第3話

「おーい! 懸賞金上がっているぞー!」

 一枚の紙ビラを持って走ってくる。銀色の髪をした少年だ。オッドアイで非常に珍しい目をしている。そのためか魔法使いやただ金目的、装飾目的に襲ってくる輩が少年を見つけるなり餌を求めて集まってくる鯉のように雑魚が集まりやすい。

 建物の物陰からタッタッタッと走り寄ってくるガスマスクやマスク、仮面をかぶった怪しい人たちが取り囲んできた。彼らの目的は少年の目だ。この世界では魔法使いは派手な装飾を目にもお化粧をすると、非常に珍しいとのことだ。そのため価値が張る。

「お前人気者だな」

「お前だよ。お前」

「オレか? あーコンタクトレンズしてなかったっけ。まあー。いつものによっと!」

 フードを被った仮面の人の肩を借りて高らかに上空へと飛んだ。

「おいっ! 飛んだぞ!」

「追えっ!」

「投擲だ。石でもゴミでも投げて落とせ」

 標的は少年に集中している。仮面の人は「おい」と一言発したのち、「俺の相手をしろよ」と威圧を放った。その瞬間、雑魚は躊躇した。白いフードに仮面をかぶった二メートルほどの体格。それは雑魚たちにとって恐怖であり最も尊敬している人物であった。

「弐品(にしな)さん! おはようございます!!」

 彼のことを知っている人たちは一斉にお辞儀をした。知らない人は何をしているんだと戸惑いを見せた。

「先日は友人たちが箱にされてしまいとても大変でした。ですが、弐品さんが憎き魔法使いを倒してくれたおかげで友人たちは元の姿に戻ることができました!」

「なんだ俺のファンかよ」

 知らない人たちは知っている人たちに尋ねた。

「彼はいったい…?」

「弐品(にしな)さんだ。懸賞金Aランクの人だ。憎き魔法使いを倒してくれる英雄(ヒーロー)のお方だ」

「えー!? そんな有名な人とは知らず…すみません」

「あーいいよ。知らない人からすれば俺は怖がられて当然だもん。まあ、今回のことは穏便にすまそう」

 そんな時だった。上空へと飛び立った少年が叫んだ。

「爆発は花のように美しい」

 何かが地面にコツンと落ちた。それがなにか理解し、その場から退散する暇もなく。彼らは吹き飛んだ。爆心地からは花のようにバラが咲いた。煙がバラの形を成していたのだ。

「よっと」

 少年はカッコよく地面に着地し弐品の手を叩いて合図を送った。

「いきなりでビックリしたぞ」

「味方は騙すもんだ」

「だが…やりすぎじゃないか」

 吹き飛ばされた雑魚たちは肉片ひとつ残さないほど木端微塵に建物の壁や地面にシミとなっていた。

「魔法が効かないのをいいことにやりたい放題だな」

 少年はニヤリとしながら持ってきていた紙を弐品に見せびらかすかのように顔面に突きつけた。

「んだよせっかくファンができたってのによ…」

 弐品は目を輝かせた。

「オレが来た理由はそこに書いてある内容通りだ。明後日、そこに出発だ」

 ”魔法使い集会場のお知らせ。魔法使いの方は指定された場所に――”

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