第5話 「『男としての義務』それは...」

「約0.0000034%でしょ?」


 当然のようにさっちゃんも答えた後、僕達は少し他愛もない会話をする。


「このことを知ってるとはな。流石、天文学者になりたいだけのことはあるな」


「知ってて当然だよー」


 その後、僕はさっちゃんがどのくらい天文学について知っているかを知りたかったから、幾つかクイズを出すことにした。


「じゃあ、問題出すよ。太陽以外の恒星で最も明るい恒星ってなーんだ?」


「簡単じゃん。おおいぬ座のシリウス!ちなみに、最も暗い恒星はしし座のレグルス!」


「どっちも正解!」


 そのようなクイズを何問かしていると、あっという間に時間が過ぎていった。時間が過ぎていくうちに、僕もさっちゃんみたいに心に留めていたことをしっかりと話さなきゃいけないと思った。

 だから僕は、クイズを一次的に中断して話し始める。


「本当のことを言うと、さっちゃんが今朝告白してきた時は、断ってしまったらさっちゃんが傷いちゃうと思ったから、傷つけないためにOKした。だから、告白された時は別にさっちゃんのことが好きっていうわけでわなかったんだ。でも、今は違う。さっちゃんのことを本当に好きになった。これから、さっちゃんの彼氏としてさっちゃんを愛して、幸せにする」


 こんなことを言うのは恥ずかしかった。恥ずかしかったけど、さっちゃんは僕に話してくれた。僕を好きになった理由を。だから僕も言わなきゃいけないと思った。本気でさっちゃんを愛するということを。


「ふふっ、やっぱり優しいね。でも、そんなに『愛する』とか、『幸せにする』とか言われたら、聞いているだけで恥ずかしいよ」


 さっちゃんは、少し笑いながら「優しいね」と言った後、照れ臭そうに話した。


「男として、乙女の心を守るというのは当然と責務だからな」


 また、自分で恥ずかしいことを言ったと思った。自分の黒歴史の本があるとすれば、今日一日でその本の1ページ...いや、2ページは余裕で埋まっていただろう。


「でも、ありがとう」


 優しい声で、さっちゃんがそう言った。



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