を尽くしたら良いのかと考えておりますと、領主さんが言った。


「礼はいらない。俺達を利用し、俺達の行く手を阻まなければいいだけだ」

「まあ、貴方達人の子に、私達の行く手を阻むことなど出来ませんが」

「姫の手を煩わせなければそれで良いんじゃない?」

「我がアルシャイン一族は皆様に仇なすことは決してございません」


 お礼を言ってくれた領主さんに、何故喧嘩腰?と思って地図を見ると黄色点だった。

 領主さんを鑑定をしてみると、私との繋がりを希望している。と書いてある。

 ああ、ここにも海千山千の人が………。


 まあ、貴族であり領主さんならば色々あるよね。

 悪意は感じないので良しとする。


「わたちたち、もう行く。ちゅーしぇん、しゅゆ」

「チーシェン?」

「テューテンでございますよね?」

「抽選な」


 領主さんと市長さんに鳳蝶丸が回答する。


「ゆき様は、この度スタンピード終息記念祭に特別な催し物をしてくださるのです。景品もご提供くださいます」

「なんと!お気遣いありがとう存じます」

「いいの。楽ちいの。エトワーユしゃんも、楽ちんで?じゃあね!」


 バイバーイと手を振ったら即歩き出すレーヴァ達。

 領主さんに頭を下げられたので、めっちゃ目立っちゃったよ。……今更だけれどね。

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