第4話 「運命の人と出会う確率」

「お邪魔します」


 さっちゃんは礼儀正しく...いや、普通か。普通なのか?僕には分からない。まあ、とりあえずお邪魔しますと言った。

 何故ミーティアには友達とかの家に入る時に「お邪魔します」と言うのが礼儀正しいことなのか普通なことなのか分からないのか。理由はただ一つ。ミーティアは生まれてから16年、女の子と喋ることはあっても女の子の家に行くことが無ければ、女の子を家に連れてくることもなかった。今日が初めてなのだ。


「今日はお父さんのお母さんも仕事でいないから、気にしなくて良いよ」


「え?そうなの?残念だな」


「残念?何か用事でもあったのか?」


 僕は、さっちゃんが何故か「残念だな」と言ったことに対して尋ねてみた。


「ミーくんのお父さんとお母さんに挨拶をしようと思ったんだけど、いないなら出来ないなーって。今日から息子さんとお付き合いさせていただく坂本桜です!ってやるつもりだったんだけど」


「親に挨拶って早くない?こんなこと言うのはあれだけど、もしかしたら1週間くらいで別れるってこともあるかもしれないから、もっと僕がどんな人かを知ってからの方がいんじゃないの?」


 挨拶はいつかするとは思っていたけど、付き合って1日目で親に挨拶をするとは思っていなかったから、僕は驚いた。


「私は、今のところミーくんと結婚するつもりでいるよ!」


 さっちゃんが僕にどれだけの理想を描いてるのかは知らないけど、僕は勉強も運動も特別出来るわけじゃない。それなのに、なんでさっちゃんは僕のことを好きになったのか。そう尋ねようと思った時だった———


「...星。好きなんでしょ?」


 予想外の質問をされた。予想外の事過ぎて、何と言おうと思っていたかを忘れてしまった。


「実は、私も星好きなんだよね」


 そう、さっちゃんは続けて話だした。


「私は昔から星が好きで、天文学者になるのが夢なんだ。だけど、天文学者になるのは難しい。だから、その夢を認めて、応援してくれる人と結婚したいなって思うようになった。そんな中現れたのが、ミーくんだったの。中学の時は名前すら知らなかったけど、高校に上がって最初の自己紹介の時に『星が好きです』って自己紹介してたでしょ?その時に気になったから、雄吾くんに色々教えてもらって、運命を感じたから告白して今に至るの」


 さっちゃんは天文学者になりたいという事を知って僕も運命を感じた。何故なら———

 僕も将来、天文学者になることが夢だからだ。しかし、この事は誰にも言っていない。さっちゃんが雄吾に聞いて運命を感じたのは、何か別のことに対してなのだ。


「ドレイク方程式っていう宇宙に地球外生命体がどれくらい居るかを計算する式を応用して出された、運命の人と出会う確率が何%か知ってる?」


 僕はそう尋ねる。


「約0.0000034%でしょ?」


 当然のようにさっちゃんも答えた。

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