第8話 試練の終わり
「もう死にたいよ」
アンは消え入るような声で
「でも、たくさんの友達を不幸にして、これで死んだら地獄行きよね。」
「一緒に地獄に行くかい?」
アンは少し驚いた顔をして
「うん、
アンは自然と
「オレ、帰るよ、また見舞い来るからな。」
「どわっ!」
「どこから聞いてた?」
「最初から。」
「なんかゴメン、オレ帰るわ」
中のアンも気がつき、二人とも一枚の壁を背にしてぼそっと話し始める。
「好きなの?」ショウコが尋ねる。
アンはすこし間をおいてから短く答える。
「うん。」
「ショウコ、ごめんね、
「ううん、別にいいよ、
ショウコも内心は
幸運続きの自分と不運続きの姉と比較して「引け目」に似た感情も持ち合わせていた。
直接見てはいないが、話の流れや空いた間、二人の様子からキスくらいはしたんだろうなと薄々感じてもいた。
「私は気にしないから二人は付き合ったらいいじゃない。」
アンはしばらく沈黙ののち重い口を開く。
「ワタシ、ショウコを不幸にしちゃったことになるんだよね、本当に疫病神よね。」
アンはまた泣き始めた。
ショウコはこれ以上言葉を紡げなかった。
夜になり養親の徳田夫妻が帰ってきた。
「アン、ショウコ、明日は二人の誕生日よね。盛大にお祝いしないとね。」
夫妻も引きこもりがちになっていたアンを心配して誕生パーティで元気づけようとしているのだろう。
パーティの段取りや二人へのプレゼントを話し合っているようだ。
養親の徳田夫妻も実の子同様、二人を愛しているのがよくわかる。
しかし、アンはそんな徳田夫妻まで不幸に巻き込んでしまうのではないかと恐怖し、自死の衝動に抗うのがだんだんと難しくなってきた。
「死んだらやっぱり地獄に行くんだろうな、
****
徳田夫妻が二人の誕生日を祝うことはもうなかった。
黒闇天女と吉祥果 七星剣 蓮 @dai-tremdmaster
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