第29話 どんどん仕込んじゃうぞ!

 さて、私はこれから忙しいのです。


 まずは魔法創造。



 <飛行ひぎょう

 飛行、移動、空中浮揚等、空中で自由自在に行動出来る。



 鳳蝶丸に教えてもらった飛行ひぎょうをつくってみた。

 浮遊しか思い浮かばなかったので自分を浮かせて移動していたけれど、それではめっちゃ遅くて二人にはついて行けないからね。

 試しに発動してみると、自分が思ったところにスッと動けて楽だった。

 これから自分自身の移動は飛行ひぎょうにしようと思う。



 次、ミスティルにプレゼントするマジックバッグ作り。

 肩から斜め掛けする小さな皮のポーチを再構築。レザーカービングで薔薇模様を施した。

 容量も収納庫管理も鳳蝶丸と同じ仕様にする。


 そして、ドアをそっと開け誰もいないか確認して、例のアレ、


「マイカル、ラブイン、萌えちゅんちゅん☆時間停ちになぁえ♪」


 キラキラキラキラ☆


 良し、出来た!

 あとは所有者登録をするだけ!

 ミスティルのマジックバッグと<時間操作の杖>を無限収納にそっと仕舞った。




 次はバーベキュー関連の用意。テント内のキッチンに早速飛行ひぎょうで移動した。


 実は、何度も再構築と再構成をしているうちに、外に出さず無限収納内で直接再構築・再構成が出来ることに気が付いた。

 例えば、無限収納の1フレームに食パン1斤複写して、そのフレーム内で紅茶の茶葉に再構築するとか。

 ただし、作ったものに結界を張りたいとか付与したい場合は一旦無限収納から外に出す必要があるけれど。

 なので、出来るところまでは無限収納内で作成するよ。



 まずは鳳蝶丸とミスティルが楽しみにしているお酒!


 私は体質的にお酒が飲めなかったので、どんな銘柄が良いのか知らなかったりする。

 お酒の好きな友人達が、食事の時や旅行でビール、各地の地酒や焼酎、ワイン、度数の強いものまで色々飲んでいて、選ぶ時楽しそうで羨ましいなと思っていた。

 そういうわけで、どれが美味しいのかよくわからないけれど、友人達が美味しいと言っていた銘柄を再構築しようと思う。

 今回はバーベキューなのでフランスの赤ワインとイタリアの白ワイン、ハイボール用に日本のシングルモルトウイスキーと炭酸水かな。



 あとはビール。

 私が働いていた会社は夏にバーベキュー大会をしていて、その時にレンタルしたビールサーバーを再構築してみる。

 炭酸ガス式で、ビールの美味しい温度に冷やすタイプと氷点下まで冷やすタイプ、ニ種類が選択できる。

 あとは日本のものや外国産のもの数種類の冷えたビール樽と炭酸ガス用のカートリッジを再構築した。



 次に大き目のバーベキューコンロ、焼き網、普通の鉄板と波型の鉄板。木炭、柄の長いライターと着火剤。耐火用グローブ、炭バサミ、うちわ、トング等を再構築。



 下処理や調理に関しては自分の体の小ささに断念。時間もないのでアカハマダイや岩石エビを使って全て再構築にした。


 友人達とバーベキューの時に作った”後は焼くだけ”の材料を用意する。

 すでに漬け込んだ豚スペアリブ、鶏ももタンドリーチキン、すりおろした玉ねぎに漬けた牛肉ブロックと薄切りにしたカルビやロース、お肉屋さん手作りのソーセージ、ガーリックシュリンプ等。


 醤油ベースと味噌ベースの我が家秘伝焼肉のタレも再構築。その他レモンやバターなども用意しておく。

 調味料は無限収納に入っていた自宅にあった物。


 野菜はトマトベーコン巻の串、カット済みのとうもろこし、アスパラ、しいたけ、ピーマン、ナス、玉ねぎ、南瓜。

 色々キノコのアルミホイル包み、チーズやベーコンを挟んでバターをのせたハッセルバックポテトのアルミホイル包み。

 下処理の済んだエビ、ほたて、はまぐり、イカ。

 小さなお鍋に小エビのアヒージョとマッシュルームのアヒージョ2種類。

 豚の角煮入りおにぎりは焼きおにぎりにするつもり。



 その他にはトルティーヤやタコシェルと、タコミートやワカモレ、ハラペーニョ、チーズ、シャキシャキレタス、サルサなど自分で作れると楽しいメキシコ料理。バーベキューで焼いたお肉やエビを挟んでも良いしね!

 その他にフランスパンのブルスケッタ。

 二人が食べたいと言っているガーリックライスも完璧!


 食後用に色々な果物のシャーベットも全部無限収納で再構築した。




「休んでいたんじゃないのか?」


 鳳蝶丸とミスティルが外から帰って来た。


「しゃっき、寝てた」

「何しているんです?」

「バーベちゅー、用意」

「お、そうか。俺達も手伝うな」

「あにあと」



 人手が増えたのでちょっと手の込んだことをしよう。

 アカハマダイを三枚おろしにしてもらう。

 オリーブオイルで皮目からこんがり焼いて、にんにくいれて、プチトマトとあさりとパプリカとマッシュルーム入れて水と白ワイン入れて煮たら、その後蓋をして蒸し煮。味見してちょっとだけ塩コショウを入れて完成。

 アカハマダイのアクアパッツア風。


 岩石エビは二種類作るので真っ二つにしてもらった。

 ひとつはテルミドール風に、ひとつはこのまま網焼きにするつもり。



 あと!これは外せない、枝豆!

 水1Lに対して塩40gの割合。塩は大体半分に分けておく。

 枝豆の先端部分をはさみで少し切り落とし、軽く洗って水気を切って半分のお塩でゴシゴシ塩もみ。

 お湯に残りの塩と、塩が付いたままの枝豆、ボウルに残っている塩も入れて1から5分茹でる。

 味見して固さがOKだったらザルにあげて冷まし、少し塩をふりかけて完成。


 もう一品。ごま油でニンニクを炒めて枝豆を投入。少しだけ水を入れ蓋をして蒸し焼きにする。

 水気が無くなったら醤油少々と小さく切った鷹の爪を入れて炒め、火を止めたら粗びき黒胡椒をふって混ぜ合わせて完成。


 次に、タープテントに設置してあるミーティングテーブルとイスを一旦収納。

 木製の四人掛けテーブルを再構築、複写して2台並べる。

 同じく木製の背もたれ付きの椅子には低反発クッションを取り付け7脚並べた。

 1脚はベビーチェア(ハイチェアー)。足が長くてテーブルに丁度良い高さのやつ。

 何故タープテント内でバーベキューをするのかと言うと、入る時清浄のうえ、防塵・防砂してあるから。



 テーブルが小さくなったので、空いたスペースに魔道具の大型冷蔵庫2台、その横に小さめのテーブルを置きビールサーバーを乗せた。テーブルの下に大容量充電器を置いてビールサーバーの電源を確保。

そして、ビール樽のセットの仕方と炭酸ガス用カートリッジの取り付け方、美味しいビールの注ぎ方を二人に説明した。


「魔道具にするか?」

「今日、時間ない。あとで、新ちいビーユシャーバー、渡しゅ」

「わかった」

「しょんで、チッチンと、わたちのリビング、置く」

「良いですね」


 二人ともウキウキしていた。


 とりあえず、冷蔵庫の1台にビール用グラスや中型ジョッキを入れて冷やしておく。ビール樽数個と炭酸水やジュース類も入れた。

 冷凍庫に無限収納に入れておいたコンビニのかちわり氷を入れる。バーで見た丸い氷も再構築してあるけれど、それは無限収納に入れたままにしておこう。

 もう1台には自分で好きなものを追加して焼いてもらうためお肉他をある程度入れておく。足りなくなったら無限収納から複写すれば良いしね。

 こちらの冷凍庫にはシャーベットをたくさん入れておいた。


 向かい側にバーベキューコンロを3台置いた。

 2台は焼き網、1台は普通と波型の鉄板を並べて設置する。



 ワインは両方ともライトボディなので、冷蔵庫に入れて冷やす。

 バーベキュー始める頃に丁度良く飲み頃かな。

 たくさん飲みそうだから冷えたワインを収納、複写しよう。あ、ビール樽や炭酸水、ジュースも冷えたら無限収納に入れて複写しなくちゃ。



 大体の支度が出来たので、あと2時間ほどゆっくりすることにする。

 鳳蝶丸にビールサーバーの新品を出すよう急かされたので、作業部屋に行って置いてきた。

 魔道具化するんだと集中し始めたのでそっと部屋を後にする。



 次にミスティルの部屋に行った。

 コンコンとドアを叩いたら扉を開けてくれる。


「何か?」

「うん、あのね。プエジェントがあるの」

「プレゼント?」


 ミスティルに作った皮のミニポーチを渡す。


「これは、鳳蝶丸と同じものですか?」

「うん。マジックバッグよ」


 手渡すと、薔薇模様に指を這わせ触り心地を確かめているようだった。


「こえに、ミシュチユ、登録しゅゆ」


 髪の毛を使って登録完了した。


「もう、中の物、誰も見えにゃい」

「わたしだけのマジックバッグ何ですね」

「うん」

「ふふ、ありがとうございます。嬉しい」


 ミスティルにも念のためと言われ、私も副登録者になった。そして早速バッグを斜め掛けする。


「ちゅかいかた、鳳蝶まゆに聞いて」

「わかりました」


 大事そうにポーチを撫でているミスティルの笑顔はとても美しかった。

 私も喜んでもらえてとっても嬉しいよ。


 その後は自分の寝室に行って、再び昼寝。

 目が覚めたころミスティルが寝室に来て髪を整えてくれる。その後抱っこでタープテントに向かった。

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