第3話:君の名はマリア。

「あのさ、車の窓から顔出さない・・・危ないから」


「だって、いろんなものが珍しいんですもん」

「私、前のオーナーさん時あまり外に出してもらったことなくて・・・」

「家の中の仕事が多かったですからね 」


「君さ・・・僕以外のところにもレンタルされてたの?」


「うん・・・でもリニューアルされてから、あなたんちが初めてです」

「私が中原博士って人のラボに預けられる前の話ですけどね」


「ふ〜ん・・・そうなんだ」

「君、ほんとにガイノイドなの?・・・なんかさずいぶん人間っぽい

よね・・・」


「一応ガイノイドですよ・・・」


「なんか調子狂うんだよな・・・思ってたイメージと違うから・・・」


「え?どんなイメージだったんですか?」


「ゴミ処理場でも言ったけど、なんかこう・・・もっとさアンドロイドとか

ガイノイドって動きが、なんかぎこちなくて言葉も事務的で・・・喜怒哀楽も

なくて、冷静で落ち着き払っててもっと冷たい感じ?」


「すっごいイメージ悪いじゃないですか?」

「それって先入観でしょ・・・そういうのどこかで見たんじゃないんですか?

私をなんだと思ってるんです?・・・機械じゃないんですよ、私」


(え?中身は機械じゃないのかよ・・・)


「悪かったよ・・・ガイノイドなんてはじめてだからさ」


「すぐに慣れますよ・・・」


「どうも態度が馴れ馴れしいんだよな・・・」


そうこうしてるうちに僕はガイノイドを連れてマンションまで帰ってきた。


「僕の住んでる棟はFの二階・・・階段上がってすぐだから・・・」


僕は部屋のドアを開けて彼女を招き入れた。


「お邪魔しまっすぅ・・・」


「はい、上がって・・・誰もいないから・・・」

「そこの安物のソファにでも座っててよ」


僕は台所に行って冷蔵庫の中から飲み物を出して飲みながら言った。


「君は・・・飲み物は飲まないんだよね・・・人間じゃないから」


「飲もうと思えば飲めますけど・・・」


「え?・・・食ったり飲んだりできるの?」


「一応、排泄機能もちゃんと付いてますよ」


「そんなもの必要なの?」


「セクサロイドですからね・・・状況によっては必要になってくるんです」

「お酒の相手したり・・・口移ししたり・・・エッチしたり、その他にも

いろんな趣味趣向の人がいますからね・・・世の中には・・・」

「だから変態さんとか含めて全面的に対応できるようになってるんです」


「へ〜なるほどね・・・どんなシュチュエーションにも対応できるように

なってるって訳なんだね」


「ん〜じゃあ、何か飲む?」


「あ、今はいいです・・・」


「さてと・・・なんだったっけ?・・・」

「そうそう、僕の生年月日と名前だよな」


「はい、どうぞ・・・」


「19○○年・・・2月22日・・・猫の日」

「僕の名前は長尾 修平ながお しゅうへい

「しゅうへいね・・・」


「はい・・・インプットしました」

「今日から、シュウヘイさん・・・もしくはシューちゃんって呼びますから」

「シュウヘイさんとシューちゃんどっちがいいですか?」


「じゃ〜シューちゃんで・・・」


「分かりましたシューちゃん」


「はい、次は私の名前ね・・・」


「ああ君の名前か・・・・なんも考えてなかったし・・・」

「昔の元カノの名前つけても呼ぶたびに思い出して嫌だしな・・・」


「今日は3月25日か・・・なにかあったっけ?」


そこで僕はネットで調べてみた。


「あ〜今日は受胎告知の日って出てきた・・・そうか・・・マリア様か・・・

じゃ〜マリア・・・君の名前はマリア・・・でどうかな?」


「今日と言う日がちょうど君が僕のところに来た記念日だし・・・」


「分かりました・・・インプットします」

「今日から、私はシューちゃんのマリア・・・ナガオ・マリアです」

「可愛がってくださいね」


「ってことで支度しますね」


「え?なに支度って・・・飯でも作ってくれるの?」


「なに、言ってるんです・・・エッチですよ、エッチ」


「そのために私を引き取ったんでしょ?」

「ノルマ果たさないとモニターさん失格ですよ」


「ま、まじで言ってる?・・・マリア・・・」


つづく。


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