第33話
相手を全員倒したところでその塔の中をくまなく調べてみると隠し扉があり扉を開ける。
すると地下室に続く階段が現れた。
その階段を使い慎重に降りていくと、無数の折りがずらりと並べられていてその中には奴隷として売られる直前の子供から大人までが閉じ込められていた。
その人たちから話を聞いてみるとどうやら折りに閉じ込められていた人たちはいきなり理由もわからずこんなところに連れて来られずっと檻の中に閉じ込められていたという。
「本当に私たちを助けていただいてありがとうございます」
1人の小さな女の子が丁寧に頭を下げると後ろにいる人たちも丁寧に頭を下げてくれる。
次の日。
いつも通りクエストボーどに貼られている内容が書かれた紙を見ていると、また受け付の人が手招きをしてくる。
「今回はどういった依頼でしょうか?」
もはやユリンシスは断定した口調で尋ねる。
「実はここから少し遠い村なんですけどその村でとある何秒が流行っていて」
「腕利きのお医者さんを何人か呼んだらしいのですが全く治る気配がなく」
「私たちはあくまで冒険者であって病気を治すことはできないんですけど」
ユリンシスがごもっともなことを言う。
「今回お2人に頼みたいのはその難病を治すことではなく看病をする人が圧倒的に人数が足りていないので助けて欲しいということなんです」
「それなら私たちでもできると思いますけど本当にそんなことでいいんですか?」
ユリンシスが改めて確認をする。
「ええ向こうの村もそれだけ大変ということでしょう」
「先ほども説明させていただいた通りこの場所から目的地の村までは少し遠いので馬車を用意します」
「お2人はその馬車に乗って目的地の村まで向かってください」
「着いたらまずその村の村長さんに話を聞いてください」
それから少しギルドの外で待っていると馬車がやってきた。
「それにしても看病をする人手が足りないってどういう難病なんでしょうかね?」
プレミアが素朴な疑問を口にする。
「何なんでしょうね魔法で直せる病気もありますけどまだまだ直せない病気もたくさんありますからね」
馬車に揺られながらそんな話をしているといつの間にか目的地の村までたどり着いた。
俺たちはここまで運んでくれた人にありがとうございましたとお礼を言った後その村の中に入る。
「まずはこの村の村長に話を聞いてくださいって言ってましたけどそもそものこの村の村長はどこにいるんでしょうか?」
「それにしてもこの村の人たちはやけに咳をしてますね」
プレミアが当たりを見回しながらそんな言葉を漏らす。
「街の人に聞いてみましょうか」
「すいませんお尋ねしたいことがあるんですけど少しいいでしょうか?」
ユリンシスが通りかかった1人の男に声をかける。
「いつも通りならあの家にいると思いますけど」
指さして教えてくれる。
ちなみにこの男も街の中を行き交っている人たちと同じように咳をしている。
「教えていただきありがとうございます、おからだ気をつけてください」
ユリンシスがお礼と気を使った一言を言った後教えてもらった家へ向かう。
その家は一言で言うとかなり古びた家だ。
「入ってみましょうか」
扉を3回ノックする。
「はい今行きます」
少し遅れて中からそんな言葉が帰ってくる。
「どちら様でしょうか?」
中から出てきたのは白髪をはやし少し腰が曲がったおじいさんだった。
「私たちギルドの方に張り出されていたクエスト内容を見てこちらの村に来ました」
ユリンシスが簡潔にそう説明する。
「冒険者の方ですねどうぞ中にお入りください」
「どうぞそちらの椅子に座ってください」
言われた通りに座る。
「今回のクエスト内容に看病をする人の手が足りないと書かれていましたがこの村では今どういう病気が流行っているんでしょうか?」
ユリンシスがそんな当たり前の疑問をぶつける。
「それが今回の依頼をギルドの方に出させていただく前にもうすでにこの村には何人かのお医者さんに患者様を見て頂いたのですが…」
そこで一旦言葉を止めうつむき顔を曇らせる。
「見ていただいたお医者様全員が原因は分からないと答えるばかりで」
「病気にかかっている人たちの中で一番多い症状って何ですか?」
続けて質問する。
「吐き気後は極度の高熱と言った感じですね」
「今の話を聞いた限りだとただの風のようにしか思えないのですが?」
「ええ私も最初はそう思っていましたただ病気を発症してからもうすでに1週間ほどが経過していて誰も治っていないんです」
(このまま話を聞いているより実際に病気を発症してる村の人たちのところまで行って見た方が良さそうですね)
(そうですね)
俺の言葉に短く返し椅子から立ち上がる。
「実際にその病気を発症しているという村の人たちのところまで案内をしていただけますか?」
「分かりましたついてきてください」
村長の後ろについていく。
「こちらで病気を発症した村の人たちを看病している状態です」
その目の前に広がっている光景は布団の上に何人もの病人が苦しみながら横になっている姿だった。
(これは!)
(どうかしたんですか?)
ユリンシスが俺を横目で捉え訪ねてくる。
(この顔の赤み1週間ほど看病を続けても治る気配がない)
俺は頭の中で状況を整理する。
(これは呪い!)
(呪いってどういうことですか?)
(この症状俺が100年前にとある村を訪れた時に魔王の呪いによってかけられる病気と似てるんですよ)
(その時にどうやって呪いの病気を治していたのかそれがわかれば対処法が見つかるかもしれません!)
ユリンシスはその時やったことを教えてくれと言わんばかりに言葉を促してくる。
(確かあの時はその村にいた腕利きの魔法使いにいくつかの回復魔法を混ぜてもらって作った薬を使って対応してました)
記憶を辿りながら説明する。
ユリンシスには看病してもらい俺とプレミアはその時の薬が作れるかどうか村長の家の一部を貸してもらい研究をすることになった。
「ようやく薬ができましたね」
(とりあえず作った薬を今苦しんでいる人たちに飲ませましょう)
それから病気で苦しんでいる人たち全員にその薬を飲ませるといくらか症状が和らいだものの何日か経っても完全に回復する人は現れなかった。
(なぜなんでしょうちゃんとアリユスさんに指示された通りに作っているはずなのですが私が何かミスをしてしまったんでしょうか?)
(いいえ多分そうじゃないです)
(だったらなぜ?)
(単純に昔の呪いよりも強化されているんだと思います)
「100年前のようにはいかないぞ勇者よ」
(今のは!)
声が聞こえ後ろを振り返るが後ろには誰もいない。
(アリユスさんどうかしたんですか?)
(ユリンシスさん今誰かの声みたいなの聞こえませんでした!)
(声ですかいいえ特には聞こえませんでしたけど)
(ってことは今の声は俺にしか聞こえてないのか?)
(それ光ってませんか?)
ユリンシスが持っている鞄から白い光が放たれている。
「本当だ!」
驚きを口にしながらもカバンを開ける。
するとそのカバンの中から白い光を放っていたのは前にダンジョンから持ってきた魔力を宿した角だった。
「なんでこの角が今になって光を放ってるんでしょうか!」
するとその角がユリンシスの手から離れどこかに向かって飛んでいく。
「なんで勝手に!」
(よく分かりませんけどとりあえずついて行ってみましょう3人で!)
「プレミアちゃん一緒に来てください!」
「はい!」
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