第21話
3人でできるクエストをコツコツとこなしていった。
すると3人でCランクに上がることができた。
「あのお2人が次のランクに上がるためのクエスト依頼があるんですけどどうしますか?」
受付の女の人は訪ねてくる。
「もちろん受けさせてください!」
「もちろん受けさせてください!」
2人の声が揃う。
「分かりました、わかっていることとは思いますが今回のクエストは今まで戦ってきたCランククエストのモンスターとは違い格段に強いです!」
真剣な口調で言ってくる。
そんなモンスターと戦う覚悟はあるかと訴えかけてきている。
「もちろんわかっています!」
一歩後ろでその話を聞いているプレミアも強く何度か頷く。
「内容を読んでがっかりしてしまわないようにお伝えしておきますが報酬金額はこの前受けてもらった金貨100枚よりは少ないですよ」
「もちろんそれは分かっています」
プレミアが答える。
(あのクエストは色々な条件が重なっていたとはいえ特殊なクエストだったからな)
ユリンシスが手に持っているクエスト内容が書かれた紙を受け取る。
そのために書かれている内容を確認してみるとこう書かれていた。
クエスト内容ダンジョン探索。
成功報酬金貨60枚。
(いつもは銀貨6枚とかが普通それと比べると10倍ぐらい今回のクエストの報酬と差がある)
(さすがに10倍はいいすぎたかもしれないが、とにかくAランクに上がればこの金額より少し多いぐらいの金額をクエストクリア後にもらえるはずなので下手な使い方をしない限りお金に困ることはそうそうない)
「先ほどもお伝えしましたが今から向かってもらうダンジョンの中には今までのクエストで戦ってきたモンスターとはレベルが格段に違います、本当に気をつけてくださいね!」
真剣な目で釘を刺すように言ってくる。
「分かりましたショップの方に行ってアイテムを買って万全の状態で向かいます!」
俺たちはギルドの中に入っているショップに向かう。
「実際今回戦うダンジョンのモンスターの強さってどのくらいなんですかね?」
プレミアが棚に並べられているアイテムを見ながら特に意味もなく言葉を口にする。
「私は一度も戦ったことがないので戦ってみないと分からないとしか言えませんが」
「あの受付の女の人がいっていた口ぶりから察するにCランクとBランクでは天と地ほどの差があると考えた方が良さそうですね」
「とりあえず何かあってからじゃ遅いですしいつもより多めに回復薬を買っておきましょうか」
「でも大丈夫なんでしょうか…」
うつむき自信なさげにつぶやく。
(何がですか?)
「私アリユスさんとお姉様に出会うまで冒険者としての経験なんて皆無でしたからその私が今回のクエストで役に立てるのかなと思って」
「それは大丈夫です心配いりません」
やけに確信しているような口調で言う。
「まだ出会って私たち短いですけどたくさんプレミアちゃんは私たちの役に立ってくれてるじゃないですか」
「でもお2人がサポートしてくれてるから私がなんとか戦えてるだけでいざってなった時にちゃんと力になれるかどうかは…」
だんだんとその声は小さくなっていく。
「それでいいんですよ」
「いざってなった時に助けられるのが本当の仲間だと思いますし」
「ありがとうございます今回のクエスト役に立てるように頑張ります!」
「私も足手まといにならないように頑張りますね」
俺たちはショップで一通りのものを買い終えたところで受付の場所に戻り地図を受け取り目的の場所へ出発する。
「そういえば1つ聞きたいことがあったんですけど」
「少し前にあの黒い角をダンジョンから見つけた時にお姉様アリユスさんが勇者だとか何とか言ってませんでしたか?」
その言葉を聞いた瞬間ユリンシスが進めていた足を止める。
俺もそのいきなりの言葉に驚き止る。
「えーとそれはですね何と言うかえーと…」
なんとかごまかしの言葉を探してくれているがもう見るからに何かを隠していることが分かってしまう。
俺はこのままずっと隠しておくわけにはいかないと思い一通りの話をプレミアにした。
「アリユスさんって勇者様だったんですか!」
予想通りの驚きの声を上げる。
(別に隠しておくつもりとかは全くなかったんですけどわざわざ自分から言うことでもないかなと思って)
「そうそそうだったんですか今まで無礼な口の聞き方をしてしまって申し訳ありません!」
「どうかお許しください勇者様!」
(そんなに頭を下げなくていいですよ)
(それに呼び方も勇者様じゃなくて今までと同じで大丈夫ですよ)
「えでも!」
(俺うやうやしいのって言うか様とかつけられるのがどうも苦手でだから今まで通り接してくれるとありがたいんですけど)
「分かりましたそうして欲しいと言うなら私は別に構いません」
(ところで目的のダンジョンには後どのぐらいで着くんですかね?)
ずっと地図とにらめっこをしているユリンシスに声をかける。
「この地図の通りなら後もう少しだと思うんですけど?」
少し顔を上げ前の方を見てみると大きな穴があった。
「あそこにあるのがその地図に書かれているダンジョンじゃないですか!」
プレミアが穴の方を指さしかけていく。
「あんまり走ると転びますよ」
まるでお母さんのような口調で背中に声をかけるが声が聞こえているのかいないのか足を止めることはない。
(俺たちも行ってみましょうか)
「ええ」
ダンジョンの中に入ってみると、今まで探索してきたダンジョンとは少し違い無数の青い炎が目の前に立つ柱の部分にともされている。
「なんですかねこのともされてる青い火は」
ユリンシスが静かに言葉を漏らす。
(俺が生きてた時はこんなダンジョンなかったんで多分100年の間にできたんだと思うんですけど)
今まで3人で何度かダンジョン攻略のクエストをやったことがあるがいくつか俺が知っていたダンジョンもあったがほとんどが知らないダンジョンばかり。
(まぁ俺が命を落とした魔王との戦いから100年が経っているんだからガラッと世界が変わっててもおかしくはないんだよな)
(前に進みましょうか)
「アリユスさんから見たCランクとBランクのモンスターの力の差ってどのぐらいなんですか?」
(意外とそれは答えるのが難しいですね)
(受付の女の人が言っていた通りもちろんCランクとBランクのモンスターの力の差っていうのは圧倒的にあるんですけど)
(CランクとBランクのモンスターとの大きな違いがあるとすれば知性を持ってるモンスターが多いってことですかね?)
「知性を持つモンスター?」
意味がうまく伝わらなかったらしく首をかしげている。
(下の方のランクのモンスターでも知性を持ってるモンスターはいるんですけど上位のモンスターになってくると知性を持ったモンスターっていうのが増えてくるんです)
(上位のモンスターが必ずしも知性を持っているとは限らないので何とも言えないんですけどまぁそういうモンスターと戦うことが今後上のランクに上がっていくにつれて増えてくると思います)
「アリユスさんが冒険者として戦ってた時は知性を持ったモンスターと戦ったことはあるんですか?」
(ありますよなんとか言葉巧みに操って俺を倒そうとしてきましたけど)
(なんとかそれには引っかからず倒せました)
「今まで倒すのに苦戦したモンスターっているんですか?」
プレミアが何気ない口調で訪ねてくる。
(地味に大変だったのは物理攻撃を跳ね返してくるスライムですね)
それからも雑談をしながらダンジョンの中を進んでいく。
(2人とも泊まってください!)
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