第49話 しゅっぱーつ!頑張るぞー!(主に従者が)

 夜明け前に目が覚めました。

 今日は移動なのでシンプルな深緑のワンピースと白いタイツ。マジックテープで留めるイエローベージュのスニーカー。


 念の為ダンジョンコアの空間に行って本体の活動開始時間を鑑定。前回と変わりが無かったので予定通りで大丈夫みたい。


 朝食はおにぎりで簡単に済ませ、外に出てテントを無限収納に仕舞った。


 調査隊の皆さんも既に起きて野営に使った道具を片付けている。


 出発少し前にトイレ用テントを出しおむつ装着。うーん、モコモコする。

 トイレテントを清浄して仕舞い、鳳蝶丸におんぶしてもらった。


「鳳蝶まゆ、わたち、浮遊しゅる?」


 おんぶだけど浮遊していれば軽いかなと思い聞いてみる。


「いや。大した負担にならんし、重みがないとおぶっているかどうかわからなくなる。このままでいい」


 と言うことで、私は鳳蝶丸に身を預けることにした。




 調査隊の面々が集合しているのでそこへ移動する。私はおぶわれたまま周辺に張った結界を解除した。


「昨日も説明した通り、ゆき殿、鳳蝶丸殿、ミスティル殿も同行することになった。特にゆき殿はまだ赤子なので気にかけてくれ」


 あの黄色点の二人以外は同意してくれる。

 まあ、調査隊の人に守ってもらわなくても、鳳蝶丸やミスティルは強いし、結界3を張っているから問題無いだろう。


「30分後に出発する。それぞれ最後の確認をしてくれ」


 皆に出発説明をしていたビョークギルマスと目が合う。

 ギルマスはニッと笑って生えた足をパンパンと叩き、サムズアップ。私もサムズアップ返しした。

 フェリアにもこのポーズあるんだね。



 その後は最後の確認をしている皆を眺めていた。

 手ぶらなのは私達だけで、皆色々荷物がある。でも、思っていたより少ないかな。

 聞いたら、A級やS級の冒険者はマジックバッグを持っているんだって。ただ、容量は少なめで時間停止がないみたい。それでも無いよりは荷物が減るから良いよね。




 30分後、調査隊が出発する。

 私達は隊列の真ん中あたりを歩いていた。

 倒れた大木の上を歩いたり、岩や木の根を越えたりしているけれど、鳳蝶丸は身が軽いからか、違う要因なのか、大した揺れもなくサクサク進んで行く。

 へえ、こうやって皆で移動するんだ。皆黙々と歩くんだな。


 途中、喉が乾いたと呟いたら、ミスティルがお水の入ったストローマグを出してくれた。


「おみじゅ飲む?」

「いえ、私達はいりません」

「気にせず飲んでくれ」


 との事なので、私だけお水を飲みながら森の木々を観察していた。



 魔獣も出ないしとても静か。聞こえるのは調査隊の面々の息遣いくらい。

 これで小鳥の囀りが聞けたら爽やかな気分になれるんじゃない?ピクニックとかも楽しそう。

 あ、お昼ご飯何にしようかな。

 うーん、うーんと、

 森が、森で、森林浴の、んー………。


 …………………………………………。

 ………………………………。

 …………………。




 ハッ!

 降ろされる感覚に目が覚める。


 揺れと、ずっと同じ景色に飽きて寝ちゃったよ。


「目が覚めたか?」

「寝ちゃっちゃ、ごめんね」

「大丈夫ですよ。今、休憩らしいので、トイレとか済ませますか?」

「うん」


 トイレテントを出して用を済ませる。すると、テントの外からビョークギルマスの声が聞こえた。


「テントで休憩するほど時間は無いぞ?」

「これはお嬢の作ったトイレ。休憩しているわけじゃない」

「トイレ?あのトイレか?」

「ああ」


 私が出ると、ビョークギルマスが考える仕草をしていた。


「どちた?」

「ああ…これを買い取らせてもらう事は出来ないか?」

「こえは、臨時、ちゅくった。売ゆの、改良しゅる。待ってて」

「そうか。そう言っていたもんな。だが、町までこのトイレだと組まなくても良いので時短が出来ると思ったんだ」


 いや、組まなくてもって、買い上げだったら結局そのたびに組むことになるでしょ?

 テントごとマジックバッグに入るんだったら可能だけど。


「で、だ。貸し出してくれないか?金は払う」


 レンタルかぁ。良いけど、レンタル料金どう設定すれば良いの?


「うーん、ちゅぎのやちゅみ、返事しゅる」

「わかった。無理にとは言わないが、検討してくれ」

「あい」


 とりあえずトイレテントを清浄して仕舞う。

 今度はミスティルにおんぶされて森を歩き出した。



 また眠くなりそうだったので、地図を開いたり無限収納を開いたりしていた。


 今のうちに貸し出し用のトイレを作ろうかな。

 タープテントを1つ複写。再構成で四方と床をつくり、長方形の大きなテントに作り変える。

 無限収納内ではテント内に何かを設置したり結界を張ったりは出来ないので中途半端に終わってしまう。


 うーん、ムズムズする。


 私は作るのに時間がかかる場合を除き、何かを作り始めたら全部作ってしまいたい性格。

 出来ればこのレンタルトイレも作ってしまいたい。


 って事で、


「ミシュチユ、鳳蝶まゆ、ビョークギユマシュ、とこお、行って?」

「わかりました」


 二人は先頭付近にいるビョークギルマスのところに素早く近づいた。


「お、おう、驚いた」


 気付けば横を歩いている私達に驚いたみたい。


「ごめんね?」

「はあ、あまり脅かさないでくれ。どうした?」

「ちゅぎ、休憩、どこ?」

「ああ、そうだな」


 歩きながら携帯用らしい地図を開く。


「このペースだと、13時頃この辺りで昼食と休憩になるだろう」

「しょう。じゃ、しょこで待ってゆ」

「ん?」

「しゃきに行く、待ってゆ」

「あ、おい!」

「またねー」


 ミスティルと鳳蝶丸に、先に行きたいと告げると、凄い勢いで駆け出した。

 あっと言う間に隊列から離れると、その後は飛行ひぎょうで進む。そして、数分もしないうち休憩場所(仮)に到着した。




 2時間半位の道を数分で来てごめんね。

 でも、レンタルトイレのためだから。作る所見られたくないから。


 収納から出したトイレテントを張ってもらい中の確認する。


 うん、いい感じ。


 男性用便器を再構築、再構成で水栓部分に清浄を付与した魔石を埋め込んだ。

 外側の上部にセンサー用の小さな魔石を取り付けて、立っている人が便器を離れると清浄の魔石が発動するよう、鳳蝶丸に魔法陣を焼き付けてもらった。


 次は、テント内に男性用便器を片側に5台設置して、向かい側に個室を3個作る。

 個室にはいつもの便座を置いて、壁にリモコンを取り付けた。そのリモコンの下には荷物が置けるよう小さな棚を置く。


 次は、エアタオルっぽい形の箱をつくって手が入ると清浄を付与した魔石を埋め込み、入り口付近に2台設置。側面の壁には全身鏡を取り付けた。


 天井には個室の上とその他複数箇所に私が魔力を充填する時清浄のランタンをぶら下げ、テント内を明るくする。


 次にクイーンの魔石を用意する。

 その魔石とトイレ内の魔石を鳳蝶丸に繋げてもらい、クイーンの魔石から魔力を充填出来るようにしてもらった。



 魔力充填!



 エアタオルやトイレを確認すると、問題なく可動した。



 このトイレテント(男性用)を無限収納に入れて複写、これを女性用に作り変える。

 男性用便器を撤去して個室を3個追加した。これで向かい側と併せて6個の個室。側面の壁には化粧台と鏡、その横に全身鏡。


こちらも可動確認をして終了。



 仕上げは、男性用女性用二つともトイレテントを出して結界4で四角く囲い、魔獣からの攻撃を防ぐとした。

 出入りは悪意(覗き含む)、殺意が無ければ誰でもOK。

 中の音を外に漏らさないにして終了。



うん、満足!



 トイレテントを無限収納に仕舞って終了!


 三人でゆっくりお茶を飲んで、私はまたお昼寝します。

 お休みなさい。

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