第63話 酒だ、酒!用意しろいっ! ワンカップもあるよ

 カレーとビーフシチューは大盛況だった、みたい。

 みたいと言うのは、途中で寝ちゃったから。赤ちゃんあるあるだよね!……みんな、ごめんなさい。



 何はともあれ大盛況で良かった!

 とても高価な香辛料をふんだんに使っているのに2千エンということで、皆さん何度もおかわりしていたみたい。

 お腹は大丈夫だろうか?

 ビーフシチューもめちゃくちゃ好評で、カレーの辛さが苦手な人達が喜んで食べていたらしい。


 全種類食べた強者もいるって聞いたけれど、スタッフにもいたよね?全種類達成のハイジさんとかハイジさんとか。


 ライアン団長やモッカ団長も何度か顔を出してくれた。出発前にカレーを堪能できて嬉しいと言っていたよ。


 沢山の人が美味しかったと喜んでもらえたのが嬉しいね。




 さて、ただいま早朝です。

 お腹を空かせた鳳蝶丸とミスティルにたまごチーズトーストとオニオンスープを出して、私は珈琲を堪能。

 朝の一杯は美味しいなあ。

 あ、何度も言うようだけれど、赤ちゃんに珈琲はダメだからね。私は大丈夫ってだけで。



 明日のお酒販売会どうしょうかな。


 私は寛ぎの間でお酒の事を考えていた。

 正直言えば、飲めなかったからお酒は専門外。知識があるのは友人達のおかげだしね。でも飲んだこと無いから何が美味しいのかわからない。

 まあ、お酒大好きな従者達がいるので試飲はバッチリなんだけれど。

 うーん。

 とりあえず知っている限りの品を作るので良いかな。



 目玉になる高額なお酒少しと、お手頃価格を多めに用意しよう。

 種類はワイン、日本酒、ウイスキー。ビールやシャンパンは気が抜けると美味しくなくなるので止めておく。


 今回は友人達が好んでいたものや、贈答品を調べた時に確認したもの。

 知り合いの付き合いで購入(自分は飲まないので結局友人にあげた)したもの。

 酒屋で見かけたものを思い出せる限り用意するつもり。

 ワンカップや、安価なワインとウイスキーも用意しておこうかな。


 金額の記憶も曖昧だけれど、元は私の神力で作るんだし適当でいいや。


 あと、目玉は高級なお酒。

 フランス産高級赤ワインと高級白ワイン。15年もの以上の日本産高級ウイスキー。大吟醸のあの日本酒。

 それぞれ1本10万円以上の品。数量を少なくして、希少価値を高めるよ。



 フフフ…。



 5万円以下は複数用意するし、いざとなればその場で複写出来るから問題ないよね。




 まず、思いつく限りのお酒を再構築する。

 1万円以上のものを複写して私の部屋、バーカウンター横の酒蔵に保管。


 鳳蝶丸とミスティルによると、回して閉める蓋は無いし、印刷技術が発展していないのでラベルは止めたほうが良いだろう、との事。

 本当はラベルが綺麗だしこのままにしたかったんだけれど………。今回は諦めよう。


 あ、印字出来る魔道具はあるんだって。説明を聞くとFAXっぽいって思った。ただ、とても高価だし複写機能はないらしい。



 仮作成として1つだけ複写、再構成でラベルを消し、蓋をコルクにする。


「こえ、いい?」

「うーん、そうだな……」


 他で買った安価なものを、お嬢から買ったと嘘を付き高額販売する輩が出る可能性もある。

 お嬢の物はコレ!とわかるようにしたらどうかと助言してもらった。


 別物を私と偽って転売は悪質だよね。

 それは許せないので、工夫と対策だけはしておこう。



 まず、ガラス瓶の側面と底に、桜吹雪のロゴを浮き上がらせた。触るとボコボコとした加工だよ。

 そして、コルクの頭と底(瓶の中側に入る部分)に桜と焼印。コルクは一度瓶から抜くと元に戻せない形状なので使い回しは出来ない筈。



「こえ?」

「形は良いんじゃないか?」

「でも、これだと高価なものが安価なものか見分けがつきません」

「しょうだった」


 高級品は頑丈かつファビュラスな箱に入れるか。

 正直、この世界に贈答用の箱は無いと思うけれど。



 他は木箱にワイン何エン、日本酒何エン、と書いておく。

 ワインは深緑(半透明)のボトル、ウイスキーは透明のボトル、日本酒は瑠璃色(半透明)のボトルにする。


 あと、どうする?うーん。金額によって色の違うリボンでもかけようかな。

 リボンは細めの単色で、ボトルの首にシンプルなリボン結びをしておくって感じ。

 5百エンは無し、1千エンは黄色、3千エンはオレンジ、5千エンはピンク、1万エンは緑、3万エンは青、5万エンはシルバー、10万エンはゴールド。


 ワインは赤と白があるか…。うーん、じゃあワインだけリボンをツートンカラーにしよう。1千エンの白ワインは白と黄色とか、1万エンの赤ワインは赤と緑とか。

 10万エンだけボトルにシフォンのフラワーリボンをつけよう。箱にはゴールドのリボンで十字結びにして、何となく特別な感じで良いんじゃないかな。


 あと、持ち帰る時の袋は?って聞いたら、自分で買うものは自分で袋や箱を用意するものらしい。エコバッグだね?

 念の為、バッグを持ってきていない人用に大きくて丈夫な無地の布バッグを用意。タダにすると、いる人といらない人で不公平になるから販売にした方が良いよね?1千エンかな。


 3万エン以上お買い上げの方1人につき1枚プレゼント!なんてどう?ノベルティみたいに。

 だったら無地ではなくて桜吹雪の名前と桜の花を刺繍しよう!紺色の地に白の刺繍で…………。


 うん、使いやすそう!そして、何となく酒屋っぽい。


 生地の色を変更して刺繍も入れたから値段は3千エンで良いかなぁ。

 もうファビュラスな箱を含め、この世界の技術から色々と超えている気がするけれど………。



 ま、いっか。



 何か聞かれたら「ひみちゅ」って言おう。

 あ、お酒のラベルは色々な文字が書いてあるし予定通り止めておくよ。



 では。

 まず日本酒を1本複写、再構成でラベルを剥がし、蓋をコルクに作り変えた。

 瓶には文字を浮かび上がらせ、コルクに桜と焼印。そしてリボンをかける


 その後、一升瓶ケースを再構築。再構成で木製にして複写、日本酒何千エンと焼印。

 先程作ったお酒を5本複写して一升瓶ケースに入れて無限収納に保管する。

 他のお酒も同じ要領で大小様々な木製ケースに入れて在庫を作っていった。


 ちなみにワンカップは一升瓶をうんと小さくしたような形にしました。



 ビョークギルマスに確認したら、今調査隊に参加しているのは全員成人と言うことだったので、安心して販売出来る。

 でもお酒が飲めない人もいるだろうからジュースと水も作っておこう。

 オレンジ、グレープ、リンゴ、水。

 値段は1本2百エン。こんなモンで良いかな?



 では、ミスティルに商品一覧を書いてもらおう。



 【ワイン】

 1千エン、3千エン、5千エン、1万エン、3万エン、5万エン、10万エン


 【 ウイスキー】

 1千エン、3千エン、5千エン、1万エン、3万エン、5万エン、10万エン


 【ニホンシュ】

 5百エン、1千エン、3千エン、5千エン、1万エン、3万エン、5万エン、10万エン


 【果実水・水】

 2百エン


 【桜吹雪オリジナルバッグ】

 3千エン

 ※3万エン以上お買い上げの方に1枚プレゼント(お一人様1枚まで)

 ※保管方法により賞味期限は異なりますが、長期保存はお勧めしません

  また開栓したら早めにお召し上がりください



 お酒は消費期限の表記が無いけれど、何年も取っておいてお腹壊したらいけないからね。

 ワインには100年とか保つものもあるらしいけれど、私が再構築したワインがどれくらい持つかわからないし。

 とりあえず、表記だけはしたから後は自己責任ってことで。


「あにあと」

「どういたしまして」

「この酒全部テントにも置いてあるんだよな?」

「うん、あゆお」


 鳳蝶丸もミスティルも嬉しそうに笑っているので、好きな時に楽しんでもらって大丈夫だよ、と伝えておいた。


「しゃて、今日とあちた、よよちく、でしゅ」

「ええ、お任せを」

「俺達も楽しんでいるから問題ない」

「あにあと」



 いつもいつも助かってます。

 鳳蝶丸、ミスティル、ありがとう!

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