第43話 今日はのんびり……ん?のんびり?
ベッドでボーッとしていたら、鳳蝶丸が迎えに来てくれた。
「おはよう、お嬢」
「おはよ、鳳蝶まゆ」
バーベキューの途中で寝ちゃったみたい。
昨日の服のまま寝ていたけれど、テントに入ると同時に清浄だから良し。
でも、今後の為二人にパジャマや服、靴などを渡しておこう。
うがいをしたり、顔を洗ったり、ベビー用保湿クリームでお肌のケアなどをする。ケアしなくても肌は良い状態で保てるんだけど気分的にね。
服は昨日のままで着せ直してもらった。
「ミシュチユ、おはよう」
「おはようございます」
ミスティルはキッチンの食洗機でお皿を綺麗にしていた。
「片じゅけ、あにあと、ごじゃいましゅ」
「大丈夫ですよ。これ、どうします?」
「無限ちゅうのう入えゆ」
私は綺麗にしてくれたキッチンの食器を無限収納へ閉まった。あと、テント内に入れておいてくれたビールサーバーや充電器、冷蔵庫を清浄し同じく無限収納へ。
次にタープテントや周辺にあるコンロやテーブルを仕舞うため、鳳蝶丸抱っこで外に出た。
早くに目覚めたので外はまだ暗い。
調査隊の人達は交代で休んでいたらしく何人か起きているみたいだった。
私はなるべく音を立てないようにコンロやテーブルを仕舞ってゆく。
そこにビョークギルマスがやって来た。
「おはよう」
「おはよごじゃいましゅ」
「おはよう」
「昨日は世話になった」
「どういたちまちて」
「それと、あの件についてなんだが…」
ピピお姉さんから報告されたじゃがいもや出血死病の予防策について話があると言われ、こちらはいつでも良いと言ったら、調査隊の用事が終わったら声をかけるのでその時に、と約束した。
その後タープテントを収納していると、
「はあ、凄いな。そのマジックバックは雨避けテントをそのまま収納出来るのか」
「うん」
「容量はどれくらいだ?」
「わかんにゃい」
やけに突っ込んで来るなあ。
いや誰でも欲しいか、大容量のマジックバッグ。
「ほちい?」
「欲しいかと言われれば欲しい。だがゆき殿から盗るつもりはないぞ」
「うん。あの、こえ、高く売えゆ?」
「高いなんてモンじゃねえな。売る気なのか?」
「ううん。こえ売なない。他に、持ってゆ」
「は?」
「これより、入なない」
まあ、これから作るんだけど。
うさたんバッグを撫でて言うとビョークさんが食い付いた。
「容量はどれくらいだ?」
「うーん、わかんにゃい。テントくやい?あと、時間停ちと……。」
「時間停止だと!?しかも雨除けテントくらいの大きさ!?国宝級じゃねえか!」
あ、時間停止はこの世界にもほとんど無いんだった。ウル様にダメって言われてないし、年に1回くらいなら良いって言われたからいいや。
「そ、それを国に献上する気は?」
「ちない。宝もちゅ庫、入えゆ、無い同じ。ちゅかうちと、売ゆ」
「そ、そうか。値によるが冒険者ギルドで……」
「いいえ!商業ギルドで買い取りらせて下さいっ」
いつの間にかフィガロさんが話に参加していた。
「マジックバッグを利用するなら冒険者だろう」
「商人だって使いますよ。と言うか私が欲しいです」
「フィガロ殿はエルフだから自前のアイテムボックスがあるのでは?」
「でも時間停止ではありません。そのマジックバッグがあれば、高品質の食品もストック出来るのでぜひ欲しいです」
「俺達冒険者だって中型の獲物をそのまま持ち帰ることが出来るし、継続して狩り場に潜れる」
二人の睨み合いが始まってしまった。次回からは簡単に言わないようにしよう。
「ケンカだめ。ギユマシュ、売なない」
「うをっ」「そんな!」
同時に叫び声をあげる。
「ケンカなんてしてないぞ~」
「私たちは仲良しですよ~」
肩組んでニカッと笑う二人。
その姿が何だか面白くて、きゃっきゃと笑ってしまう。
「売れるものはまだ色々ある。町に着いたら荷物を整理して声をかける」
「お、おう」
「た、楽しみにしています」
鳳蝶丸の声掛けで話が終了。私達は二人のギルマスを残して2ルームテントに入った。
一段落したので早めの朝食。
ご飯に白菜のお味噌汁、甘塩の鮭カマ、海苔の佃煮、茹でたブロッコリーにマヨネーズ。
鳳蝶丸がもの足りないみたいだったので、レトルトのミートボールを追加した。
海苔の佃煮は二人の口に合わないかなって思ったけれど、物凄い勢いでご飯にのせ食べている。
美味しく食べてくれて良かった!
食べ終わって少し休んでからダンジョンコアの様子を見たいと伝え、3人で行くことになった。
全員に結界3をかけてから、寛ぎの間に転移門を呼び出す。
天地逆転している場所だからどうかと思ったけれど、問題なく普通の状態で繋がった。
「分体、寝てゆ?」
数日前と変わらず地面に転がっていた分体をツンツン、と突いてみる。
「起きてますよぉ。体はまだ動きませんがぁ」
相変わらず転がったまま話し出す。思ってたより活動開始が早いかも。
「何かご用ですか?」
「用にゃい。しょろしょろ森、出ゆ」
「わかりました~」
「クックックッ、やっといなくなりますか」と不気味に笑ったその時、設置した浄化装置が発動。
分体のちょっと黒い気が綺麗に浄化された。
「ああぁぁぁ……。これ、止めてもらえませんかねぇ?」
「止めにゃい」
「大規模なスタンピード起こしても今後は俺達が即駆けつけるからな」
「面倒なので次は活動停止にしますよ」
「本体、結界、ちゅちゅむ」
「ひっ!」
分体に負けないくらいの暗黒微笑を浮かべながら忠告してみる。
「わかってます。わかってますよぉ」
「改じぇん、考えゆ、しゅゆ」
「わっかりましたぁ!」
とりあえず、確認したい事が終わったので寛ぎの間に戻り転移門を解除する。
「どうだった?」
「約70時間後、かちゅ動開ち」
「明後日の夜頃からですか」
「大体予定通りだな」
私がダンジョンコアの空間に行ったのは、本体を鑑定するため。
大凡予定通りに活動開始するらしい。
「ビョークギユマシュ、言う。今日、解しゃん。二人、自由にちて」
二人に休んでもらおうと本日自由行動を告げる。
一緒にいると言われたけれど、セーフティエリアから出ない事、結界3を解かない事を約束して承諾をもらった。
「おしゃけ、飲む?」
「おっ、良いか?」
無限収納にある酒類、おつまみになりそうなものを複写して渡しておこうかな。
ついでにパジャマや服、靴その他もね。
「20時、ここ、集合」
「了解」
「わかりました」
夜ご飯は一緒に食べるってことで、寛ぎの間に集合です。
「こえ、お昼」
以前作ったサンドウィッチとカフェオレ、再構築のバナナを大量に渡しておく。マジックバッグに入れておけばいつでも食べられるしね。
「無くなる、言って。あと、おしゃけ」
お昼ごはんに続き、無限収納にあるお酒各種とツマミになりそうなものを複写。
チーズやナッツ類、フルーツの各種盛り合わせ、サラミ、チョリソーなど肉料理、フライドポテト、クラッカーなどを渡した。
二人がマジックバッグに仕舞った後、本日は解散となった。
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