第3話 「帰り道って彼女とどんな話をするが正解なのだろうか」
僕は、雄吾と話した後に桜さんのところへ走って行った。
「ごめん桜さん。待った?」
「全然待ってないよ。雄吾くんとはちゃんと話せたの?」
「うん。雄吾は本当にいい友達だよ」
雄吾は言葉に出さないだけで少し残念そうだったけど、僕達を応援してくれているように感じた。
「よく考えたら、僕と雄吾が話すっていうのを知ってたの?」
「雄吾くんにミーくんと話す時間をあげたのは私だよ?だから私は外で待ってたでしょ?」
なるほど、だから雄吾は僕が告白された日、つまり今日に話をしてきたのか。さっきの状況は桜さんと雄吾の計画通りだったってわけか。
「なるほどね」
「そういえば、さっき私のこと桜さんって呼んだ?」
「え?そうだけど」
「付き合ってるのに『さん』ってつけて呼ぶのはなんか堅苦しくない?」
「そうかな?」
話している間に、さっき桜さんが僕のことをミーくんと読んでいたことに気づいた。
「だからさっき僕のことをミーくんって呼んだの?」
「そうだよ。授業中ずっとなんて呼ぶか考えてた」
「大丈夫か?来週テストなのに授業聞かなくって。その、さ、さ、さっちゃん...」
「ノートはしっかり取っているから大丈夫。ところで、今さっちゃんって呼んだ?呼んだよね!」
「うるさいな。こっちは恥ずかしんだから周りに人がいるのにそんなに大きな声で言うのはやめて」
周りにいる人達がこちらを少し見ていることに気づいて、僕はそう言った。
「ごめんごめん」
「それで、一緒に帰ってるけど家来る?」
僕は言った後にだいぶ恥ずかしいことを言っているんじゃないかと思った。
「え!行く行く!」
なんか嬉しそうだからまあ良かったのかな?
その後、世間話などをして僕の家に着いた。新城学園から僕の家までは1km程である。だから、歩いて15分程度で着く。いつもは雄吾達と一緒に帰っているけど、途中からは道が違うから家まで誰かと一緒に帰ったことはなかった。だから僕は嬉しかった。心の何処かで孤独を感じていたのかもしれない。
でも、一緒の道を通って帰っているのは、今日僕がさっちゃんを家に誘ったからというだけではない。さっちゃんの家は、僕の家から20mほど離れた所、つまり歩いて数秒で行けるところにある。今まではただのクラスメイトという理由で家を訪れるようなことはなかったけど、今日からは彼氏彼女の関係だ。家が近いというのは、朝学校に行く時もすぐに誘いに行くことができる。
「ここが僕の家だよ」
「知ってたけどね」
「だろうね」
そんな他愛ない会話をした後、僕とさっちゃんは家の中に入って行った。
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