第6話 目覚め

 第二次性徴期を迎えたアンとショウコは体つきが少女のそれからどんどん変わっていった。

 そして二人とも肉が好物になっていた。


 小学生の頃は脂っこいものが苦手で肉はほとんど食べない、いや、嫌いであった。

 二人とも「お肉もしっかり食べなさい。」と養親から怒られたものだ。


 それが体つきが大きく変化するとともに好んで肉を求めるようになる。

 それもステーキを頼めばレア、血の滴るようなものを好んで食べた。


 二人ともスリーサイズが一回り大きくなり、特にバストは爆乳と言っても過言ではないくらいに大きくなる。


 「おい!アン!おまえ乳がデカすぎじゃないか?」

 ラージが軽口を叩く。

 アンの左ストレートがラージの顔面にめり込み、後ろに三回転半して壁に叩きつけられ「プギャ」と言ったのは言うまでもない。


 そして双子の間に明確な違いが現れるようになってきた。


 アンの周りでは事故や不運がつきまとうようになり、逆にショウコの周りでは幸運が続くのである。

 アンの二つ名は「破壊神」から面と向かって言われはしないが「疫病神」と陰口を叩かれることになる。


 小学生の頃はどちらかと言うと快活なアンのほうが人気者でありショウコはアンに隠れるようについて来ていた。

 しかし今ではショウコはクラスの人気者、アイドルであり、アンに話しかけてくるのはショウコとラージだけになっていた。


 クラスメイトもショウコにはいろんなイベントへ誘うのだがアンには声はかけない。

 ショウコは「アンと一緒なら」と言って一人で行くことはしないのだがアンの表情はだんだんと固くなり、その美貌はショウコと同等ながら、まるで醜女のような扱いを受けることになる。


 そして決定的な事件が起こる。

 校外学習で交差点を歩いていたアンの班に高齢者の暴走車が突っ込んだのである。

 幸い死亡者は出なかったが二人が重症、4人が軽傷を負う。悪いことにアン1人無傷であり重症を負った女子生徒がアンに向かって「疫病神!」と叫んでしまったのである。


 その日からアンは学校に登校できなくなってしまった。


 「どうして私だけこんなに不運なの、、ショウコと何が違うのよ!」

 見舞いに来たラージの胸で1時間以上泣き続けた。

 ショウコはアンに声をかけることができなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る