第6話 「交際記念日6月30日」
僕とさっちゃんは、天文学に関係するクイズをしたり、なんか黒歴史をいくつかつくったりしていた。そんなことをしていたら、既に日が沈んでいることに気づいた。
「あ、もう日が暮れてるじゃん」
「ほんとだ」
「気づかないうちに結構時間が経ってたみたいだね」
「そういえばさっき、僕に運命を感じたって言ってたけど、僕のどこに運命感じたの?」
実はさっきから気になっていたことを聞いてみる。僕は将来の夢が同じ天文学者ってことに対してだけど、そのことをさっちゃんは知らないはずだ。
「あのね、実はね」
さっちゃんは少し恥ずかしそうにして話し始める。
「...誕生日と血液型が一緒だったんだ」
「え?そうなの?」
そっち方面か。と言いそうになったが、それを堪えてそう言う。
僕はちゃっかり、星に関してのことだと思っていたから、その回答は予想外だった。
そして、僕は今知ったのだがどうやら誕生日と血液型が同じらしい。僕の誕生日は11月18日。年にもよるが、ちょうど「しし座流星群」が極大となる日だ。血液型は、O型。まあ、特にいう事はない。血液型と性格が関係はないと考えられているからね。それで、聞かなくともさっちゃんの誕生日と血液型が分かってしまった。本当は「誕生日いつ?」とか「血液型何型?」とか聞きたかったが、こればかりはしょうがない。
その後、僕はさっちゃんに将来の夢について話し始める。
「今まで、言うのは恥ずかしかったから誰にも言ってなかったけど、実は...僕の将来の夢も天文学者なんだ。僕は、さっちゃんと夢が同じことを知って、さっちゃんのことをもっと好きになりたいと思った。だから、お互い天文学者になって一緒に研究しよう」
黒歴史一つ追加入りまーす。と思ったが、もう1ページ分増えたところであんま変わんないんじゃないかなとおもうようになってしまった。慣れというものは怖い。
「いいよ。でも、それだったらしっかりと勉強頑張らなきゃね」
「勉強頑張らなきゃね」その言葉が少し胸に刺さった。
しかし、僕は決して勉強ができないというわけでわない。一応ではあるが、中学受験をして今の新城学園に通っている。新城学園自体は、ネットに偏差値が載っているサイトを見ると、中学部高等部ともに65(入学時)となっている。だが、僕はこの新城学園高等部1年にいる240人の中で113位という何ともいえない順位なのである。校内偏差値は51。模試の場合は55となる。
偏差値60は欲しいものだ。
「はい。頑張ります」
そんなことを考えながらも、僕はしっかりと返事をした。
「もう夜だし、せっかくだから星見ようよ」
「そうだな。今日は6月30日だから、ベカとかアルタイルとか見えるんじゃない?」
「あ!あそこ見て!」
僕とさっちゃんは夜空を見上げて星を探した。
「6月30日、そうか」
僕はそう言い、続けて言葉を呟こうとした。
すると、
「交際記念日になるな」
「交際記念日になるね」
そう、暗い夜空に僕とさっちゃんは2人声を重ねて呟いた。
6月30日———終
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます